盛岡タイムス Web News 2017年  3月  11日 (土)

       

■ 東日本大震災 被災者変えた歳月 きょう6年目の3・11 仮設になお1万3千人 離郷して内陸で再起も コミュニティーづくり新た



 東日本大震災から11日で丸6年を迎えた。巨大地震と大津波で命を落とした犠牲者、行方不明者は、関連死も含め本県だけで6200人余り。今なお、1万3千人余りが仮設住宅で暮らす。被災者のニーズに応え、盛岡市にも災害公営住宅の整備が決まるなど、生活再建へ新たな動きも出てきた。今後は「内陸避難者」ではなく、一市民として生活を始める被災者も増える。自治体や復興支援団体は、被災者支援活動を恒久的な福祉事業や地域づくりへ移行させていくことも念頭に、発災直後とは異なる対応の模索を始めている。

  震災後、盛岡地域では、内陸避難者の心のケアや生活再建支援、沿岸被災地から大学・専門学校に進学する学生のための復興支援学生寮の運営、沿岸被災地への職員派遣などに、自治体や市民団体が連携して取り組んできた。盛岡市は被災地支援の方針などを定めた「復興推進の取組方針」の事業期間を2018年度まで2年延長。息長く取り組む必要がある復興課題に関して、復興枠から一般事業枠に移して継続する方法も検討する考えだ。

  もりおか復興支援センターの2月末現在のまとめでは、沿岸被災地などから盛岡市内に避難し、センターに登録しているのは585世帯、1214人。高齢独居世帯など見守りが必要な約200世帯を中心に相談支援員が巡回し、生活相談などに対応している。被災者が交流できる「お茶っこ飲み会」や沿岸地域の復興状況を見学する「ふるさとバス」などの支援事業も続けてきた。

  今年度のセンターの来館者は2月末現在で延べ8937人、窓口相談は438件。内陸災害公営住宅の整備方針が示されたことなどを受け、電話での相談対応は2422件と、前年を1千件以上、上回った。

  市内に避難している被災者の年齢層は60歳以上が約4割。センターの相談支援員らが直接面接した内陸避難者の世帯員627人のうち、持病により通院・入院している人は450人(71・8%)。介護を受けている人は102人(16・3%)で年々、医療や介護のニーズは高まる傾向にある。

  年齢的な問題や精神疾患など、さまざまな事情で仕事に就けず、内陸に避難後、安定した生活基盤を築けていない被災者も少なくない。抱える課題は、より個別化、複雑化しており、今後、被災者のための支援枠がなくなった場合、どうフォローを継続していくか、大きな課題だ。市や市保健所、市くらしの相談室、もりおか復興支援センターなどは昨年、「もりおか被災者見守りネットワーク会議」を立ち上げ、適切な支援につなげていくための情報共有を強化した。

  盛岡市など内陸地域にも災害公営住宅の整備が決まり、内陸に暮らす被災者は、住まいの選択に関しても大きな岐路に立つ。沿岸地域の災害公営住宅は2017年度までに約9割が完成する見通しで、家賃無料の「みなし仮設住宅」の制度終了が迫る。これまでの生活相談などから、家賃補助が終了すると生活困窮に陥る世帯も一定の割合で存在するとみられる。

  県営の内陸災害公営住宅として、盛岡市内では、月が丘2丁目の、県営備後第一アパート50戸の入居者募集があった。募集戸数を上回る応募があったが、現在、入居要件を満たしているか精査中。他地域にも112戸が整備される予定だ。

  沿岸各地から集まった内陸避難者が新しい環境で生活を共にすることになり、周辺地域を巻き込んだコミュニティーづくりが欠かせない。もりおか復興支援センターでも、県に被災者のニーズを伝えるなど調整役を果たしつつ、新たなコミュニティーづくりのサポートについて検討していきたいとしている。

  金野万里センター長は「発災から月日がたち、避難されている被災者も年を重ね、医療や介護が必要な人が増えている。関係機関とも連携しながら戸別訪問を続け、見守りを強化したい。入居要件などの問題で、災害公営住宅にも入れない被災者もおり、個別に事情を聞きながら対応していく必要がある」と話す。


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