盛岡タイムス Web News 2017年  3月  11日 (土)

       

■ 〈体感思観〉 編集局 泉山圭 本との出合いに財産



 本は、さまざまなことを学ばせてくれる。特にも子ども時代に読んだ本は、大人になっても頭の片隅に残っているものだ。私自身、小学生の頃は「それいけ!ズッコケ三人組」シリーズや江戸川乱歩、椋鳩十と図書館から本を借りては読みふけった。

  現在、新聞記者として日々活字と向き合っているが、どこかに幼い頃に触れた本との出会いが生きていると思う。

  図書館や本屋で本の表紙を見たり、書き出しを読んだり、最近はインターネットで書評が見られるなど、お気に入りの一冊を見つける方法はいろいろある。一方、どうしても自分の好きなジャンルや作家に偏ったりもして、人生の中で出会う本は限られる。

  先日、盛岡市の松園地区で初開催された世代をつなぐ街づくり交流会の読書交流会を取材した。小中学生、支援学校の児童生徒、地域住民など、さまざまな世代の人たちがグループを作り、各自が持ち寄ったお薦めの本を紹介し合う企画。

  本の中で自分が気に入った場面や読んだ感想を紹介するだけでなく、それぞれの感想を聞いた上で本に対する意見を参加者同士グループ内で発表した。

  交流会では、子どもたちがいたずらで悪い大人を懲らしめる話を楽しそうに紹介する児童もいれば、いじめや生き物の命に関する話を自分自身の生活と照らし合わせて真剣な表情で受け止めながら話す中学生もいた。

  グループの中の大人も、自分が幼少期に読んだ本を紹介したり、子どもたちが話す本の世界に頬を緩ませたりしていた。

  単なる読書にとどまらず、人に伝えるということは、よりその本を深く理解する必要がある。面白さや本から学んだことを感情豊かに話す同年代や大人の姿から、書評や自分自身で見つけるのとは違った本との出会いも生まれる。

  私も、これまで読書は一人で好きな本を読むという認識を持っていたが、この交流会の取り組みを見て、こんな本の出会い方や読書の仕方があるのだと少し見方が変わった。  


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