盛岡タイムス Web News 2017年  3月  13日 (月)

       

■  災害にどう向き合うか 被災地の活動にダメージ 県老人ク連「震災誌」発刊 クラブ再生の一助にも


     
  震災誌に思いを込めた齋藤編集委員長と野崎事務局長(左から)  
  震災誌に思いを込めた齋藤編集委員長と野崎事務局長(左から)
 

 東日本大震災で被災した12市町の老人クラブが組織的な活動の在り方を模索している。県老人クラブ連合会(佐藤達夫会長)によると、2009年度にクラブ数430(会員1万5865人)だった被災12市町村の老人クラブは、11年度にはクラブ数382(会員1万2943人)に減少。宮古市などで多くの老人クラブが被災により消滅し、組織的な活動が困難な状態にある。同連合会は、震災から5年間の取り組みと課題をまとめた「震災誌」を2月25日付で発刊。今後も起こり得る災害に対応した老人クラブの在り方を高齢者自身が考え、クラブ再生への一助となることが期待される。

  被災から6年目を迎えた現在、被災市町村の老人クラブは全国老人クラブ連合会などさまざまな支援を受けて活動を再開させた。同誌第6章の「震災体験記録」では、被災12市町村老連が進める老人クラブ再生の取り組み、支援を続けた8サポート老連の記録、被災会員20人の体験記から復興に向けた取り組みを見ることができる。

  一方で、高齢化社会の中で高齢者の自助、または共助の組織的な担い手となる老人クラブの先細り感も懸念。消滅を免れた老人クラブでは活動を再開したが、地域を単位としてきたため、災害公営住宅や仮設住宅に移り住んだことで、地域とのつながりが弱くなった例もあるという。

  震災誌を編集した斎藤徳美編集委員長は「高齢者の安全確保、高齢者コミュニティーの崩壊、社会的な生きがいづくりが今後の課題となる。震災では救援してもらう立場の高齢者を救うために市民の方々が亡くなった。その中で高齢者自身や組織化された老人クラブが、どのような役割を担い再生に努めるか。老人クラブが再生することで、次の支援につながる」と説いた。

  震災誌は、復興の兆しが見え始めた5年目を契機に、16年7月から2月末まで同連合会内の編集委員会が編集。2200部を印刷し、県内の老人クラブと全国の老人クラブ連合会などに送付した。

  同誌は県内の被災地域の位置、人口推移などの情報など市町村老連の被災状況と5年間の推移を全147nでまとめている。災害弱者としての高齢者の安全対策、被災後の生活課題など、今後も起こり得る災害と地域のコミュニティー形成の役割を担う「老人クラブ組織の今後の在り方の課題提起」が大きな特徴だ。

  野崎勝事務局長は発刊に際し「将来、南海トラフ巨大地震、首都直下型の地震の発生が想定されている。互いに支え合う仕組みが作られているところは、比較的犠牲者が少なくて済んだ事例がある。この震災誌を今後起こり得る災害の参考として生かし、全国の市町村に伝わってもらえれば」と思いを込めた。

  斎藤編集委員長も「高齢者が今後、何を生きがいにするのか。(老人クラブのような)組織で高齢者へ手を差し伸べることで、互いの生きがいにつながってくる。発刊を機に社会から理解を得ていきたい」と願った。


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