盛岡タイムス Web News   2017年  7月  8日 (土)

       

■ 〈体感思観〉 藤澤則子 竹馬一本、傘寿の挑戦




 「傘寿(80歳)の挑戦」として、竹馬で東北を縦断していた元中学校長の飯塚進さん(千葉県四街道市)が6月19日、青森市役所前でゴールを迎えた。昨年9月に福島県いわき市をスタートし、一時中断しながらも490`を竹馬一本で踏破した。

  5月23日に盛岡入りした際に聞いたゴール予定日は、青森県出身の作家・太宰治の誕生日でもある「桜桃忌」と同じ。特別な気持ちで迎えたこの日、午後にはインターネットで「竹馬で東北 飯塚さん青森到着」のニュースを見つけ、「無事に着いて良かった」と胸をなでおろした。そして心の中で拍手を送った。

  飯塚さんは元体育教師。「職員室に戻らず次から次へとグラウンドで教えたから、外での活動は苦にならない」と破顔していたが、旅の間は自家用車で車中泊。5月下旬は夏日も続き、身一つでの国道4号の移動は楽ではなかったろう。

  飯塚さんの体を気遣っていたという妻の久子さん(77)が、最終日に一緒に歩いてゴールをしたことを知り、ご夫婦の仲の良い姿を想像して心が温かくなった。

  「家内はよく協力してくれた。でも傘寿を過ぎて、これ以上はね…」と、今回の旅を最後と決めていた飯塚さん。

  約10年前に「竹馬の宣伝と普及」のため、竹馬の旅をスタート。松尾芭蕉の「奥の細道」のルートも踏破しているが、曾良(そら)のような同行者はいない。竹馬でその日の行程を終えると、前日に車を止めた場所まで公共交通機関などを使って戻り、竹馬で歩いた地点まで車を移動させる。

  盛岡での取材当日、事前に打ち合わせていた「南大橋」に現れた飯塚さんは、昔ながらの竹製の竹馬に作務衣(さむえ)姿。竹馬の足場は針金で補強され、滑り止めの細いひもも巻かれていた。五、六十`も歩くとすり切れるという底ゴムは、何度も取り替えられた。

  「一人旅は大変じゃないですか」と聞くと、「いやぁ」と事も無げ。きっと、この竹馬が移動手段のみならず同行者として、飯塚さんの挑戦を記録してきたのだろう。旅を終えても、飯塚さんと竹馬が、今後の普及活動でどのように東北を語るのか、楽しみだ。


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