盛岡タイムス Web News   2017年  8月  18日 (金)

       

■  建物と活動を一体に 歴史的風致維持向上計画 盛岡市が年度内策定 地域固有の風情守る


     
   盛岡市が維持向上すべき歴史的風致を構成する活動に掲げる盛岡さんさ踊り  
  盛岡市が維持向上すべき歴史的風致を構成する活動に掲げる盛岡さんさ踊り  

 歴史的な建造物と伝統的な活動が一体となった地域固有の風情や情緒を維持していくため、盛岡市は歴史まちづくりのマスタープランと位置付ける、歴史的風致維持向上計画(10カ年)を2017年度内に策定する。国(国土交通省、文部科学省、農林水産省)の計画認定を受けることで、歴史的風致を後世に継承するまちづくりの取り組みへ予算措置が得られる。歴史的風致維持向上計画は、東北では唯一、本県だけ認定自治体がなく、同市の計画が認定されれば県内初となる。市は18年6月の認定を見込み、19年度からは計画に基づく事業着手を予定する。

  歴史的風致は、地域固有の歴史・伝統を反映した人々の活動と、その活動が行われる歴史上価値の高い建造物、その周辺の市街地が一体となって形成してきた良好な市街地の環境と定義付けられる。歴史的建造物やそれらを生かした活動の維持管理には、多くの費用や手間が掛かり、高齢化や人口減少による担い手不足などの課題もある。市は公共・民間を問わず、こうした課題解決方策の一つとして、計画による予算措置を活用した建物の修繕や担い手育成などに取り組んでいく。

  同市は、計画で歴史まちづくりを重点的に進める重点区域として盛岡城跡周辺を位置付け、維持向上すべき歴史的風致として▽さんさ踊りにみる歴史的風致▽盛岡八幡宮の祭礼にみる歴史的風致▽水をいかしたまちづくりにみる歴史的風致▽盛岡の伝統産業にみる歴史的風致│の四つを想定する。

  さんさ踊りにみる歴史的風致は、さんさ踊り発祥の場所とされる三ツ石神社や東顕寺、パレード会場に隣接する盛岡城跡や公会堂などをエリアとする。盛岡八幡宮の祭礼にみる歴史的風致は、山車行事や流鏑馬神事、チャグチャグ馬コ、裸参りなど盛岡八幡宮の祭礼に関連する歴史的な建造物や活動の範囲をエリアとする。

  水をいかしたまちづくりにみる歴史的風致は、河川の合流点に城下町が築かれた盛岡の特徴を生かし、舟っこ流しや高松の池、湧き水が生活に密着する大慈寺地区など、水に関連の強い地域をエリアとする。盛岡の伝統産業にみる歴史的風致は、中津川の東側を中心に南部鉄器や染め物など伝統産業が多くみられる地域をエリアとする。

  計画に基づく事業では、歴史的風致形成建造物の改修や復元、買収などを支援する「街なみ環境整備事業」、緑地保全や電柱電線類移設などを支援する「都市再生整備計画事業」、計画に位置付けられた農業水利施設などの整備を支援する「地域用水環境整備事業」、古墳や城跡など歴史上、学術上価値が高いものの復元・整備を支援する「都市公園等事業」などがある。

  先進自治体では、酒蔵の保存修理(広島県竹原市)、金沢城公園内の河北門・橋爪門の復元(石川県金沢市)、水戸城跡周辺地区内の道路美装化・無電柱化(茨城県水戸市)、雄川堰の改修(群馬県甘楽町)などが取り組まれている。盛岡市は、庁内ワーキンググループや外部有識者を交えて今後設置する協議会などで検討し、各歴史的風致で実施する事業を決定して計画に盛り込んでいく。

  盛岡市教育委員会歴史文化課の三浦陽一文化財主査は「歴史的な建造物や活動を維持していくことは意外と難しくなってきている。所有者の都合もあるが、古い建物を壊さざるを得ず、残念だという声も聞こえてくる。建物を維持したり、代替わりで壊さざるを得ないときに応援する制度があるので、うまく市でも働き掛け、活用してもらいたい。民俗芸能なども年々継承が難しくなり、踊りだけでなく、山車を作る技術なども含めて将来に残していく必要がある。計画の事業の中にうまく位置付け、人を育てることにもつなげていきたい」と話している。


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