盛岡タイムス Web News   2017年  8月  27日 (日)

       

■  県と盛岡圏3市町 広域連携や外国人避難も 総合防災訓練 台風10号被害など教訓 高校生が語学で活躍


     
  外国人避難訓練で避難した外国人の質問に答える盛岡南高の生徒  
  外国人避難訓練で避難した外国人の質問に答える盛岡南高の生徒
 

 県の総合防災訓練は26日、盛岡市西見前の県立盛岡南高などを会場に開かれた。同市と紫波、矢巾両町、盛岡地区広域消防組合消防本部が共催し、大雨による洪水発生を想定し、97機関約5千人が参加。3市町の小中学校・高校、県消防学校などで全107項目の訓練が展開された。2016年の台風10号災害など新たな風水害対策を踏まえた訓練はじめ、新たな試みとして市町をまたぐ広域避難や外国人避難訓練などを通じ、実際の災害への備えとした。

  新たな風水害対策の訓練としては、今年度設置された風水害対策支援チーム(班長・石川義晃県総合防災室長)が招へいされた。今回訓練の形で初めて対応が試された。早朝県庁で会合が開かれ、県を通じて市町村へ、チーム構成の防災機関や有識者から避難勧告などの判断材料になる情報が助言された。

  有識者メンバーの一人、齋藤徳美岩手大名誉教授は災害想定を踏まえた訓練だったが、「国交省も盛岡地方気象台もそれぞれデータを持ち寄り、連携するスタイルを実践できたことに意味がある」と説いた。

  達増知事は訓練後取材に応じ「昨年の台風10号災害を受けて体制を作った。実際の災害で行うケースはなかったので練習しておくことが大事で、そうした流れや動きをしっかりと訓練できたのは良かった」と述べた。

  外国人避難訓練は盛岡南高で行われた。県内在住の留学生や外国語指導助手ら米国、カナダ、ニュージーランド、中国、フィリピン、ペルーなど出身の男女12人が協力。県国際交流協会(平山健一理事長)スタッフと協会認定「いわて災害時多言語アドバイザー」の他、盛岡南高1、3年生45人が参加した。

  避難所の受け付け、災害やライフラインなど各種情報が英語と中国語に訳された。生徒はグループで日本人向けの情報を簡易な日本語に修正したり、外国人からの「一番近いコンビニはどこか」、「飲み物がほしい」などの質問に答えたりする訓練をした。

  あるグループでは、コンビニの場所を尋ねられると、日本語が話せるか確認。話せないと分かると、地図を描いてアクセスを示した。自動販売機や国道の単語がすぐに出なくて苦労していた。

  因幡美優さん(1年)は「英語は苦手ではないけど話すのが難しい。最初は簡単だと思っていたが、頭の中で言葉を考えてから伝える必要があって時間がかかった。難しさが分かったので、災害が起きた時のために準備したい」と話した。

  協会の福澤淳一常務理事によると、北海道と東北、札幌市や仙台市などの国際交流協会は、災害時に分担して英語や中国語以外の希少言語で情報を翻訳する協力協定を結んで災害に備えている。

  日本語の分かる外国人居住者以上に、海外からの観光客、国際リニアコライダー(ILC)が本県に建設された場合、研究者やその家族が多数在県する中、避難所や災害の情報を多言語で提供する必要性が高まる。

  平山理事長は「東日本大震災で外国からたくさん支援に来てくれたことを契機に取り組みは始まったばかり。高校生も一人では話せなくても複数なら対応できる。語学力が未熟でも相手が何を知りたいか、それに対して気持ちを伝えられるかが大事」と話す。

  達増知事も「異文化共生力として、会話ができるにこしたことはないが、いざという時に必要なコミュニケーションができれば良く、意義深い訓練だった」と評価した。

  見前南小の阿部貫汰君(6年)は閉会式で「ヘリコプターによる救助訓練はテレビで見るのと大違い。実際に起きたら自分はどう行動するだろうと考えさせられた」などと発表し、経験を今後に生かすことを誓った。


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