盛岡タイムス Web News   2017年  12月  9日 (土)

       

■ 〈体感思観〉 編集局 山下浩平 価値を見極める目を



 「この商品が、このお値段でいいんですか」。通販番組の常とう文句である。良品が特価で買えるような印象を与えるが、その程度の価値だから低価格になるのであって、宣伝はうまいかもしれないが大した商品ではない、というのが記者個人のうがった考えである。ただ、真に良質な物、サービスには、売り手は商品に確固たる自信を持ち相応の価格を設定すべきであり、買い手も相応の対価を支払うべきであると考える。

  今秋、紫波中央駅前のオガールエリアの一角にできた「ビストロスロー」は、町内の農家から直接、農産物を仕入れ、最小限の調理で素材の味を生かした料理を提供している。店主の桑原宏治さんは、横浜市で「野菜とお肉のバル333」を経営。その頃も直接、選び抜いた農家から農産物を調達していたという。

  「当時から、農家と飲食店が直接やり取りをするのが、将来的に主流になっていくという考えがあった。店としても良い物を提供できるし、間に誰も挟まないことで農家にもお金がしっかり入る。何よりお客さんにも喜んでもらえる。この関係は誰も損をしない」との話が印象的だった。

  地域の農家が出品する産直施設の良さを表す言葉として▽新鮮▽良質▽安いという三つがあると思う。最初の二つは「良さ」としても、後者は果たしてどうなのか。労力をかけて生産しても、低価格でしか売れない。労力に見合った対価を得られているのか。それで継続した生産ができるのか。この状況を問題視して、近年では産直の在り方を見直す動きも徐々に生まれつつある。

  紫波町内だけを見ても、こだわり抜いた農作物を生産している農家も少なくない。また、そういった人々は自身の作る物の価値をちゃんと分かっている。消費者も商品を判断できる目を持ち、適正な値段で買う。地域経済をうまく回すには農産物に限らず、商品を評価する消費者の正しい価値判断が必要かもしれない。


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