盛岡タイムス Web News   2017年  12月  16日 (土)

       

■ 〈体感思観〉馬場恵 漢字一字なら「真」




 NPO法人未来図書館が主催するキャリア教育プログラム「未来パスポート」に参加し、中学生と仕事について語り合った。講師は、さまざまな職業を持つ社会人7人。生徒たちは5、6人のグループに分かれて社会人を囲み、その人の生き方に触れる。

  この日、触れ合った生徒の中に、特別支援教育を受けているA君という男子生徒がいた。関心があることには高い能力を発揮するが、集団行動は苦手。みんなの輪に入り、一緒に活動することを目標にしているという。少し落ち着かない様子ではあったが、最後まで話を聞いてくれた。

  グループでひとしきり話が済んだ後、私を「色」で表すとすれば、という話題になった。緑、黄色、オレンジ…。生徒たちの反応は、なかなか興味深い。さて、A君の答えは│。

  「色では表現できないけれど、漢字だったら『真』。新聞記者は真実を書かなきゃいけないから」。ドキリとする一言。自分を顧みると冷や汗が出る。A君の言葉に恥じない仕事をしなければと身が引き締まる思いだった。

  この「未来パスポート」、学ぶのはむしろ、大人のほうかもしれない。何度か参加したが毎回、子どもたちの真剣なまなざしに触れ、背筋が伸びる。

  「新聞記者の仕事で大事なことは?」。自分に言い聞かせるような思いで伝えているのは、出会った人の「信頼」を得ること。たとえ初対面でも「この人に話をしたい、聞いてもらいたい」と思ってもらえなければ、いい記事は書けない。

  日本漢字能力検定協会が全国に募集した「今年の漢字」は「北」に決まった。選んだ理由で多かったのは、ミサイル発射や核実験を繰り返す北朝鮮の脅威、九州北部豪雨災害、プロ野球の北海道日本ハム・大谷翔平選手の米大リーグ移籍などだそうだ。漢字一字でも寄せる思いはそれぞれだ。

 今年も残すところ2週間。真実を見極める目を磨きながら、信頼に足る仕事を、と肝に銘じる。


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