盛岡タイムス Web News   2017年  12月  21日 (木)

       

■  盛岡市民6100人に影響 近年洪水で最悪を想定 盛岡駅周辺、馬場町など浸水範囲 国交省が試算公表 時間雨量カスリン超え


     
  盛岡市内の浸水被害想定が示された学識者懇談会  
  盛岡市内の浸水被害想定が示された学識者懇談会
 

 国交省東北地方整備局は20日、2012年11月策定の北上川水系河川整備計画について、ここ数年の洪水実績を踏まえて点検した結果、最悪の場合、現行の整備内容だと北上川沿いの盛岡市街地で浸水被害が発生する想定を明らかにした。特に盛岡市のJR盛岡駅周辺、材木町周辺から馬場町周辺まで約1500世帯、約6100人が影響を受けると試算。これを踏まえ、今後計画に盛り込まれた施策の着実な推進の加速、計画の見直しなどを早急に図る考え。

  20日に盛岡市内で開かれた学識者懇談会(座長・海田輝之岩手大理工学部教授、17人)で公表された。

  現計画は1947年9月のカスリン台風と同規模の洪水が発生しても、家屋の浸水被害を防ぐのが目標。盛岡市内の明治橋上流域では当時、2日間の平均雨量が168_を観測(降雨継続時間39時間)。1時間最大平均雨量は20_だった。

  これに対して2013年9月16日発生の台風18号では、館坂橋地点の流量規模がカスリン台風の洪水に次いで2番目となった。

  2日間の流域平均雨量がカスリン台風を超える洪水は起きていないが、1時間の最大平均は明治橋の上流で13年8月9日の豪雨、9月の台風18号、今年8月の洪水でカスリンの20_を超えた。

  このため整備局は、台風18号時の降雨パターン(地域・時間分布)で現計画と同じ2日間の平均雨量168_が降ったと仮定した場合、四十四田ダムの最大流入量を1秒当たり2809d、最大放流量を同1644dと試算した。

  四十四田ダムの最大流入量は現計画で1556d、最大放流量は700d。試算はこれを上回り、現計画と同規模でも短時間に大雨となった場合を含め、四十四田ダムで流入量と同じ流量を放流する「異常洪水時防災操作」へ踏み切る必要が出てくるという。

  その結果、盛岡市内の浸水範囲は北上川右岸の盛岡駅周辺、左岸の材木町〜馬場町周辺まで及ぶと見込まれる。市以外も約110世帯、約310人への影響が試算された。交通網寸断やライフラインの途絶、企業活動の停止など都市機能のまひが懸念される。

  一方、現計画における北上川水系流域の堤防整備の進捗(しんちょく)状況は16年度末で約25%。計画期間は策定時からおおむね30年間とされている。四十四田ダムは堆砂率が95%に達しており、長期的かつ持続的な洪水調節機能の維持が求められている。

  懇談会メンバーからは「盛岡の経済的なダメージが顕著だ」、「センセーショナルな内容で公表するべきか」と意見が出された。

  高村裕平整備局河川部長は「最近の降雨状況の変化から早く検討を進める必要があるため、問題提起として議論してもらった。北上川流域で資産が集中するのは盛岡であるのは周知のことで、氾濫を許容することはない。それをベースに何ができるか。今さら盛岡に堤防が造れるとは誰も思っていない。どこかにためるしかない」などと述べ、公表の趣旨を説明した。


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