盛岡タイムス Web News   2017年  12月  28日 (木)

       

■  酸基醴もとを導入 より味わい深く 紫波町の廣田酒造店 全銘柄で今年から醸造 うま味、こくを追求 うま味、こくを追求 数種類の乳酸菌を配合


     
  酸基醴もとでの醸造を開始した廣田酒造店の廣田社長  
  酸基醴もとでの醸造を開始した廣田酒造店の廣田社長
 

 紫波町宮手の廣田酒造店(廣田英俊社長)では今年から、醸造法の一つ「酸基醴もと(さんきあまざけもと)」を取り入れた酒造りを行っている。甘酒を作った中に数種類の乳酸菌を入れ、発酵させて行う酒造りで、明治期に開発された手法。以前までの醸造法「速醸」より手間が掛かるが、これまでよりも米のうま味、こくを引き出すことが可能となる。同店では全量を新たな方法で醸造し、従来よりも味わい深い日本酒造りを目指す。(山下浩平)

  同店では醸造している「廣喜」の純米大吟醸、純米吟醸、特別純米、純米の全4種で取り入れた。同店や県工業技術センターによると、一部の銘柄のみで取り入れている蔵元は全国的にもあるが、全ての醸造に導入している蔵はみられず、県内でも同店が唯一、全量を酸基醴もとで醸造している酒蔵となる。

  現在の酒造りの主流である速醸は、むし米に麹や酵母を混ぜたものに乳酸を入れ、酸性にして雑菌を防ぐのに対し、酸基醴もとは甘酒を作った後に乳酸菌を入れ、発酵させる。速醸は透明感のあるきれいな味わいが特徴だが、酸基醴もとは、こくやうま味が増し、味わい深い酒という。

  「燗(かん)で炊きたて 冷でおにぎり」をテーマに、これまでの醸造法から一新した。味の決め手は数種類の乳酸菌の組み合わせ。米の品種、米の磨き度合いに合わせて選び抜いた菌を使うことで、米の味を引き立たせる。

  同店杜氏の小野裕美さん(42)は「日本酒に関して『米のうま味』という言葉が使われるが、実際には酒の中にそれがどう表れているかは表現しづらいもの。それをおにぎりや炊き立てのご飯として表せたらおもしろい」と導入のきっかけを語る。

  乳酸菌を使う手法は他に生もと、山廃などがあるが、酒母が完成するまでに1カ月の期間を要する。一方で酸基醴もとは、速醸と同様に約2週間で酒母が出来上がる。速醸と比較すると甘酒を作ってから、乳酸菌を添加するため手間は若干掛かるが、味は深まる。ただ、甘酒の中は雑菌が増えやすいため、除菌には従来よりも配慮しながら、良質の酒造りに励んでいる。

  廣田社長(50)は「まだ始まったばかり。試行錯誤しながら、味わいのある酒造りを続けていきたい。酸基醴もとを取り入れ、より深まった米の味わいを感じてもらえれば」と話している。

  県内スーパーなどで徐々に販売が始まっている。全種類がそろい、本格的に販売が始まるのは4〜5月からの見込み。


本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします