盛岡タイムス Web News   2018年  1月  4日 (木)

       

■  持続可能な農業の環境へ 盛岡市が親元就農給付金 経営継承者を対象 交付受けた浅沼晶紀さん


     
  出荷に向けてネギの皮むき作業をする浅沼晶紀さんと恵さん  
  出荷に向けてネギの皮むき作業をする浅沼晶紀さんと恵さん
 

 盛岡市は、農地を適切に維持管理し、持続可能な農業を将来にわたって実現するため、親から農業経営を継承して新たに就農する人を対象に、2017年度から親元就農給付金を交付している。17年度は3人が交付を受けた。農業者にも高齢化が進む中、先祖代々の土地を手放したり、貸すことも躊躇(ちゅうちょ)する人もいる。市では、親から農業を継ぐことが新規就農者確保、耕作放棄地の拡大を防ぐ大きな手立てになると考え、18年度も制度継続を予定する。

  農林業センサスによると、15年の市内農業従事者は7830人と、10年比で24%、05年比で39%減少。年代別では20代501人、30代708人に対し、60代以上が4294人で全体の54・9%を占め、高齢化が進んでいる。新規就農者は16年度14人と、総合計画で目標とする毎年度10人程度には達しているが、農業法人など雇用就農が多いのが実態となっている。

  市では農家の次世代が意欲を持ち、地域農業の新たな担い手として活躍してもらえるように親元就農給付金制度を導入。交付対象として▽親(三親等以内の親族を含む)が所有する農地を農業委員会の許可を得て取得し、農業経営を行うこと▽市内に住所を有し、新規に就農する55歳以下▽農業経営に関する主宰権を有すること―などを条件に、1人当たり年額60万円を2年を上限に給付する。

  市農林部農政課の吉田充課長は「一番の課題は、後継者不足、高齢化。新しい力が入ってくれることは一番の起爆剤になる。制度が資金面と背中を後押しするきっかけになれば。17年度は特に、20代から40代までの若い世代が3人も制度を利用してくれたので、他の農業者にも元気が伝わってほしい。自分なりの発想を持って新しいことにも取り組んでもらえることに期待したい。市としても全体の所得の向上をテーマに、農業だけでなく、2次、3次産業と連携したところで市全体で取り組みたい」と制度の活用に期待する。

  17年度に交付を受けた同市下鹿妻の浅沼晶紀さん(42)は、市内で営業職をしていたが、15年2月に退職。兼業でキュウリ、ネギを中心に栽培していた父親の勇雄さん、母親の英子さんから経営を引き継ぎ、専業農家となった。「親からは特に継いでくれとは言われなかったが、農家なのでいずれはという思いがあった。体力的なことも考え、40歳を一つの節目として就農した」と話す。

  農機具は親のものを継いだが、肥料や農薬、種、苗を育てるための培土などは自分で一から準備が必要。「就農1年目から安定して農業を行うための準備資金になる。毎年、収穫が終わった後に土壌を調べ、薬をまいたり、肥料をまいたり、そういう準備にあると助かる。あまりあてにはしないが、収量の少なかったとき、価格が安いときの補填にもなる」と親元就農給付金の役割に感謝する。

  「本当は黙って務めていてほしかった。お父さんも務めながら兼業でやっていたので、何とか生活できた。これが専業なら大変だろうという思いがあった」。就農に当たり、母親の英子さんは心配した。今は晶紀さんに経営主体を移し、自身は手伝いに回る。「継いでもらい、私自身の気持ちが楽になった。自分が主体だと、朝から晩までやらなければならない。手が回らないこともあった」と話す。

  晶紀さんは現在、英子さんや妻の恵さんに手伝ってもらいながら、キュウリ20e、ネギ15e、水稲を栽培する。「会社員時代は農業のいいところしか見ないから、継いでみて親の苦労が分かる部分もある。本当に忙しく、一日があっという間。大変だけど、その分、自分に跳ね返ってくる面白さもある。今後は、面積を増やして、人を雇えるくらいに生産拡大できれば」と意気込む。


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