盛岡タイムス Web News   2018年  1月  12日 (金)

       

■ 解体前に目に焼き付け 旧馬検場、内部も見学 「モーリオの空」語り継ぐ企画 競りの思い出話も


     
   かつてのにぎわいを想像しながら、解体される馬検場を見学する参加者  
   かつてのにぎわいを想像しながら、解体される馬検場を見学する参加者
 

 間もなく解体される盛岡市松尾町の旧馬検場を見学し、そのかいわいで生きた先輩から話を聞く会が11日、現地で開かれた。同市の市民団体モーリオの空が、古き良き盛岡の記憶を次世代に引き継ぐ「モーリオのひと〜盛岡を語り継ぐ」の2回目として企画。市民17人が参加した。八幡町や旧馬町で生まれ育った高齢者らの話に耳を傾けながら、建物の内外を見学。馬産地岩手の歴史を刻んだ場を目に焼き付け、懐かしいまちの風景との別れを惜しんだ。

  馬検場の建物は、産馬事業組合が1904(明治37)年に旧馬町に建設し、1912年(大正元)年に新馬町(現在の松尾町)に移築した。馬検場部分は木造平屋建て185平方b。事務所などとして使われていた洋風の附属施設は木造2階建て308平方b。藩政時代から有数の馬産地だった岩手は、明治期の富国強兵政策で軍馬の一大供給地に。馬検場は農家や馬の仲介業者、軍関係者が一堂に集う「馬競り」の場として大変なにぎわいを見せていた。

  八幡町かいわいで育った吉田昌子さん(87)=同市本宮=は「懐かしい。子どものころは、馬がおっかなくて、馬検場には、あまり近寄らなかったけれど」と話す。馬そりの後ろにこっそりつかまり、雪の八幡通りを滑り降りたことや、祭りに出演する津軽民謡の歌手が家に泊まった思い出などを披露。松川信子さん(88)=同市本宮=は「競りとは言わず『おせり』と言ったもの」、下田文子さん(77)=同市松尾町=も「広い馬検場で自転車乗りの練習をした」などと少女時代をそれぞれ懐かしんだ。

  馬の競りが最後に行われたのは1995年。付属施設の2階を美術家の百瀬寿さんや建築家で写真家でもある伊山治男さんがアトリエとして使っていた時期もあったが、近年は老朽化が激しく空き家状態に。土地貸借の問題もあり、建物を管理する盛岡畜産農業協同組合(佐々木勲組合長)が解体を決定した。歴史建造物としての保存は困難で、解体を前に盛岡市教委が建物の状況を記録。教育者で郷土史家の新渡戸仙岳(1858〜1949)が揮毫(きごう)した「馬検場」の大額は今後、市が管理する。

  改めて、歴史を刻んだ建物に触れた参加者からは「県も馬事振興のPRにさんざん使ってきた場所。本来であれば、文化財としての保存に早くから取り組むべきだった」と惜しむ声も聞かれた。

  同市の会社員石田朋子さん(42)は「かつて、にぎやかだった時代の話が聞けて面白かった。建物がなくなってしまうのは残念だが、まちの歴史や記憶をつないでいきたい」と話した。

     
  かつてのモダンな雰囲気がしのばれる付属施設の内部  
  かつてのモダンな雰囲気がしのばれる付属施設の内部
 

 


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