盛岡タイムス Web News   2018年   5月  5日 (土)

       

■ 〈体感思観〉厳しい現実乗り越えるのは 馬場恵


 沿岸の古里に暮らす、いとこの一人息子が、この春、小学校に入学した。市の中心にあるこの小学校は、いとこにとっても自分にとっても母校である。新入学児童は19人。自分たちが入学した約40年前、同級生が120人近くいたことを考えると耳を疑う数字だ。「少子化」「人口減」という言葉には日々、接しているが、身近な数字を突き付けられ、改めて厳しさを痛感する。

  振り返れば、自分を含め多くの同級生が古里を離れた。夢を追い、目標を掲げ、新天地で活躍している人も少なくない。古里を離れたこと自体が悪いわけではないのだが、どこか後ろめたいような複雑な気持ちになる。

  盛岡市では先日、「5月3日は大通へいこう!」と銘打った復興イベントが繰り広げられた。クラフトショップなど27店が出店。出店料の一部や会場で集まった寄付金は、田野畑村、普代村の小中学校に寄付される。

  実行委員長を務める高橋真樹さん(53)は2011年、大震災で催事の自粛ムードが漂う中、「中心市街地ににぎわいを取り戻し、被災地の復興を応援する」と立ち上がった。「10年間は続ける」と宣言した通り回数を重ね、今年で8回目。10年かけ、被災した12市町村すべてに寄付金を届ける計画だ。

  最近は「まだやってるの」と、冷ややかな声も聞こえてくるという。「実際に被災した人は、つらい思いを忘れ、日常を取り戻すことが必要。でも、被災していない人は決して忘れてはいけない」と高橋さん。金額の多少ではなく、1年1度でも、被災地に寄せる思いを発信する機会にしたいと力を込める。盛岡生まれ、盛岡育ちの高橋さんの熱い志、その行動力に頭が下がる。

  厳しい現実を乗り越えるためには、評論家ではなく、自ら動くプレーヤーが必要だと言われる。自分には何ができるだろうか。古里で復興の先頭に立つ同世代を見るにつけ、考えさせられる。まずは今、置かれた場所で全力を尽くすしかない。


本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします