盛岡タイムス Web News   2018年   6月  1日 (金)

       

■  企業の来春採用予定 大学生対象の選考解禁 重要性増すインターンシップ


 来春入社予定の大学生を対象とした選考が1日、正式にスタートした。前年と同じ開始日。しかし、すでに選考を終わらせ、1日と同時に内々定を出す企業が大半で、経団連が定めた解禁日は有名無実化している。学生有利の「売り手市場」が続く中、都市部では、学生の8割が参加する採用活動前のインターンシップ(就業体験)から応募、採用につなげている。青田買いと言われる採用の早期化、抜け道の強化が、地方の中小企業にも求められ、県外流出を防ぐ策となりそうだ。

  学生向け就職サイト「マイナビ」の調査によると、4月末時点で来春卒予定者の就職内々定率は33・2%。昨年同期の内々定(23%)を上回った。企業は3月から選考を始め、6月1日と同時に採用内定を意味する「内々定」を学生に通知する。経団連のルールを順守すると、人材確保が難しい状況となる。

  岩手大人文社会学部4年の女子学生(21)は、仙台本社のインフラ関連企業の結果待ち。業種を絞らず活動し、3月から8社の選考を受けたという。

  岩手大工学部4年の高本遼さん(21)は、東京の大手ゼネコンの内々定を獲得。「3社のインターンシップに行き、そのうち2社から内々定をいただいた。インターンシップ期間で、具体的な仕事内容を知ることができた企業の方を選んだ」と話す。

  同学部4年の古舘俊希さん(21)は、仙台と東京の建設業2社から内々定を得た。「インターンシップで、入社後のイメージをつかめた。求人情報だけでは分からない企業の中身がわかり、応募の意欲も増した」と振り返った。

  採用解禁が3カ月繰り下げとなった3年前から、選考前のインターンシップを導入する企業が増加。採用目的の実施は禁止されているものの、仕事内容や会社の魅力を伝え、応募動機を形成する場として取り入れる企業は多い。

  学生側もインターンシップを就職活動の一つと捉えており、学生一人当たりのインターンシップ応募数は7・4社。平均参加数は4社(マイナビ調べ)。2017年6月の仙台市でのインターンシップ用企業説明会には、学生1808人が来場。前年度の686人の3倍となった。

  マイナビ岩手支社の三平達也支社長は「青森と秋田では、県が企業のインターンシップを支援している。それほど採用の鍵を握っているということ」と強調している。

  北日本銀行(盛岡市)は、今年度70人を採用予定。採用担当者は「選考の感触から、内定辞退が増えそうだ」とこぼす。エントリーは約1千人で5年前より2割減少。3年前からインターンシップの回数を増やし、実務を体験できる内容に変更したが、売り手の影響から都市部のメガバンクなどに流れる傾向にある。「6月1日に内々定を出し、辞退者が多ければ2、3次募集をかけて公務員志望だった学生などを獲得していく」と話していた。

  ドラッグストアを展開する薬王堂(矢巾町)は、3年前より2〜3割多い100人超えの採用数の見込み。「採用体制を強化した効果が表れ始めた」と採用担当者は手応えをかみしめる。2年前からの採用選任者を増やし、東北6県でのインターンシップを開始。会社の将来性、社風、働き方改革などを伝えるプログラムを組んで応募の動機形成を確かなものにし、エントリー数は昨年より3割増やした。「年々右肩上がりの業績を示し、信頼を得られた」と話していた。

  建築資材などの総合商社、三田商店(盛岡市)は、経団連の規定通り6月から選考する。昨年同様、内々定を得ている学生の参加が多いと予想しているが、選考、採用数に大きな変化がないとみている。「新卒採用を行う企業が増え、企業説明会での来場者は4年前より3割減っている。だが事前に情報を収集し、的を絞って応募先を決める学生が多い」と話していた。


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