盛岡タイムス Web News   2018年   6月  27日 (水)

       

■  動物と人の福祉動物園 民間主導の公民連携提唱 盛岡市の再生計画策定 初の検討会議で岡崎社長


     
   盛岡市動物公園再生事業検討会議で事業の考え方などを話す岡崎正信代表取締役(左)  
   盛岡市動物公園再生事業検討会議で事業の考え方などを話す岡崎正信代表取締役(左)
 

 来場者数の減少や施設の老朽化が課題となっている盛岡市動物公園の再生に向けた官民連携事業が大きく動き出した。市から岩山南公園を活用した観光振興および活性化のための基盤整備調査業務を受託したオガール(岡崎正信代表取締役)は26日、市動物公園の再生計画策定に向けた有識者による第1回盛岡市動物公園再生事業検討会議(座長・清水義次アフタヌーンソサエティ代表取締役)を開催。公開で行われた会議は、市職員や市民ら約110人が傍聴し、注目の高さをうかがわせた。今後は、8月、10月の検討会議、3回のワークショップを経て、11月に再生計画を策定し、市に提案する。

  検討会議で、オガールは動物公園の再生目的に▽動物公園の自立した運営の実現▽盛岡市の財政負担の軽減▽新たな社会教育施設としての役割をつくる―の三つを掲げた。再生の定義は「公民連携のもと民の稼ぐ力を活用した経済合理性のある事業の構築や運営体制の見直しを実行することで、市の都市経営課題の解決に寄与し、これからの時代にあった新しい役割を持つ動物公園の実現を図ること」とした。

  事業の考え方を▽民間が主導した上で行政がサポートに入る新しい公民連携▽単純に動物公園がリニューアルして来場者が増加するだけでなく、動物公園の再生が複数の都市地域経営課題解決につながること▽動物公園をきっかけに盛岡への居住や訪問につなげる広域エリアの魅力向上―と説明。動物がいきいきと暮らす姿を見せ、動物の持つ潜在的な能力を使って人の福祉を実現していく「動物と人の福祉動物園」をコンセプトに掲げる。

  事業コンテンツ案では、元気な老人が暮らせるシェアハウス、動物公園で働き住みながら高校を卒業する通信制高校、レストランなどの飲食、動物公園の名物となるチーズやチョコレート工場など障害者の就労支援施設、動物公園に住む集合住宅、保育園、動物愛護センターなどを構想として紹介した。

  事業を三つの段階で進める考えで、第1段階は「公共の投資」として仮称動物公園再生会社の設立、獣舎改修リノベーションの企画・設計・建設、動物愛護センターの企画・設計・建設など、第2段階は「公民連携による投資」としてウエルカムセンターやレストラン、休憩テラス、障害者就労支援施設整備など、第3段階は「民間による投資」として保育園、集合住宅、高齢者シェアハウス、民間複合施設の整備など。岡崎代表取締役は「公共がきちんと投資をすることで民間の投資を呼び込んでいく発想」とした。

  2016年度に約2・6億円だった動物公園運営に対する市の負担をリニューアル後は、獣舎改修費などに係る割賦償還金を除き1億円以下に軽減することを想定。そのために、年間約1・2億円の売り上げの確保が必要で、収益コンテンツの導入により16年度に1人当たり470円だった客単価を600円にする。

  検討会議では、円山動物園での勤務経験を持つ札幌市保健福祉局衛生研究所の向井猛係長が市動物公園の現状と課題で、動物の行動の特徴が分かる展示方法の工夫、視覚を遮らない紹介板の設置、量よりも質を重視したイベントの選択と集中などの必要性を指摘した。

  各委員からは「財政状況が悪化することで動物の福祉の質が低下し、病気になる。収支を確保してきちんと投資し、動物が健康でいきいきと輝ける環境をつくってあげることで、人が集まる施設になる」「何か一つ大きな転換が必要であるとすれば、動物公園として市民の日常の場所となり、そこを訪れる頻度を増すことが一番の収益向上につながる」などの意見が出た。

  市動物公園の辻本恒徳園長は「動物公園だけでない、いろいろな可能性を示してもらった。その可能性は市役所、県だけでは実現できないものもあるので、民間と手を携え、一つ一つ実現することで、動物公園も豊かになり、市民もわくわくできる場所になる。お金がなくてもできる人の知恵や汗をかくことも併せて進めていくことも必要」と話した。


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