盛岡タイムス Web News   2018年   7月  7日 (土)

       

■ 〈体感思観〉まっとうな社会支える大人の矜持 馬場恵


 通勤の道すがら毎朝、横断歩道に立って小中学生を見守る交通指導員やスクールガードに会う。ほとんどが、子どもたちの親よりはるかに年を重ねた人生の先輩。風雨をいとわない活動に心底、頭が下がる。

  先日、盛岡広域振興局で退任交通指導員に対する知事感謝状の伝達式が開かれた。感謝状を受け取ったのは盛岡市や八幡平市など盛岡広域4市町で活動した7人。活動年数は短い人で25年、長い人は46年に及ぶ。スキー大会や雪まつりなど、厳しい環境での活動も多く苦労は想像以上のようだ。これまでを振り返って語られたエピソードにも含蓄があった。

 かつて、繁華街から遠く離れた田舎では飲酒運転が多かった。交通指導員を40年務めたTさんは、この空気を改めなければと一念発起。地域の飲み屋さんを1軒1軒回り、飲酒運転撲滅へ協力を訴えた。周りには無粋に映ったかもしれない。けれど、この地道な活動が住民の意識を少しずつ変えていった。

  交通指導員歴45年のMさんは毎朝、子どもたちに丁寧な言葉であいさつすることを心掛けていた。「自分が発した言葉と同じ言葉が子どもたちから返ってくる。子ども扱いせず『おはようございます』とあいさつすると、子どももきちんと『おはようございます』と言う。大人がしっかり見本を見せることが大事だ」。普段、目立たない、こうした職務に対する矜持(きょうじ)や善意が、まっとうな社会を支えているのだと感じる。

  親の虐待による幼児の死、中高生の自殺など周りが何とか手を差し伸べられなかったのかと思う悲惨な事件が相次いでいる。一人ひとりが自分の良心に立ち返り行動を起こすことで変わる社会、救われる命もあると肝に銘じたい。
 


本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします