盛岡タイムス Web News   2018年   9月  24日 (月)

       

■ 盛岡市のサンビル 福祉のアンテナショップ開店 利用者主体の自立支援 喫茶スペース工房・恵


     
  さまざまな福祉事業所の弁当や菓子を取り扱う同店  
  さまざまな福祉事業所の弁当や菓子を取り扱う同店
 

 福祉商品のアンテナショップ「喫茶スペース 工房・恵(めぐみ)」が8月、盛岡市大通のサンビル1階のアーケード側入り口そばにオープンした。複数の障害者福祉施設の弁当、パン、菓子、コーヒーなどを、同市津志田の障害者就労移行支援事業所「工房・恵」(斉藤清所長)の利用者らで販売。市内のあらゆる福祉商品を発信し、その認知度を高める考えだ。同事業所では、利用者の長所や社会適応力を伸ばす多様な訓練を展開し、障害者が意欲的に働ける自立支援を進めている。

  「ファーム神明町」のトマトカレーや弁当、「ファーム仁王」のパウンドケーキやコーヒー、「パンのふじわら」の調理・菓子パン、サンドイッチ、「ぞっこん広場」の弁当、卵といった福祉商品など約25品を販売。飲食スペース(6席)もある。おいしいとリピートする周辺の会社員が多く、正午過ぎには完売する人気。連携する福祉事業所を広げ陳列商品を増やし、中心地に店舗を広げる計画だ。

  同事業所は2018年6月に開設。合同会社アースプランニング(斉藤恵美代表社員)で運営している。「就労支援事業所では一人前でも、一般社会に適応できない人は多い。知的、身体、精神、発達障害者の全員がしっかりと自立できる支援をしたい」との考えから、この事業所では、全員同一の作業はしない。障害の程度や利用者の希望に添って、実際の職場環境に近い訓練のカリキュラムを組む。

  そのため、利用者は現在5人だけだが、訓練内容はさまざま。店舗での接客、食品加工、看板制作、清掃、ポスティング、パソコン・中国語習得、書道などがある。同店の看板は利用者で制作し、サンビルから清掃業も任されたという。

  ADHD(注意欠陥・多動症)と診断されている利用者の下平拓真さん(20)は、集中力と美術センスを買われ、看板制作の仕事を担当。今年中の退所を目指す。「手掛けた看板が評価されると自信がつき、仕事への向上心も湧く。目標は運転免許を取って、障害者に寄り添える支援員になること。そのためにできる仕事を増やしたい」と力強く語った。

  斉藤所長(54)は「少子高齢化から社会保障費は増加し、ゆくゆくは福祉関連の支援費も削減される。その将来に備えるため、障害者が社会で働く厳しさや喜びを実体験できる訓練の場が必要と考えた」と開設の経緯を語り、「同店を通じて事業所の連携を広げ、ゆくゆくは福祉事業所の合弁事業(ジョイントベンチャー)を作りたい。複数の事業所で仕事を共有し、収益を分け合える仕組みを構築したい」と展望する。

  給付金要らずの事業収益を生み出すことで、利用者の工賃、職員の給与を増やして就労意欲をさらに喚起したいという。さらに、就労の道すじが描けるこの支援方法を、社会的弱者といわれる高齢者や生活保護受給者、シングルマザーなどにも広げていく考えだ。

  同店は午前10時から午後2時まで。
 


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