盛岡タイムス Web News   2019年    3月  19日 (火)

       

■  国内初のPGS認証(NGP国際有機農業運動連盟) オーガニック雫石が取得 生産者と消費者に信頼感 年度振り返り目標を共有 起点に地域づくりを


     
  西根保育所の食育活動などを話す高橋代表(右)  
 
西根保育所の食育活動などを話す高橋代表(右)
 

 雫石町で農産物の有機栽培に取り組む任意団体・オーガニック雫石(高橋勝明代表、会員22人)は昨年12月、有機農業のグローバルスタンダードを策定する国際NGO・国際有機農業運動連盟(IFOAM)から、参加型有機認証制度(PGS)の認証を受けた。PGSの認証は世界8番目、国内では初めて。同団体は8日、雫石公民館(同町源大堂)で2018年度の活動を振り返る報告会を開き、4月からの目標を共有した。雫石発で国内の有機農業の広がりが期待される。

  同団体のPGS認証は初挑戦した16年から2年越しの認証。当初は、同団体の活動年数の不足や関係人口の不足などを理由に、否認された。しかし、17年も挑戦し続け、18年に認証された。

  PGSは、世界121カ国以上848団体加盟の国際NGO・IFOAMが定義する地域に焦点を当てた品質認証システム。▽ビジョンの共有▽信頼▽対等性▽透明性▽参加型▽継続的学習―の六つの基本要素で構成され、小規模農家向きの認証制度とされる。

  PGSでは生産者と消費者は平等に扱われ、生産過程や結果を情報公開した透明性を確保した互いの信頼感に基づいて認証する。一定の基準はあるものの、目指すべきビジョンを共有し実践して、メンバーが学習し続けることが最も重要とされる。

  IFOAMが推奨する有機認証制度は、PGSの他に第三者認証制度があり、両制度を有機認証の両輪としている。国内では、第三者認証制度を利用した農水省認証の「有機JAS」が一般的。有機JAS法に適した生産がされているか検査するが、農地当たりの人的・金銭的負担の大きさから少数の大規模農家の認証にとどまっている。

  ただ、有機作物の需要は国内外を問わず拡大傾向にある。農水省18年4月発表の「有機農業をめぐる事情」によると、欧州の市場規模は3・7兆円(15〜16年)、米国は4・7兆円(同)で、市場規模は年々増大している。

  一方で、国内の市場規模は約1300億円(同)。有機農業の取り組み面積が欧州に比べて少ないことや、国内の有機野菜販売価格が通常の作物より約1・5倍高いことなどが理由とされる。ただ、有機野菜を購入していない層の6割が「価格と供給が安定すれば購入を考える」と考えており、潜在的な需要は大きい。

  8日の報告会では、18年度に各会員が取り組んだ活動を発表した。継続している食育活動では、地域の西根保育所(同町西根大宮)で園児と黒千石大豆を栽培。1月30日に会員提供の米こうじも使い、みそを造った。

  19年度も継続的な食育活動の他、定期的な英語教室の開催など、さまざまな活動を通じてビジョンを共有する考え。

  PGSの取り組みなどを紹介した加藤淳さんは「PGSは、有機農業を核とした地域づくりが本質にある。有機農業を起点とすることで、地域の外の人とつながる関係人口が拡大する。地域の風土を形作る農業にいかに関わり、地域と結び付くか。多様な人間とのつながりで新しい価値が生まれると思う」と熱く語った。

  高橋代表は「雫石町では、慣行農業とオーガニックが半々に行われれば理想的だと思う。有機作物の収量は収穫全体の8割で多くの人をまかなうのは難しい。ただ、9歳までに本物の味を知ることは健康で生きるためにも大切。そのため、オーガニックの食育は重要だと思う」と、春から本格化する今年の農業に情熱を燃やしている。


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