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| ▼ 2008年 7月 31日 ―一ノ倉邸の姉と弟展― |
| 一ノ倉邸で自然と遊ぶ「弟と姉展」が8月3日まで開催されている。西郷和子さんの弟さんの作品が中心だが、作品は「あけびづる」で編んだかご類に野の花や草が生けられ、緑に覆われた一ノ倉邸の自然とマッチしてとても素晴らしい。 ▼昨年は西郷和子さんが病に倒れられるなどして心配していたが、治療に専念されたこともあって無事に復帰された。夏場に入って草の伸びが余計に早くなっているが、西郷さんをはじめボランティアの方々の懸命な努力で庭園もきれいに手入れされていた。 ▼西郷さんは、弟から「元気をもらった」と語っているが、弟さんから藤つるを編むかご作りの指導を受けたようで座敷には2、3の作品が並べられていた。持ち前の責任感と気力があるせいか、途中までは弟の指導に頼っていたようだが、いつの間にか西郷流になってしまって独特の作品ができあがったようだ。次はイランのペルシャ文化との交流が計画されているようだ。じゅうたんと畳文化の交流がなされるのではないか。 ▼大広間に明治天皇の写真と書が飾られていたのが印象に残ったが、7月30日は明治天皇が崩御された日でもある。実際は前日の夜であったが皇族会議で遅らせ、宮内省の公示となった。「大正」に改元されたが、中国の易経にある「大いに亨を正すをもって天の道なり」から採られた。その日を考えて明治天皇の写真を飾っていたのだろうと思う。当時、この屋敷の主人だった阿部浩は東京府知事の職にあった。 |
| ▼ 2008年 7月 30日 ―地震予報に挑む人― |
| 天気予報のように、「○日ごろ○○地方に震度▽クラスの地震が起こるでしょう」といった地震予報を想像してみる ▼いつも地震は突然だから、せめてと願望もある。驚くことにそれに挑む人がいる。八ケ岳南麓天文台長・串田嘉男さんだ。多くの彗星や小惑星などを発見した天文家としても知られている。机上の理論でなく実際の観測データを蓄積。経験則で地震予測をしている ▼93年、FM電波による流星観測中に、流星による反応と異なる波長を発見。直後に地震が発生。何度も同様経験をする。95年1月には異常波長観察の数日後に阪神大震災が起きた。地震の前段階で地中力学により電気が発生。その電位的変化が上空の電離層に投影。それをFM受信機がとらえ、特有の波長を描く ▼観測結果をそう推論。前兆の早期把握ができることを確信。国内各地に受信機と記録装置を配置。発生時期や規模、場所の特定を試みている。当初はサイトに詳報したが、パニック連鎖などを恐れ05年に閉鎖。今は一部関係者だけに伝えている ▼的中確率は90%を超え今回の岩手北部地震も5月28日に前兆を検知。「7月23日プラスマイナス1日」と想定していた(先夜民放テレビで紹介)。でも串田さんは慎重。的中精度をより高め、社会の危機管理力も見極めて、予報を公開したいという。恐怖を和らげ防災や被害軽減に役立つことが悲願だ ▼電磁気学的地震予測学の確立も願う。やがて「地震予報」は具体化の日がくるかもしれない。 |
| ▼ 2008年 7月 29日 ―東北の航空路線を守れ― |
| 日本航空が花巻空港発着便の見直しを進めようとしている。花巻便は関空線と沖縄線の季節運航が運休対象になっているようだが、日航では花巻空港のみならず、東北の空港全体の発着便を縮小させようとしている。燃料価格がこの1年で大きく跳ね上がっていることが経営を圧迫しているためだ。 ▼全日本空輸でもここ数年前から廃止や減便を実施している。航空燃料費の高騰や航空機の更新による運航コスト増のためである。その対策として、搭乗率の低い路線や不採算路線の減便、廃止を採ってきている。 ▼長期的な展望の下に地方空港の整備が進められてきているが、運行休止等の施策が突然とられては、空港ビル会社や地元の商工観光経済は大きな打撃をこうむる。 ▼花巻空港では関空便と沖縄便の季節便が見直しの対象になっているようだが、福島空港では来年1月をもって日本航空の伊丹・関空便、沖縄線の廃止に加えて、空港事務所や福島支店の廃止まで通告されているようだ。 ▼青森、秋田、山形には2つずつあって東北には計9つの空港がある。中には国際線の強化を図っている空港や貨物便を増強している空港もある。国内便については新幹線の延伸等で逆風が吹いている空港もある。東北の空港が連携をとって東南アジアやロシア便などの海外便を運航させる道や貨物便や広域観光など、それぞれの機能や役割分担を活かしていく方法もあろう。まずは知恵を絞って需要を掘り起こすことが先決である。 |
| ▼ 2008年 7月 28日 ―野茂投手の偉業― |
| 一つの仕事を終えて「悔いがない」と言い切る。多少の虚栄を含むとしてもそれも人間味だろう ▼大きな仕事をしたが「悔いがある」と言う場合。謙虚さだけでなく情念や未練のようなものも感じられ、ひとしおの人間の味がにじむ。17日に引退表明した野茂英雄投手がそうだった。彼は「引退する時に悔いのない野球人生だったという人もいるが、ぼくの場合は悔いが残る」と語っている ▼その野球人生は英雄という名前のごとく、米大リーグへの道を開いたヒーローそのものだ。1995年に渡米。ドジャース入りした1年目に236奪三振を記録。オールスター戦にも先発。新人王と奪三振王も獲得。当時のクリントン米大統領も「日本からの最高の輸出品」と称賛した ▼日本球団ではいわば《輸入》の外人選手は珍しくなかったが、大リーグ入りしていきなり大活躍する野茂の姿は、米国民には新鮮に映ったことだろう。腰を大きくひねる独特のトルネード(竜巻)投法も本場ファンを魅了した。大リーグでは123勝(日米通算201勝)を上げ、史上4人目となるナショナル、アメリカン両リーグでのノーヒットノーランも達成。日本野球のレベルの高さを示しつつ、後進へのルートを切り開いた ▼イチロー、松井秀喜、松坂らが後に続き、現在も14人の日本人選手が大リーグで活躍している。2度のひじ手術。解雇も経験。転々とした球団。悔いもあろうが、開拓者としての輝かしい偉業は長く語り継がれていくだろう。 |
| ▼ 2008年 7月 27日 ―風評被害をどうする― |
| 夏の観光シーズンを前にして岩手県全域に観光関連施設で「予約キャンセル」の被害が出ている。観光協会などの調査ではキャンセル数は3〜4万人になるとしているが、このうちの約半数は客の申し出によるもので、その理由は「地震が発生した場所にあえて行く必要がない」という風評的な被害だと言われている。 ▼6月の内陸地震によって直接的な大被害を受けたのは一関市、奥州市、宮城県栗原市でしかも山間地が主であるが、全く被害が無かった周辺の施設でも風評被害はこうむっている。7月19日からの3連休に、網張温泉に出かけてみたが予想されたようなにぎわいがなかった。地震による風評的な被害であろうかと思ったが、宿泊施設や物販店ががら空きでは夏の営業実績が思いやられる。 ▼そこで岩手・宮城のホテル旅館の「おかみ会」や県・市町村の観光関係者が首相官邸や国土交通大臣に直接出向いて営業案内、PRに務めたが、その矢先の沿岸北部地震である。東京圏のJR駅などでキャンペーンを行い「いわて・みやぎの安全情報」を発して客の誘致活動を展開している最中だった。 ▼地震の風評が浸透してしまっては、間近に迫った夏の営業につなげるのは難しいかもしれない。もし時間不足というのなら、この夏は県内客や仙台、秋田、青森などの近隣からの誘客に重点を置いたほうがよいのではないか。東北は景気がいまいちだから「安・近・短」の方向に動いていることに目を向けなければならない。 |
| ▼ 2008年 7月 26日 ―テレビデジタル化は丁寧に― |
| 年金問題や後期高齢者医療制度でも痛感したが、国民の暮らしに影響の大きい施策は丁寧な説明が欠かせない ▼3年後の7月25日から、今までのテレビ(アナログ方式)が使えなくなるという地上デジタル化問題についても、散発的にメッセージが出されてはいるが、そろそろ網羅的に分かりやすい説明を始める時であろう。テレビは今やほぼ全国民、全世帯に普及している ▼3年後までにデジタル方式に移行するこの事業は、前提としてすべての視聴者に買い替えや受信機取り付けなどを迫る。経済効果も半端ではないが、何よりも機器にうとい人も含め、全国民を巻き込む大事業であることを忘れてはなるまい ▼趣旨を知らないままでいると、旧来のテレビは11年7月25日から画面に何も映らなくなる。大半が理解し切り替えたとしても「あ、映らない」と困惑する人を残してはならない。「最後の一人まで」の周知啓発がこの移行事業でも生命線だ ▼切り替えには@デジタルテレビに買い替えるA今までのアナログテレビにチューナー(受信機)を付けるBケーブル(有線)テレビに加入する、のいずれかを選ぶことになる。どの方法も少なからずお金が掛かる。これも丁寧さが求められる由縁だ ▼切り替えは自己責任の形だが、移行の円滑な遂行は国の責任だ。24日には国民運動推進本部も発足した。メディア任せではなく、例えば一人暮らしの高齢者にも、分かりやすい言葉で趣旨が伝わるような、きめ細やかな対応もほしい。 |
| ▼ 2008年 7月 25日 ―地震慣れ― |
| 岩手は「地震大国」になってしまったのだろうか。深い眠りについたばかりの24日0時26分ごろ、最大震度6強(M6・8)の岩手県沿岸北部地震が発生した。異常な揺れだと感じていたところ縦、横の激しい揺れに転じて額縁が落ちる音がしてきた。枕もとのラジオのスイッチを入れたところ、洋野町付近が震度6強で最もひどく、盛岡付近も震度5弱で結構強かった。 ▼震源地は沿岸北部で108キロの深層部であったため、揺れの範囲が広範囲になっている。6月14日の岩手・宮城内陸地震の災害復旧に取り組んでいるときに、今度は岩手県沿岸北部に大型地震の発生である。前の地震は震源地が地下10キロと浅かったため地すべりなどの大被害を起こしたが、今回は震源地が深かったために建造物等の損壊が広範囲に起きている。7月19日には福島県沖で震度5程度の地震が起きているし地震恐怖症になりそうだ。 ▼今回の地震では、建造物の損壊や落石等による道路の通行止め、水道管の破損による断水や停電などの被害が出ている。新幹線の運休をはじめ交通機関への影響も大きかった。割れたガラスによるけがや避難の際に転倒するなどして合わせて107人の重軽傷者が発生した。 ▼調査が進むに従って被害が大きくなっていくことと思われるが、政府や県などの対策本部の立ち上げは早く、地元消防や建設業者などの応急復旧への対応も早かった。「地震慣れ」による成果と思われるが、地震はもうこりごりだ。 |
| ▼ 2008年 7月 24日 ―自民幹事長の目くらまし発言― |
| 政治家は言葉が命といわれるが、有権者に神経を使いすぎても無神経でも耳障りがする ▼例えば「〜とお訴え申し上げる次第でございます」とばか丁寧な言い回しもよく耳にする。国民にこびへつらうようで、聞いていると歯が浮いてくる。脇にいた高校生が「『お』も『申し上げ』もいらないよ」と笑っていたこともある。神経を使いすぎて響きが不自然になる一例だろう ▼選挙の日程が取りざたされるようになると、この種のおもねるような言い方が目立つようになるものだが、逆にポロリと本音が出てしまうこともある。命であるべき言葉をぞんざいに扱うから、無神経な失言居士のらく印を押され、政治生命に自ら傷を付けることにもなる ▼自民党の伊吹文明幹事長は16日に京都で講演。消費税率引き上げについて、総選挙の前にすべきではないと強調。「(選挙に)勝とうと思うと、一種の目くらましをしなければしょうがない」と発言した。無神経なのか正直なのか。選挙に勝つためには有権者の「目くらまし」が必要と公然と言ってのけた ▼辞典にはその言葉は「相手の目を欺くこと」と載っている。有権者をだましてでも選挙に勝ちたいという趣旨になる。それが党幹事長の発言なのだから怒りを超えて気の毒になる。永田町暮らしが長くなると、民心が見えなくなるのだろうか ▼国民の眼光の鋭さは、仮に欺こうとする本音を隠しても、それを見抜いてしまう。その意識の高さを見誤ると支持は遠のくばかりだろう。 |
| ▼ 2008年 7月 23日 ―秋篠宮ご夫妻が来県― |
| きのうは「大暑」で、暑さのピークに入っている。このところ30度を超す猛暑が続き、首都圏などでは学校も夏休みに入ったようだ。大船渡市では第6回海フェスタが開催されている。秋篠宮、同妃殿下が記念式典ご臨席などを目的に新幹線で本県に入られ、20日には宮城県栗原市と一関市の地震被災地を慰問された。21日には釜石市の県水産技術センターを視察され、22日には大船渡市の視覚障害の老人福祉施設を慰問され、海フェスタ記念式典に臨席された。 ▼皇族が大船渡市内をご訪問されるのは、昭和49年5月の天皇、皇后両陛下がご巡幸されて以来というから34年ぶりになる。しかも大船渡市で開催される各種式典に皇族がご臨席されたのは初めてというから、今回の第6回海フェスタは記念の祭典になった。 ▼忙しい日程の中で岩手・宮城内陸地震の一関市の被災地では秋篠宮、同妃殿下が避難生活を続けている被災者一人ひとりに話かけられお見舞いをされて元気を付けられた。また釜石市の水産技術センターと大船渡市の海の総合展では魚の研究をされている秋篠宮様が楽しそうにご視察されている姿がテレビに映し出されているのが印象に残った。 ▼記念祝賀会にもご臨席されたあと、22日の午後にJR水沢江刺駅から東京にお帰りになられたが、精力的に公務をこなされて市民もうれしかったろう。海フェスタはこのあと27日まで、セミナーや展示会など盛りだくさんの行事が予定されている。 |
| ▼ 2008年 7月 22日 ―中国女性が芥川賞受賞― |
| 日本語を上手に話す外人横綱登場のときにも、感じた時代の流れ ▼今度は日本語で上手に書いた小説「時が滲(にじ)む朝」で、中国人女性が08年上期芥川賞に輝いた。これも国の敷居の低さを感じさせる時流だろう。受賞したのは楊逸(ヤン・イー)さん、44歳。日本に住む伯父から送られた写真を見て「服がきれい」と目を見張り訪日を夢見た少女時代 ▼23歳のときに御茶の水女子大に留学。夢がかなう。現在は語学講師をしながら日本語小説に挑む。中国で生まれ育ち、成人してからの来日だから言葉の壁は厚いのに、日本文壇へのデビュー。日本語習得の努力は並大抵ではなかろう。テレサ・テンや松田聖子の歌で聞き取り訓練もしたという ▼前作も昨年下期の候補作となったが、日本語が粗雑だとして選に漏れた。今回はそこを克服。文化大革命から北京五輪に至る中国近現代史も視野に入れ、特に学生らの民主化運動が装甲車につぶされた天安門事件を軸に、主人公の青年らが理想に生き挫折に苦悩する姿を描いた ▼事件後主人公は日本人女性と結婚。国境を越え日本に住む。著者は天安門後の中国にも触れている。ついて行けない人もいるし、行ける人もいる。「もう民主化を騒ぐ時代ではなくなったのよ。私だって中国のオリンピックの支持者だもの」というせりふは印象深い ▼かつて楊さんは、「日本の小説は繊細。私は大きくて本質的なものを書きたい」と語っていたが、その思いが結実したような力作である。 |
| ▼ 2008年 7月 21日 ―環境と健康― |
| 沙羅双樹の白い花は1日だけ咲いて翌日は落ちてしまう。猛暑の中で咲く白い花は格別きれいだがもったいない。別名「娑羅双樹」とも言われ、釈尊が涅槃(ねはん)に入った臥床(がしょう)の四方に2本ずつあった娑羅樹といわれている。 ▼俗に夏椿とも言われるツバキ科の落葉高木であるが、見た感じはサルスベリに似ている。大きな白い花を1個ずつ開くが、開花後間もなく散ってしまうので、盛者必衰の理をあらわしているように思われる。 ▼盛岡市上田の盛岡市体育館の北側には見事な沙羅双樹が数本植えられていて初夏には毎年いい花を咲かせている。朝方の通勤時は元気だが昼になると地面に白い花びらがたくさん落ちている。この樹木が山地に自生していることは知らなかった。 ▼会社の近くにそば処「雪峰庵ぽらあーの」があり、市内で住宅販売会社を経営している社長が見えるので、時折二人でそばを食べに行く。二人ともにそば通のため「大盛りそば」を注文し、最後はそば湯でしめている。 ▼今年の夏は猛暑続きだが二人ともうちわで涼しさを呼んでいるのも似ている。部屋にはクーラーも付けず扇風機も置いていない。もっぱら扇子かうちわで風を起こしている。やはり、環境というものは大事だ。 ▼先日洞爺湖で開かれた3日間のサミットでは現地に2万人、東京に2万人の警備員を配置した。それで「温室効果ガス削減」を話し合っているのだからおかしい。身の回りをもっと見るべきだろう。 |
| ▼ 2008年 7月 20日 ―裁判員制始動の前に― |
| 市民がプロの裁判官とともに、重大犯罪を裁く裁判員制度は来年5月に施行される ▼実際に裁判員が加わるのは、7月下旬ごろからとされる。常識的な市民感覚で審理に臨めばいいということなので、身構える必要はないらしい。それでも参考にしようと近刊の「日本の刑罰は重いか軽いか」(王雲海著・集英社)を読んだ ▼国によって刑罰に違いがあることを、日本、中国、アメリカ3カ国の比較検討で述べている。結論として刑罰が重いか軽いかより、国の特徴を問うよう勧める。中国は権力、米国は法律、日本は文化を原点とした特徴が見られるという指摘は興味深い ▼例えば日本は、死刑適用件数は少ないのに死刑制度を廃止しない。そこに情けとけじめの文化を見ている。「情」で判断する傾向は、裁判員としては留意する必要がある。ほかに「えん罪」も自戒させられた。中国での実例が紹介されている ▼95年3月、強盗殺人犯として逮捕した21歳の青年に容疑否認のまま死刑判決。翌月処刑。10年後に真犯人が現れた残酷な事件だ。日本では死刑確定者が無罪となるえん罪裁判が戦後4件ある。14日には東京高裁が41年前の強盗殺人事件で、無期懲役が確定している2人の再審開始を決定した ▼これも客観証拠でえん罪立証が濃厚だ。自白強要や証拠ねつ造が判断をゆがめる。無実で極刑や無期という事例の多さは、裁判員をおびえさせる。裁判員制度始動まであと1年。取り調べ可視化など裁きの客観性確保は急務だ。 |
| ▼ 2008年 7月 19日 ―国際石油資本のあり方― |
| 原油高が世界の経済を揺るがしているが、このような「石油バブル」の状況がいつまで続くのだろうか。 ▼産油国の王様たちは潤っているが、原油高は広範な産業をコスト高に追い込み、あらゆる物価の値上げを招き、食料品の値上げ等が台所を直撃している。またコストアップで企業の一部には収益悪化を招いている。 ▼北海道洞爺湖サミットでもCO2排出抑制や環境問題には触れたが石油バブルの対策には手をつけなかった。 ▼アメリカのサブプライムローンの失敗で、金融資本が原油や穀物に流れニューヨークの先物取引市場で原油先物価格が跳ね上がった。やがては1バレル180〜200ドルになるという。原油の価格は1バレル60ドルが適正と見られているが金融ファンドによって80〜140ドルの値上がりを招いている。どこで天井に届くのかは分からないが、いずれバブルが止まって下降線をたどるのが経済理論とされているが、その期間が半年なのか、あるいは1年なのかは分からない。 ▼世界の金融機関がサブプライム金融危機で約100兆円の総損失を出したと国際通貨基金(IMF)では推計しているようだから、それに見合った挽回(ばんかい)策を講じているのだろうか。 ▼地球上のエネルギーにかかる事柄が産油国にゆだねられているのも問題だが、産油国の都合ではなくて投機相場で2倍、3倍にも跳ね上がる仕組みにも問題がある。国際石油資本のあり方を国連等で管理すべきと考えるがどうだろう。 |
| ▼ 2008年 7月 18日 ―国語の良き先生逝く― |
| 日本という国の言葉を習う国語。幼児期から習得が始まるが基本は「話す、読む・書く」だ ▼義務教育だけでも9年間も学び、社会人になってからも読んだり書いたり話したりしているが、完成度を問われると自信がないという向きが多いのではないか。書く仕事をしている当方なども自戒の日々である。大人になっても教えてくれる先生はほしい ▼14日に88歳で他界した国語学者の大野晋さんは、その要請に応えた国民的な《国語の先生》だったといえよう。国語力を啓発するために書いた著書は分かりやすく説得力がある。99年に出した「日本語練習帳」(岩波新書)は192万部も売れている ▼文の骨格や助詞の用法、敬語の基本などを練習問題も示しながら平易に解説。読者はページを繰りながらなるほどとつぶやく。「は」と「が」の違いなども例文を引いて説明している ▼A「D外相は来日した」B「D外相が来日した」。Aの「は」は予定していた通り来日の場合。Bの「が」は予定外で新情報だぞという趣旨。そんな細かな書き分けがあることも教える。子供も大人も新聞記者にも参考になる「練習帳」だ ▼言語研究の専門家として、南インドのタミル語が日本語の起源と唱え、根拠が不確かだと批判を浴びたこともある。当人は「学問は空想力が大切。百年もすればはっきりするだろう」と応じたという。おおらかな一面も持つ学究だった ▼カタカナ語のはんらんを嘆き、国語習得の精密化を訴えた良き先生だった。 |
| ▼ 2008年 7月 17日 ―三陸沿岸漁業を見直すチャンス― |
| 命懸けで捕ってくるマグロなどの高級魚はなるべく食べないようにして、沿海ものの小魚類や海藻類を極力食べている。 ▼近年、日本食ブームで魚介類の需要が高まってきているが、三陸沿岸漁業を見直すチャンスが訪れているのではないか。米などの農産品の需要が低くなってきているときに、魚介類の嗜(し)好が多くなってきていることに着目すべきだ。 ▼三陸沿岸は立地条件に恵まれ、育てる漁業の時代が到来しているといえる。15日には全国の漁業関係者が前代未聞のゼネストを行ったが、三陸沿岸漁業の基地となっている本県では、全国に先駆けて何らかの手を打つことを考えなければならないのではないか。 ▼米作農家や畜産農家でも漁業と同じような問題を抱えている。飼料や肥料の値上がり、そしてガソリンなど燃料代の値上げが続いている。畜産や養鶏等の飼料などは輸入品に依存しているがなんらの措置もなされていない。農家では肥料や飼料を購入して自らが育てなければならない。大海に出て行って漁獲する狩猟型の漁業とは異なって条件がもっと厳しいとした見方もあろう。 ▼逆に、漁業は不安定な収穫を目当てにして、命懸けで危険な航海をしなければ魚の収穫が得られない。漁業は広大な海を相手にした仕事、農業は農地を相手に台風や冷害等との戦いをしながら地道に育てる仕事である。漁業も農業もそれぞれに特有の問題や悩みを抱えている。しっかりとした取り組みがあってしかるべきだ。 |
| ▼ 2008年 7月 16日 ―コーヒーモカ豆から農薬検出― |
| 自称・コーヒー通の友人がいて、講釈を聞かされることがある ▼砂糖やミルクはやたらに使わずなるべくブラックで、豆そのものの味や香りを楽しむつもりで飲むのがいいというのが持論だ。それが通のたしなみだと言いながら、砂糖を入れた方がまろやかさが増すものもあると、補足も忘れない ▼例えば1杯分の抽出が少量で苦味や酸味もあるエスプレッソは、小ぶりのカップで砂糖をたっぷり入れて味わうのが基本だという。こくのある舌ざわりとフルーティな芳香が魅力らしい。彼のコーヒー談義は自らのこだわり銘柄にも触れる ▼それはアラビア半島イエメン産のモカマタリだ。優しい酸味と優雅な香りの逸品だという。はまったきっかけが面白い。1961年に西田佐知子が歌いヒットした「コーヒールンバ」の歌詞に、モカマタリが恋心を呼び覚ます素敵な飲み物として出てくる ▼西田の大ファンだった彼はそれにしびれ、モカ固執が始まったというのだ。モカの呼称はかつてのコーヒー輸出港の名前にちなむ。マタリはイエメンの主要銘柄。ほかにエチオピア産の銘柄数種にも、港利用の由来からモカの名が付いている ▼彼だけではなく日本でもモカファンが多いが、少し心配な報道がある。2カ月前にモカ系コーヒー豆から基準値を超える残留農薬が検出され、輸入を見合わせる事態になっているのだ。全国的に品薄傾向も出始めている ▼コーヒー豆に罪はないが、農薬不安の広がりは飲み方講釈以前の深刻さである。 |
| ▼ 2008年 7月 15日 ―岩手・宮城内陸地震から1か月― |
| 岩手・宮城内陸地震からきのうで1カ月が経過したが、被災者支援や災害復旧が順調に進んでいるのだろうか。岩手・宮城にまたがる栗駒山周辺を震源地とする最大震度6強の大規模地震が発生したのが6月14日午前8時43分頃。その後も震度1以上の有感余震が12日現在で500回を超えていると気象庁で発表している。 ▼気象庁の見通しでは、7月5日で震度3以上の強い揺れが発生していないことから、震度4以上の余震が発生する可能性はほとんどなくなったとしているが、地震規模の大きいマグニチュード4以上の余震が発生から4週間で50回を超えたのは1995年の阪神大地震の50回を上回るものである。 ▼震源地は栗駒山を中心に長さ40〜50`、幅15`程度の範囲内に分布しているが、広い意味では新潟県中越地方とつながっているのではないかと危ぐをしている。今回の地震では、一関市や奥州市などの建設業者が応急・復旧作業にいち早く立ち上がっている。自衛隊や地元消防団などの発動も早かったが、地元自治体なども含めて被災者や作業員の食事の支度等で災害時の応急緊急の対応策に反省すべき点も多いと聞いている。 ▼被害額は本県分がいまのところ294億円とはじかれているが、盛岡や三陸地方でも観光地のホテル、旅館のキャンセルなど風評被害が大きくなっている。つなぎ・鶯宿温泉等では関東地区からの予約がピッタリ止まっているとかで夏以降の営業が心配されているようだ。 |
| ▼ 2008年 7月 13日 ―加藤紘一氏の問題発言― |
| 自民党の加藤紘一元幹事長が、7日夜の日本BS放送(衛星11)で語った拉致被害者をめぐる発言が波紋を広げている ▼02年に北朝鮮から帰国した曽我ひとみさんら拉致被害者5人について、あの時に北へ返すべきだったと述べたのだ。やっと故国の土を踏んだ拉致被害者だが、確かに当時の国と国との折衝では、それは一時帰国の約束だった ▼だが家族も多くの日本人も、再び被害者を加害国へ戻すことなど考えられなかった。政府もその意をくんで帰国者をそのまま日本に居住させることを決定。その旨を北へ伝えたという経緯はある。あの時は官邸にも約束通り返すべきという異論もあったというが、加藤氏は番組でそれを蒸し返したのである ▼一時帰国は国家間の約束だから戻すべきだった。戻さなかったから日朝間の問題が打開できなくなっていると主張したのだ。まるで北の代弁者だと直後から非難が噴出。議員辞職を求める動きも起こり、拉致被害者家族会と救う会も不見識極まりないと抗議声明を発表。与党内からも批判が出た ▼当人の釈明文も読んだが不審は募る。帰国から6年近くも経過した今、なぜ加害国の言い分に堕した見解を述べるのか。戻す、戻さないと論議すること自体、被害者を国家間の取引カードにし、人質にする発想だろう。加藤氏も2世議員。お坊ちゃん政治家が陥りがちな軽薄さも浮かぶ ▼拉致問題は与党内で意見を割っている場合ではない。福田総理にも旗色を鮮明にしたかじ取りを望む。 |
| ▼ 2008年 7月 12日 ―魅力不変の古都平泉― |
| 北海道洞爺湖サミットでは世界の食糧事情が大きな議題となったが、今年に入ってから穀物の値上げが続くなどで深刻な状況が浮き上がってきている。日本の食も危機的な状況になっていることも分かってきた。特に小麦やトウモロコシの生産国では自国の消費に向けるために輸出の禁止や制限を加える国が出てきている。 ▼わが国は、農業の荒廃によって食糧自給率が40%を切った中で、海外の需要増などに伴う輸入途絶も懸念される。食糧自給率を高めることの対策を考えなければならない。 ▼2006年の農林水産省の統計によると、いま食糧自給率が100%を超えている国は、オーストラリア237、カナダ145、米国128、フランス122%の4カ国となっている。逆に日本が39、韓国46、スイス49、オランダ58、イタリア62、英国70、スウェーデン84、ドイツ84、スペイン89%となっている。 ▼日本の中で農産品の生産高が多い地域があっても、そこに働く農民が外国人で占められているところもある。例えば山梨県の八ヶ岳の高原野菜栽培などは外国人労働者や学生アルバイトが中心になっている。そのほかには海産物加工や養鶏場などでもそのような形態が見受けられる。 ▼生産地が日本として表示されているものの、実態としては外国人などによって生産されているのでは純然たる日本産と言うのに抵抗を感じる。ウナギ養殖の問題だけでなく、休耕田の活用方などを見直して国産の食物を増産すべきである。 |
| ▼ 2008年 7月 11日 ―魅力不変の古都平泉― |
| 世界から拒まれた顔と、世界を拒んでいる顔。三島由紀夫著「金閣寺」にそんな描写がある ▼前者には悲哀のようなものが漂い、後者には世俗の品定めを拒否するような凛(りん)とした美しさがあり、近寄りがたい奥ゆかしさがある。拒むという表現はきついが、ユネスコの審査で平泉の世界文化遺産登録が今回は見送られたという知らせに、その小説のくだりがよみがえった ▼期待に反して世界から拒まれた形の平泉だから、県民の間には落胆の気持ちも漂う。だが仏教理念に裏打ちされた平和思想には、近寄りがたい壁があるのかもしれないが、理念の普遍的価値や人々を魅了するたたずまいは、きのうもきょうも変わらない ▼中尊寺をはじめとする九つの史跡にも、歴史と文化の不変の光彩がある。全国からも声援が寄せられている。朝日新聞の天声人語にも、お墨付きなどなくても平泉は十分味わい深く魅力的である(9日付)とあった ▼世界遺産登録は人類共通の宝として認知されることだから、お墨付きはあるに越したことはないが、見送りに深刻になることもなかろう。関係者のご苦労には頭が下がるが、文化遺産としての普遍的価値を宣揚し、認知度を高めながら次回を期そう ▼07年時点の世界遺産登録総数は851件(日本は14件)に上る。保全状況の把握が限度にきているユネスコ側の事情もあるらしく、審査も抑制傾向という。次はその壁を突破できるように、平和の古都・平泉を世界へ再発信していきたい。 |
| ▼ 2008年 7月 10日 ―高校野球きょう開幕― |
| 第90回全国高校野球選手権記念岩手大会がきょうから始まる。高校球児のあこがれとなっている甲子園出場を目指して日ごろの練習の成果を十分に発揮してほしい。 ▼今大会には78校が参加する。岩手県営球場など6つの会場でただ一つの全国大会出場権を争う。6月14日に発生した岩手・宮城内陸地震では犠牲者が出たほか、土砂崩壊や地割れによる農林水産物や建造物などの被害、また道路の決壊など多大の被災をこうむっていまなお復旧作業に取り組んでいるところだが、球児らのはつらつとしたプレーがきっと県民に大きな元気を与えてくれる。 ▼組み合わせ表によると、第1、第2シードには盛岡圏の学校が入っていない。それに準じたシード校には盛岡市立、盛岡工業、盛岡四が名前を連ねている。しかし、これは春の大会が評価されてのことで、夏の大会に向けて各校が練習を積みかさねてきているだけに実力は横一線と言えるだろう。とりわけ今回は乱戦ムードが高まっており、どのチームにも甲子園出場のチャンスがあるのではないか。驚くような試合が展開されるのではと期待感も高まる。 ▼平成10年以降の過去10回の大会では、盛岡大附が3回、盛岡中央が1回の合わせて4回、盛岡勢として甲子園大会出場を果している。今年はどうだろうか。選手諸君や監督はもとより、学校関係者、競技審判員、父母、OB会、県民各位の支援の下に熱戦と感動のある試合が展開されることを期待してやまない。 |
| ▼ 2008年 7月 9日 ―振り込め詐欺に警戒を― |
| お笑いコンビのテツand(あんど)トモが売りにした「なんでだろう」が、新語・流行語大賞に選ばれたのは03年のこと ▼そのせりふをあざ笑うように同年に急増したのが「オレオレ詐欺」だ。コンビの話芸を聞くたびに、卑劣なその詐欺を連想したことを思い出す。電話でその気にさせられ、だまされて大切なお金を振り込んでしまう。だから「なんでだろう」とつぶやいてしまう ▼注意が反復されたが、この種の詐欺は年を追って手法も巧妙になり、現在も後を絶たない。警戒を強める必要がある。孫などを装い電話をし金をだまし取る犯行は、1980年代のころから起きている。当初は担任などになりすました犯人が、直接被害者から金を受け取る手口だった ▼その稚拙な手法は次第にずる賢くなり、指定口座に振り込ませるやり方が主流になる。名称もオレオレ、なりすまし、架空請求などと呼ばれていたが、警察庁が04年に「振り込め詐欺」に統一した。犯行の急所が「振り込ませ方」の巧みな誘導にあることを物語る ▼今年の被害額は岩手も全国も過去最悪のペースだ。全国で毎日およそ1億円がだまし取られているという。先月25日には県警にも対策本部が設置された。税金、保険料、医療費などを戻すという還付金詐欺も目立つ。これも巧みに手数料名目などで振り込みを誘導する ▼「至急に」と振り込みを急がせるのが振り込め詐欺の特徴だ。その手口などを機会あるごとに伝え合って、警戒を強めていきたい。 |
| ▼ 2008年 7月 8日 ―平泉は「登録延期」― |
| カナダのケベックで開かれていたユネスコ(国連科学文化機関)の第32回世界遺産委員会は7日朝(現地時間6日)、中尊寺などを含む「平泉〜浄土思想を基調とする文化的景観」の世界遺産への登録見送りを決めた。 ▼6日の深夜から登録決定通知を首長くして待ち、印刷に備えていたが7日9時過ぎになって残念ながら登録見送りの知らせが届いた。 ▼1993年以降、日本の自然・文化遺産はあわせて14件が世界遺産登録されているが、今回、国内の物件で初の落選となったことは残念だ。今後は文化庁などと協議しながら推薦書の再提出で2011年の登録に向けた活動を展開していくことになったようだ。 ▼5月にユネスコの諮問機関であるイコモス(国際記念物遺跡会議)からは「普遍的な価値の証明が不十分」などという指摘を受け「登録延期」の勧告が出された。その後、県は政府を通じ21カ国の世界遺産委員国に対して浄土思想の理念である「平和の希求」や「自然との共生」などを説明して逆転登録を目指してきたが、イコモスの評価を覆すことができなかった。 ▼国内の暫定リストには平泉のほかに古都鎌倉の寺院・神社や富士山など8物件が登録されている。また、新たに暫定リスト入りを目指す物件もあって観光や地域振興の手段として世界遺産への関心が高まっている。 ▼登録の厳格化が進んではいるがひるまずに世界遺産登録に向かってさらなる努力を展開していくことが必要であろう。 |
| ▼ 2008年 7月 7日 ―洞爺湖サミット始まる― |
| 七夕の天候はどうだろうか。天の川が見えるかどうか例年になく気になる ▼地球温暖化問題などを議論する洞爺湖サミットがきょう始まる。福田総理は7月7日を、今年から「クールアース・デー」(地球温暖化対策の日)とし、低炭素社会について国民とともに考え、行動する日にしたいと述べている(「内閣メールマガジン」7月3日号) ▼20時から22時まで全国の施設や家庭で電気を消す「七夕ライトダウン」が行われることにも触れ、省エネ生活の第一歩として電気を消し、家族で天の川を見ることからスタートしてはどうかと提唱もしている。空模様が気になるゆえんだが、参加したい試みだ ▼サミットでは議長国の日本。福田さんは内政では不人気。時折漏らす「しようがないですね」というせりふが象徴するやる気の見えない姿勢が、頼りなさを膨らませている。でも同床異夢もちらつくサミットでは、持ち味の調整型が生きるのではないかという期待もある ▼先月には、50年までに世界の温室効果ガス排出量を現状比で半減すべきとし、日本は60〜80%を目指すことを盛り込んだ福田ビジョンも発表。サミットでは「半減」の合意に取り組む。今回の参加国だけで排出量は世界の7割超という現状がある ▼先進、新興の大国が国益を掲げ、削減に背を向けてきた経緯もある。今回は主要8カ国のほか、招待国のインド、中国など合わせて22カ国の首脳が出席する。福田議長の調整力を超えた主導力も問われそうである。 |
| ▼ 2008年 7月 6日 ―青年海外協力隊― |
| JICA(国際協力機構)が実施する青年海外協力隊事業を支援する青年海外協力協会の代表が来社した。近年は青年海外協力隊の応募者がめっきり減ってきているということだった。 ▼JICAが実施する国の海外ボランティア事業は、昭和40年に創設されて開発途上国において現地の人々とともに社会・経済の発展や日本との友好親善に貢献することを目的としている。これまで事業に貢献した隊員は累計3万人を超え、相手国から高い評価を得ているという。協力隊の経験者は帰国後、日本各地で地域の活性化や国際化のために活躍している。 ▼しかしながら昨今、協力隊応募者が減少傾向にあり1人でも多くの若者に協力隊に参加してもらえるよう広報啓発する必要があり、4月から全国応募促進キャンペーンを展開している。▼本社を訪れたのは、キャラバン事業の委託を受けた山形県青年海外協力協会の隊員2人と岩手県青年海外協力協会の1人。キャラバン隊員のうち高橋岳生さんは平成13年にニカラグアに野球で派遣された経験を持ち、高橋史顕さんは平成17年にバングラデシュに理数科の教師として派遣された経験を持っていた。そして本県青年海外協力協会の本多康造参与は昭和48年から50年までタンザニア獣医師隊員としての経験を持っている。 ▼そうした人たちの活動で日本の評価は高まり、近年はむしろ海外の青年が日本を訪れているという。これからは相互交流で活動を盛り上げていく時代と思う。 |
| ▼ 2008年 7月 5日 ―ルーマニアの暗い話題規制― |
| 1980年代に、萩本欽ちゃん演出の「良い子悪い子普通の子」という楽しいテレビ番組があった ▼子だけでなく良妻、悪妻、普通の妻とか、教員や会社員なども3種に分けて演じたから、学校や家庭、職場などでも話題になった。一部に冗句の域を超えたいじめや差別も見られ、問題化した面もある ▼良、悪、普通という区分けは人への評価だけではなく、日々のさまざまな出来事にも当てはまる。日夜報道されるニュースにも種別があり、だれもが感じるように「良い」内容は少ない。量の多少のほかに出来事による影響性の問題もある ▼善悪の色がない「普通」素材なら罪はないが、悲惨でおぞましい報道の洪水が人々から元気を奪うのは確かだ。とはいえ、それが現実であればありのままに伝えるのは報道の務めでもある。事実なら悪いニュースにも耐え、克服の方途も探らねばならない ▼だがそれが多すぎて国民が病んでしまうからと、法規制に動き出す国もある。典型的なのがルーマニアだ。先月末、同国上院は国内のテレビ、ラジオのニュース番組に対し、暗い話題と明るい話題の割合を等しくするよう命じる法案を全会一致で可決した ▼気持ちは分かるが、政治の力で暗さの改善に励むべき人たちが、暗部を覆うような法案に全員賛成したのだから、他国のことながら驚く。悪影響の深刻さ故だろうが、やはりニュースは、良い悪いの種別に手加減をせずに、そのまま伝えることが王道であることを忘れてはなるまい。 |
| ▼ 2008年 7月 4日 ―ユネスコの世界遺産委員会― |
| 平泉の世界遺産登録を審議する国連教育科学文化機関、ユネスコの世界遺産委員会が2日からカナダのケベック市で開幕した。先に出された国際記念物遺跡会議(イコモス)の登録延期の勧告を覆して逆転登録に結び付けられるかどうか、大事な委員会である。 ▼外務省を窓口に日本側の巻き返しが1カ月以上も続けられてきたが、21カ国の世界遺産委員に対して「平和を願う浄土思想」がどれだけ浸透したのだろうか。登録を支持する国が出てきた一方で、登録延期の勧告を尊重する声も根強くなってきているとも聞いている。議長国カナダの判断が大きく左右しそうだが、最終的に「多数決」となった場合は「厳しい」結果が出ることも予測される。 ▼昨年の石見銀山遺跡の逆転登録では、ユネスコへの拠出金が米国に次いで世界2位という貢献ポイントを使ったという。そういった手法が2年連続して使えないことで今回は白紙の状態で臨んでいるともいう。その裏には世界遺産登録が多くなって登録抑制の傾向になっていることと、他国の遺産候補との兼ね合いや影響などから「平泉」だけが2段階昇格は難しいとした空気があるのだろう。 ▼本県は宮舘副知事をはじめ一関市、奥州市、平泉町など関係市町の代表11人がケベック市に駆けつけて逆転登録へ活動している。金色堂に代表される金ぱくや螺鈿(らでん)で造られた平泉独自の仏像や景観など、奥州平泉文化が世界のひのき舞台に登壇することを期待してやまない。 |
| ▼ 2008年 7月 3日 ―石田衣良の時事小説― |
| 石田衣良さんの「池袋ウエストゲートパーク(西口公園)」(文藝春秋)シリーズはファンが多い ▼毎回、「今」が抱える問題を物言えぬ少数派の視点で小気味よくえぐり出す。果物店の息子・マコトが主人公。黙々と店番をしている若者だが、周囲が一目置く「トラブルシューター(紛争解決人)」でもある ▼鋭く回転する知恵と鍛錬された腕力も使い世の不正を糾弾、処理していく。これまでに麻薬組織、ホームレス襲撃グループ、風俗嬢スカウト黒幕、自殺を呼び掛けるネット男などを取り上げ、悪の根を絶つドラマを胸のすくような筆致で描いてきた ▼最近作のシリーズ[は「非正規難民レジスタンス」と題し、大手日雇い派遣会社の不当な給料天引や違法派遣の実態を暴いている。仕事は日替わりの就労難民。次の現場は会社から携帯電話で指示がくる。作業中けがをしても自費治療を強いられる ▼法律で禁止されている港湾、建設業種への派遣も、派遣先から別の事業所へ回す二重派遣もやっている。マコトは会社に潜入。違法実態を把握し当局とマスコミに告発。業務停止処分を受けた会社は株価も暴落し、刷新を迫られるというストーリーだ ▼活字になったのは今春3月号のオール讀物だが、昨年来現実に同様違法事例が発覚。日雇い派遣大手の処分が相次ぐ。先月24日に起訴されて有罪となった最大手のグッドウィル社は、今月中の廃業に追い込まれている。時事問題が素材の小説は面白いが、深刻さも伝わってくる。 |
| ▼ 2008年 7月 2日 ―本県沿岸部が活性化するには― |
| 先日、全日本漁港建設協会県支部の総会が盛岡市内のホテルで開かれたので出席した。大船渡市の佐賀組会長、佐藤一男氏が支部長である。公共事業費の削減で沿岸建設業者は大変厳しい事態になっている。港湾の業務は内陸に住んでいる人にはなかなか理解されない分野だが、沿岸の発展は海の有効な活用による外貨の獲得と雇用の拡大に掛かっている。 ▼本県の沿岸は総延長で700キロを超えているが、これはリアス式海岸という入り組んだ湾岸の総延長であるから南北の縦のコースとは異なって倍以上に長くなる。そうした見方から沿岸のエリアが内陸よりも広いとした考えを持っているようだ。 ▼近年、新潟、秋田などの日本海沿岸の港が活気付いている。港湾の収支が軒並み黒字になっているのに対して、横浜など太平洋側の港湾が利用減で赤字になっているところが多くなっている。中国、ロシアなどの日本海貿易が活発になってきていることを表しているが、表日本の港が不景気で、裏日本が元気になってきているということだ。 ▼今後太平洋側の漁港や港湾をどのように活用すべきなのか。漁船のみならず、貨物の物流基地としてコンテナ化や積み降ろし設備の近代化、横軸道路の整備を進める必要に迫られるだろう。日本食ブームの需要に応え魚介類養殖や育てる漁業で付加価値の高い水産品づくりを進める必要もあろう。建設業が沿岸のリーディングカンパニーになることが求められるのではなかろうか。 |
| ▼ 2008年 7月 1日 ―不快指数にあえぐ文月― |
| 山開き海開きがあり、短冊に夢を託す七夕もある7月。旧暦呼称の文月(ふみづき)も風雅な趣がある ▼今ではこの文月が、新暦7月の別名としても用いられる。古来、彦星と織姫にあやかって相聞の詩歌をつづった文。そんな風流にちなみ文月と称されたといわれる。昔この時季に書物に夜風を通す風習がありその名残ともいう ▼含みのある表現を「文(あや)」ともいうが、文月には「含みの月」の意もあるという。稲が成長し穂を含みはらむ月という趣旨らしい。山野も海原も大きく懐を開いて人々を待つこの月。天の川を仰ぐ催しにもロマンがあふれる。秋の実りへ向けた膨らみにも自然の律動がある ▼子供たちの夏休みも始まる。苦と楽に分けたら7月は、普通なら心弾むシーズンで「楽」に軍配が上がる。わくわくするはずだが、今年は「苦」に傾く人が多いのではないか。先月発生した地震の被災地復興、行方不明者の安否も気掛かりだ ▼一方、県下も列島も原油高騰のあおりで暮らしは苦渋を強いられ、不快指数が高まっている。狂ったように高価格推移の燃料。陸上では輸送業者はじめ一般ドライバーも悲鳴を上げ、海上では漁に出るほど赤字になる漁業者が窮地に立たされている ▼先月のイカ釣り漁船2日間一斉休漁に次いで、今月15日には全魚種の全国一斉休漁が実施される。生活用諸物価も値上げのラッシュだ。サミットもあるが事態の抜本改善は期待できない。不快にあえぐ暑苦しい文月になりそうである。 |