2013年 10月の天窓


 2013年 10月 31日 ―便利でも寂しい自動走行車―
 人が運転しないで車が自律的に目的地まで走る「自動走行車」の開発が注目されている
▼無人探査機が宇宙を飛行する時代だから驚くこともないが、広い道路は前後左右を車が走り前方を人が横断することもあるから不安は募る。将棋で有能棋士が戦法を組み込んだパソコンに敗れたような屈辱もよぎる。人の運転より安全ですよ、といわんばかりのこの車。行き先を指示すれば発車から到着まで全自動
▼危険状況はレーダーやカメラなどで認識。自律操作で危機回避も行う。アフガンなどの紛争地帯で軍事物資輸送用に導入されているが、通常の公道走行は今後の課題だ。日米などで販売前提に開発が進む。日本では日産が7年以内の発売を公表したが、米通信業大手のグーグルは実用化へ先端をいく
▼同社はトヨタのプリウスを使い得意の地理情報に、検知機器による危機情報を重ねたシステムを組み込み実用化に成功。11年春に公道の試験走行を認める法律を施行したネバダ州は、グーグル車に初のナンバープレートを交付。同車は試験走行で公道デビューをする。以後に試験走行承認の他州でも無事故を維持している
▼だが便利でも運転席の無人や居ても運転不要とは少々寂しいし怖い。現行自動車に危機回避システムだけを導入すれば安全も安心も増すと思うのだが…。

 2013年 10月 30日 ―減反政策の行方―
 政府は、コメ減反の見直しを行う方針のようだ。コメの収穫量を絞り、米価を維持する減反、生産調整政策を5年後に廃止する案が政府・与党内で浮上している。TPP、環太平洋連携協定の妥結をにらみ、大規模な農家などが主食用米を自由に生産できるようにして価格競争力を高めるのが狙いのようである。
▼11月末までに制度の骨格を固める方針のようであるが、1970年の「減反政策」導入時の制度の目的は、農家の雇用や収入の維持が目的であった。しかし、その後、日本人の「コメ離れ」と「農地の縮小」が進んできた。5年先、減反政策は約50年で施策が大きく転換することになる。
▼主食用米の「コメ余り」が目立ち、5年後には自由生産に移行するが、大規模農家や企業が参入して低コストで大量に主食米を作る新たな農業システムが理想通りに進むのか。一方、小規模農家はどのようになるのか。
▼現在、所得補償として10e当たり1万5千円の助成金が支給されている。全国の減反率は40%ほどになっている。水田で主食米が作れず、それ以外の作物が作付け、転作されている。
▼減反を強制されることを嫌う農家と、後継者不足や耕作放棄地の増加に悩む現実、生産者の意欲をそいできた農政が、ある意味では失敗であったのではないか。

 2013年 10月 29日 ―釜石線エスペラント駅標示一新―
 「エスペラント」はユダヤ人眼科医ザメンホフが考案。1887年に発表した手作りの国際語だ
▼宮澤賢治が着目し作品で用いたことはよく知られている。イーハトーヴォ(岩手)をはじめモリ―オ(盛岡)やハームキア(花巻)など地名も登場する。花巻から釜石に至るJR釜石線は「銀河鉄道の夜」のモデルとなった岩手軽便鉄道に由来する
▼そこから釜石線には「銀河ドリームライン」との愛称も生まれ、全24駅駅名標示には駅をイメージしたエスペラントの呼称も添えられている。花巻駅がチェールアルコ(虹)で新花巻駅はステラーロ(星座)。遠野駅はフォルクローロ(民話)とし釜石駅はラ・オツェアーノ(大洋)とするなど情景を表す言葉が並ぶ
▼3・11大震災で一部が被災し運休したが翌月には全線運行を再開した釜石線は、復興への期待を背に住民や観光客らを乗せて走り続けている。JR盛岡支社は今冬以降の仮称「SL銀河鉄道」運行開始に合わせ、全24駅名標示のデザインを一新するという
▼エスペラント呼称のイメージもさらに膨らませ標示が絵画的になる。花巻の「虹」はそのまま七色の光彩に、釜石の「大洋」は海原と星と太陽のイメージに描くなど各駅で趣向を凝らす。順次進め年内には全駅が一新される。利用客もわくわくすることだろう。

 2013年 10月 28日 ―花巻東連続ドラフト指名―
 今年のプロ野球の新人選手選択、ドラフト会議が24日、東京都内で行われ、本県関係者では富士大の山川穂高内野手(21)が西武に2位で、また、花巻東高の岸里亮祐外野手(18)が日本ハムに7位で指名を受けた。
▼本県からは2010年に西武に入団した菊池雄星投手、昨年は大谷翔平投手・外野手の日本ハム入団に続いて今年、同一校の花巻東高からプロ野球に指名されたことは特筆されること。
▼特に、岸里選手は久慈市の出身でもあり、1年先輩の大谷選手とのコンビで大きく成長してほしいと願っている。普代村出身、東北楽天の銀次選手と共に「あまちゃん」選手の成長が楽しみになった。
▼こうした甲子園組らがプロ球団に指名を受けている中で、宮城県立岩出山高校の今野龍太投手(18)が東北楽天に9位で指名されたのが目にとまった。
▼今野投手は12球団最後となる76人目に指名を受けた。小学2年の時に少年野球を始めて以来、地元の中学、高校で野球を続けてきた。
▼高校入学後は部員不足で秋の地区予選は3年間全て出場辞退を余儀なくされた。決して平坦な道ではなかったが、それでも諦めずに冬場に走り続けるなどして足腰を鍛え、直球140`を超えるようになった。小規模校の岩出山高から初のドラフト指名に拍手を送りたい。

 2013年 10月 27日 ―豪雪地新聞配達員の幸せ―
 長野と新潟の北部県境の村で、新聞配達をする62歳の村山由美子さんは村から感謝状を受けている
▼仕事でやっているだけなのに「どうして?」とも思う。だが「雪深い中、長年に渡り、雪の日も雨の日も、毎日早朝より…」と文面にあるのを見てなるほど、確かにと納得する。配達員暦は14年目。とりわけ冬季のご苦労は降雪期の本県配達員の皆さまに通じ感謝の念があふれ頭が下がる
▼村山さんの担当地域は豪雪地帯で一晩に1bも積もることがある。除雪もままならない時間帯だから平泳ぎの格好で、雪をかき分けながら一歩一歩進んで新聞を届ける。加齢とともにその一歩の足が上がらなくなってきたが、それでも配達を続けられる理由がある
▼それはしばしば村人たちの優しい温かさに触れるからだ。届ける時刻の前に起きて通れるように除雪をして道を作って、また一眠りするおじいちゃんがいる。道路から家までの距離が長く道路脇に冬専用の新聞受けを出してくれるお宅が何軒もある
▼その思いやりに励まされ胸を熱くし配達を続けているというのである。以上は恒例の日本新聞協会主催「新聞配達エッセーコンテスト」の社会人部門審査員特別賞受賞作品の要旨である。村山さんは結びに「優しさがあふれる村人に配達できる私は誰よりも幸せ」と書いている。

 2013年 10月 26日 ―活用不十分な国内の森林資源―
 日本には世界に誇れる資源がたくさんあるにもかかわらず上手に活用されていない分野が二つあるといれている。
▼37業種、170社の民間企業で構成するシンクタンク・日本プロジェクト産業協議会(会長・三村明夫新日鉄住金相談役)の森林再生事業化委員会が指摘している。その二つとは、海洋資源と森林資源のことである。
▼この二つの循環型活用を述べており、まずは「国産材の利用」の在り方についてである。海と森との関連を強めなければならないのだが、国土の70%を占めている森林の再生方を目指さなければならない。
▼東京五輪に合わせて2020年には木材自給率を25%から2倍の50%に上げることを目標に掲げている。国産材を使うことは、森林再生をはじめ「環境改善、国土保全、水源涵養、花粉症軽減」など、さまざまな効果が生まれる。
▼ところが、国産材を使っているのかどうか区別がつかないのが現状である。国産材の表示「JAPAN WOOD」の英文字を配してユーザーに分かるようにするのも一手法である。マーク創設運動としては企業名と国産材の使用率などを書き込める手法を提唱する。もっと本気で環境意識の高揚を図っていく施策を行っていかなければならないとしている。日本で早く市場開放された木材の現実である。

 2013年 10月 25日 ―米海岸漂着の高校実習船が帰還―
 甚大な震災被害を善意で支える人たちの行為には胸を打たれる
▼2年7カ月余の間に国内外で温かな幾多の支援のドラマが生まれた。悲しみの中にもそれらに勇気づけられた人は多かろう。県立高田高校海洋システム科の小型実習船「かもめ」も、津波に流されながらも善意に支えられた奇跡の船として感動を広げている
▼この船は陸前高田市からおよそ8千`の波間を漂流し、米国西海岸カリフォルニア州クレセントシティーの海岸にたどり着く。現地で今春4月に発見されたことは以前にも触れたが、その船が22日に陸前高田に帰還できたのである
▼発見後に船を覆う付着物を取り除くと、船腹から「高田高校」「かもめ」の文字が現れ地元高校の生徒たちが立ち上がる。きれいにして高田高校へ返してあげようと、進んで船を清掃。帰還費用も考え皆で募金活動も繰り広げた
▼搬送を引き受けた日本の大手海運会社も事の経緯を知り地元高校生らの熱い善意にも呼応。無償で実習船を米西海岸から仙台港へ輸送。そこから陸前高田まで陸上を搬送。これを高田高校の生徒や教職員らが出迎えたが感激もひとしおであったろう
▼船は当面は帰還場所でもあった市立博物館で保管される。双方の高校生の交流も計画され、明春に発見地生徒の陸前高田訪問が実現しそうである。

 2013年 10月 24日 ―映画「同胞」の若者たち―
 もりおか映画祭2013が、10月18│20日に盛岡市で開催された。新聞の映画欄を見て映画祭で上映の「同胞(はらから)」を見に家族で出掛けた。
▼ロケ地が旧松尾村、現在の八幡平市が中心になっていて、今から40年ほども前に製作された映画である。山田洋次監督の下、倍賞千恵子、寺尾聰らが出演した。東京の劇団のミュージカル公演を地元青年団が中学校の体育館で開催するまでのストーリーで、感動の映画である。
▼現地で実際に起きた話をもとにしていて、キャストには地元の青年団員が多数出演していた。当時の花輪線岩手松尾駅や岩手山の情景がふんだんに映し出されるので懐かしく身近に感じる映画であった。
▼当時、劇団に支払う65万円のギャラをどのようにして捻出するのか。一人800円の入場料として650人が入らなければならない。赤字になったならどうするのか。青年団の幹部会では何回も議論を重ねられたが、なかなか結論が出なかった。最終的に乳牛を飼育している青年団長が赤字の時は、べぇご(牛)を売って穴埋めすると腹を決め。青年団員が入場券を売りさばき、村を挙げて応援して、結果は大盛況になった。やればできるを実証した若者たちだ。
▼来年は制作40周年を迎える。音響はかなり疲労しているが魂は残されている。

 2013年 10月 23日 ―吉野家が国会敷地に別格店舗―
 「吉野家史上最高のうまさへ 牛丼並盛280円」…。そんなうたい文句に引かれ足を運ぶ庶民派ご同輩は多かろう
▼全国展開する牛丼大手の吉野家が今月11日に国会敷地内に「永田町一丁目店」をオープンした。周囲にはそば店、土産物店、花店などが並ぶ。吉野家は今春の公募に応募して6月に出店が決定。今月15日の臨時国会招集前に開店したわけだ
▼14席ほどの小ぶりな店である。庶民が好む牛丼店の永田町進出はほほ笑ましくもあるが、バッジを付け高額歳費(給与)をもらう国会議員諸氏がどう反応するか。そこに興味が湧いた。実は既に進出が決まった頃、衆院側から外国産牛使用の安価な牛丼を嫌う空気が吉野家に伝えられていたという
▼「何か特別のメニューを」「普通の吉野家にない《お値打ち感》のあるものを」と。同時期の衆院農水委員会でも林農水大臣が「国産農産物を使ってほしい」と要請。これに吉野家も呼応。全国系列店では用いない国産牛を使い重箱容器に入れ、この店限定の「牛重」を開店初日から発売したのだ。みそ汁お新香付きで1200円だが完売が続く。だが国会限定はおかしいなどと世論が反発。代議士間でも論争が起きている
▼この場面で総理が「全国と同じにすべき。別格店舗は国民に失礼だ」と言えば格好がいいのになあ。

 2013年 10月 22日 ―ILC誘致の行方―
 ILC(国際リニアコライダー)計画を推進する国際的な研究者組織、LCC(リニアコライダー・コラボレーション)の最高責任者リン・エバンス氏ら幹部が17日、北上山地を初めて視察した。ILC立地評価会議が選定した北上山地について「評価は適切なものであったと強く感じた」と述べ、今後はKEK(高エネルギー加速器研究機構)を拠点に北上山地に見合った詳細設計を進めていくことを明らかにした。
▼併せて、日本政府に対しては「日本がILCをホストするための準備をしたい」と、明確に提言することで国際的な交渉が始まると、国際交渉の開始に向けた意思表示をするよう求めた。
▼このことは一歩前進だが、エバンス氏の会見で気になることが出てきている。「九州もプロジェクトに」という発言が飛び出してきた。九州地域も何とか「ILCプロジェクトの中に組み込むような体制ができないか考えたい」と話していることだ。
▼ILCの国内候補地の選定結果をめぐっては、九州の誘致団体などから「結果や説明に納得がいかない」とする声が上がっていたという。こういった事情からの発言だろうか。
▼ILCについては国内候補地として北上山地に決まっていたものとばかり思っていたが、政府の決定などでぐらついている印象も与える。

 2013年 10月 21日 ―清酒離れにしのぶ酒豪牧水―
 清酒党の人は真夏に周囲が冷えたビールをうまそうに飲んでいても、平然と吟醸酒などを口に運ぶ
▼明治生まれの若山牧水は《酒仙の歌人》と言われるほど、大の日本酒好きで酒にまつわる歌も数多く残している。一方、北海道から沖縄、朝鮮半島にまで足を延ばし、歌を詠み揮毫(きごう)をしながら旅に明け暮れた人でもある
▼享年は43歳で浴びるほど飲んだ酒が命を縮めた要因とされる。それでも「人の世にたのしみ多し然(しか)れども酒なしにしてなにのたのしみ」と、生前に詠んでいた人だから満足の生涯だったのだろう
▼牧水は1926(大正15)年に現在の北上市に住んでいた門下・福地房志宅に宿泊。16年前に信州小諸(長野)で詠んだ歌を揮毫している。「しらたまの歯にしみとほる秋の夜の 酒はしづかに飲むべかりけり」と。秋たけなわの今、酒の通人にはことのほか身にしみる歌だろう
▼往時の筆跡を再現した歌碑が同市臥牛(ふしうし)農業担い手センターに建っている。さて平成も四半世紀が経過。酒類業界にも新種が多彩に登場し日本酒の旗色が芳しくない。国税庁のまとめによると昨年度の清酒消費量は、ビールの5分の1だという
▼乾杯は日本酒でと勧める条例を定めた自治体もある。地産銘酒を誇る本県も秋から冬へと盛り返していきたい。

 2013年 10月 20日 ―グルージャ盛岡のJ3入りへ―
 J3入りを目指しているグルージャ盛岡の全国社会人選手権大会出場激励壮行会に参加した。
▼株式会社いわてアスリートクラブ、所属の監督、コーチ、選手、合わせて35人規模の精鋭を抱えて目標実現を目指している。全国から高卒、大卒の才能ある選手ががそろっている。一口に言うならば、もっと県民の盛り上がった支援体制がほしい。
▼実力はベガルタ仙台と紙一重と自負する選手もいた。ならば、いかにして全国のトップによじ登って行けるのかだろう。まずは市民・県民の盛り上がりがなければならないのではないか。どうせやるのならば日本一を目指さなければならない。
▼ほかにも課題はある。資金面対策、サッカー場の整備、競技場までの交通利便、観客の増加、企業の支援、少年サッカーチームの育成、強力な選手の確保等々であろう。
▼本県、特にもその中央に立地している盛岡市が「スポーツ立県」を旗印にして産業や文化スポーツの発展を進めていくためには、いかにしてグルージャ盛岡を盛り上げていけばよいのか。
▼当面、J3への道のりは、ライセンス審査に合格すること、J3入会審査を受け理事会に入会承認されること、全国地域リーグ決勝大会で上位3位以内に入ることなどステップを踏まなければならない。頑張ってほしい。

 2013年 10月 19日 ―空腹者救うアンパンマン―
 平安時代の僧最澄は「忘己利他」という言葉を弟子に示している
▼「もうこりた」と読むがもちろん「こりごりした」という意味ではない。私心を忘れ他者の幸せのため尽くす行為のことだ。4文字の前には「よいことは他者に与え悪いことは自分が引き受けよ」ともある
▼仏道修行の急所とされるこの理念と行為はしばしば文芸のテーマにもなる。宮澤賢治もそこに着目した多くの秀作を生んでいる。13日に94歳で旅立った漫画家やなせたかしさんの傑作「アンパンマン」は、先の4文字が執筆の動機ではないが結果的に「忘己利他」がリアルに描かれている
▼顔を含む頭部があんパンでできているヒーローのアンパンマンは、空腹の人を見ると顔のパンをちぎり「食べていいよ」と分けてあげる。砂漠で餓死寸前の人に顔の一部を食べさせ森で迷った子に残りを与え、自分はふらふらになる場面もある
▼約40年間、絵本でアニメで子どもたちをとりこにした作品は、経過中に一部内容修正もあったが身を削って苦しむ人を救う姿勢は一貫している。故人にとって直接の執筆動機は戦争だった。正義を叫んだ戦争。だが自分は食べなくても飢えた人を救うのが正義ではないかとの情念から筆を執ったという
▼晩年にその優しい視線が本県被災地へも注がれたことが忘れられない。

 2013年 10月 18日 ―新聞と地域社会、文化―
 近年、活字離れが進んでいるといわれて久しい。
▼携帯電話や電子情報の発達など、情報入手手段の多様化が進んでいることが理由に挙げられるが、人間が新聞などを読まなくなればどのようになっていくのか。特に過疎地などで新聞を読む人が減っていくとどのようになるのか。住んでいる地域、所得などによって情報の格差が生じるのは好ましくないのではないか。
▼新聞は公的な役割を果たしているが、普通の消費財とは違うものと考えている。消費税は所得に関係なく生活必需品に関してはほぼ同じ税金がかかり、低所得者の人には余計負担が重いものとなる。
▼生活必需品に近いものには「軽減税率」を入れているのが諸外国の考えで、欧米などの主要国では新聞、書籍などにも適用されている。イギリス、ベルギー、デンマークなどでは新聞に税金をかけない「ゼロ税率」を取っている。食料品は低所得者の生活を守るという趣旨であり、新聞は民主主義、文化などを守るという趣旨による。
▼新聞は地域を支えている。新聞が衰弱することは民主主義が脅かされ、文字活字文化が衰退し、低落していくことにつながっていく。どんな人口の少ないところへでも新聞を届ける、日本は戸別配達制度をとっている。視野が狭くなっては社会への関心を失ってしまう。


 2013年 10月 17日 ―「あと7年後」という問い―
 2020年五輪東京開催が決まってから、高齢層のさまざまな声を聞く
▼病身の友は「あと7年か。無理だな」と言う。「体調管理も徹底。2度目の東京五輪を見るぞと強く生き抜いてみせる」と威勢がいいのは81歳の先輩。一様ではないが高齢者の思いは二人の声に集約されるようだ
▼五輪絡みでよく話題になる「あと7年」。生存の有無を問うのは老若共通とはいえ高齢ほどそれは重いテーマだ。ただ先月末からベルギーで開かれた体操世界選手権で、日本勢が見せた美技の数々は高齢層の心を少なからず動かしている
▼「やはり生き抜きあのひらひら舞うような体操を見たいな」と先の病身の友も言う。悲観を突き抜けた楽観の意欲も感じられる。「ひらひら舞うよう」とは17歳の白井健三選手が決めた「後方伸身宙返り4回ひねり」と称する床運動のこと。彼が生み出したF難度の新技で「シライ」と命名された
▼体操の新技は国際大会で成功させた選手名で呼ばれるのだ。同じく20歳の加藤凌平選手が決めたD難度新技「後振り上がり脚上挙十字懸垂」も「カトウ」と名付けられた。五輪を目指す若手では水泳で世界記録を更新した19歳の山口観弘、陸上百bで9秒台に挑む17歳の桐生祥秀など多彩な顔が並ぶ
▼当方も高齢の仲間だが7年後に躍動する日本勢を見たい。

 2013年 10月 16日 ―野外レクとお天気―
 例年であれば10月中旬には山間地の紅葉を眺められるのだが、今年の秋は少し遅れているのではないか。標高の高い山岳地は紅葉真っ盛りとなっているようだが、小岩井農場から網張温泉までの県道では平年よりも2週間ほど遅くなっているように思う。
▼先ごろ、元職場OB会主催のレクがあって、約60人が紅葉狩りウオークに参加した。一番若い人で今春退職したばかりの60歳、最高齢者は90歳で、年齢の差は30歳ほどもあるのだが、むしろ年齢の高い人たちが元気に野山を歩かれていた。
▼このような野外活動の日は秋晴れを期待したのだが、9日はあいにくの台風24号の前線が舞い込んできて朝からの雨降りとなった。主催者あいさつでは「そのうちに晴れますので」というので、最初はズボンの雨がっぱだけを身に着けていたが、一向に晴れる兆しが見えなかった。昼前には身体全体を雨がっぱでまとって野山を散策することになった。
▼せっかく楽しみにしていたレク日が一日いっぱいの雨に見舞われるなんて、どうしたものか。それでも昼飯時は温泉に入ってみんなで楽しく時間を過ごした。夜中には、台風が北海道方面に通過していったのか、翌日の10日は朝日が舞い込んできての晴天となった。せっかくのレク日、お天道様が味方してくれなかった。

 2013年 10月 14日 ―わが家の施錠徹底を!―
 わが家という建物は一戸建てでもマンションなど集合住宅でも、安住の空間であるはず…
▼だが現実には空き巣狙いなどが多発し、家の安寧を脅かす事件は後を絶たない。もちろん近年だけの傾向ではなく昔から同様犯行はあった。だから金属製のねじ鍵が登場する以前にも、木製の棒で戸の内側を押さえるなど不心得者の侵入を許さない工夫をしている
▼大事な物を盗まれないよう用心して設けたこの棒を用心棒ともいう。今では金属ねじを締め合わせる通常の鍵のほか二重鍵もある。精密な戸締まり機器も開発されている。いずれであれ鍵は掛けなければ意味がない。掛け忘れなどの無施錠は泥棒に好機を与えてしまう
▼警察庁のまとめによると、かつては彼らの侵入手口は窓などのガラス破りが一番多かったが近年は無施錠がそれを上回るという。昨年までの6年間の「犯罪情勢」グラフは、戸建ても集合住宅も無施錠侵入が右肩上がりで増えていることを物語る
▼本県の実情も見過ごせない。岩手で昨年発生した侵入窃盗件数は672件。このうち無施錠は422件(62・8%)に上り、全国最悪となった。不在時だけでなく夜間の就寝中や昼の在宅時の不施錠でも侵入されているから要注意だ
▼20日までは全国地域安全運動期間。まずはわが家の施錠励行を徹底しよう。

 2013年 10月 13日 ―菊池如水さんの宿題展―
 画家、菊池如水さんの個展「宿題展」が14日から19日まで盛岡市上ノ橋町のギャラリー彩園子で開催される。人生投影宿題展としているが、作品は「不来方城」に絞られている。
▼90歳を超した如水さんが 盛岡城跡公園の地べたに腰を下ろして四季彩る石垣公園を1年余り掛けて描き続けてきた。筆を用いずに指で藍色の濃淡で城跡を描いているところに、公園を散策している人たちから、いろいろと話しかけられた。
▼今回の「宿題展」を友人にポストカードで案内したところ、「岩手公園でお弁当を食べたい」といったような手紙が届いている。そして、ふるさとの盛岡を散歩してから「わんこそばを食べたい」といったような手紙もあった。また、「子どもの頃は動物公園もあった」といった手紙もあった。
▼城跡を描いているうちに、奥さまと岩手公園を散策されたことが思い出されるのだろう。奥さまは鳥取県の生まれで、四国の三島、北アルプスの松本などで生活された後、盛岡に転じられたのだが、最大の理解者であった奥さまに先立たれてしまった。盛岡で暮らした当時のことを思い出しながら制作に取り組まれた。盛岡で長く暮らしていても、盛岡城跡をじっくりと重点的に描いたことはなかった。「宿題展」は多くの方々に感動を与えることだろう。

 2013年 10月 12日 ―「最も美しい村」の連合―
 「見てよ、秀麗なこの眺めを!」と村人が誇る小さな村
▼フランスでそんな美点を持つ人口2千人以下の64カ村が連携し、「フランスで最も美しい村」協会を創設したのは1982年のことだ。美しい景観などを生かした観光促進を目的に掲げスタートしている。その後、幾つもの国がフランスに習い同趣旨の連合や協会を設立している
▼日本では名前も美しい美瑛町(北海道)の町長が提唱し、05年10月に「日本で最も美しい村」連合を結成した。加盟条件になる人口規模は平成の大合併で、フランスのように2千人では該当が難しい。そこで日本は「直近の国勢調査人口がほぼ1万人以下」とする
▼村のほか町や地域も対象にしたが発足時の加盟は7町村だった。それが以後毎年、参加が増え満8年になる今月も新たに4町村1地域が加入。総計は54町村・地域になっている。美しい山容、渓流、海辺の松原などを誇った本県は大震災の痛手もありまだ加盟はない
▼東北では秋田・山形・福島から4村3町が加わっている。胸を突かれるのはその中に震災前加入の飯舘村の名があることだ。酪農が盛んで牧歌的抒情の美しさを誇ったこの村は、放射能汚染で全村避難を強いられ牛も息絶え、今も村民の居住制限が続く
▼美しい故郷に帰れない村人の悔しさはいかばかりであろう。

 2013年 10月 11日 ―TPP交渉と国会召集―
 政府はTPP交渉の年内妥結を目指しているようだが、15日から開会する国会で大きな論点になるのではないか。
▼農林水産業はわが国の基幹産業であることから当然のことと考えるのだが、重要農産物の中で「聖域」といわれている5品目「コメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖」、さらにはそれらの加工品の関税をいかにして守るのか。
▼政府のTPP交渉の経過では、自民党内も意見が分かれているため大荒れの模様になっている。野党も公約違反として、国会で追及する構えである。
▼重要5品目は、関税の分類上でさらに細かく分かれて計586品目になる。このうちコメだけでも、もみや玄米、精米など58品目に分類される。さらに米粉や団子といった加工品や調整品もある。麦は小麦、大麦といった分類に加え、飼料用、小麦粉やパンなどの加工品、調整品などがあり、109品目に達する。
▼牛・豚肉は生鮮、冷蔵、冷凍などの保存状態で分かれる。枝肉や骨付きでない肉などでも区別する。缶詰などと合わせると牛肉が51品目、豚肉が49品目になる。乳製品は牛乳のほか脱脂粉乳、バターなど188品目、甘味資源作物は砂糖が81品目、でんぷんはトウモロコシ、芋といった原料別の分類などにより50品目に達する。綿密な調査と検討が必要であろう。

 2013年 10月 10日 ―ネコ殺処分問う小学生の作文―
 昨年10月、豊橋市の小学6年生・谷山千華さんは、同市の「小中学生話し方大会」に出場。ネコ殺処分への思いを書いた「78円の命」と題する作文を朗読し最優秀賞に選ばれた
▼同市が先ごろ、作品を道徳の教材に用いると決めたほか、全文がネットで紹介され共感を広げている。作文は「近所に捨てネコがいる〜かわいい声をあげていつも私についてくる」と始まる。かわいがったネコはやがて赤ちゃんを産む
▼子ネコたちは近所のSさんが預かる。千華さんは日々、様子を見に通う。ところがある日、子ネコがいない。Sさんは「センターに連れて行ったよ」と言うが意味が不明。翌日友達が「保健所だ。殺されちゃう」と言う。彼女は急ぎパソコンで検索。殺処分という残酷な事実を知る
▼処分費用1匹78円ともある。千華さんはそれが命の価値なのかと胸が張り裂けそうになる。かわいいだけでは命を守れない。生き物を飼うのは一つの命に責任を持つことだ。おもちゃのように捨ててはいけないのだと痛感する。詳細は略したが提起された問題は全国共通だろう
▼住民グループで管理し世話をする「地域ネコ」手法も普及しつつある。不妊・去勢手術を徹底し一代の命を保護し10年春以降、殺処分ゼロが続く東京千代田区の例もある。さらに地域の皆で知恵を絞りたい。

 2013年 10月 9日 ―復興へ急務の建設産業育成―
 震災の復興がらみの工事が最盛期に入ってきている。国土交通省が推奨する復興JVは県内外の企業の応援が不可欠となっている。被災地の復旧・復興を円滑に進めるための切り札として、県版復興JVの運用基準が緩和されているのだが、今後においても県内・県外からの協力が得られるのかは分からなくなってきている。
▼国土交通省が国土強靱(きょうじん)化を全面に打ち出していることで、全国的に公共事業が拡大し始めていることや、東京五輪開催に向けて近々に巨額の五輪特需が関東地区などで発生してくる。
▼東京五輪の時は作業員として東北から出稼ぎ者が上京していた。数年前から公共事業が大幅に抑制されて建設業が衰退するに至った。そのため、学卒者の採用なども極端に抑制され、建設機材などを手放す業者も多く出た。
▼ここに来て震災の復興で急激に業務量が膨れあがった。人員不足、資材不足などで入札が不調になるケースも出ている。他県の業者が地元で工事量が増えれば他県まで人を出せなくなってしまう。当然ながら、被災地への助っ人を出せなくなってしまう。震災復興のみならず、台風などの被害についても早急に修復させなければならない。入札不調対策はもちろんのこと、建設産業の育成は根本的な対策が必要であった。

 2013年 10月 8日 ―見知らぬ人救う命の燃焼―
 「使命」は辞典では果たすべき任務などと解説されている。文字に即して任務や目的のため「命を使い燃焼すること」と理解してもよかろう
▼穏やかな日常でなくとっさの事態に、命が燃え尽きるほどの行動ができるのは利他の使命感に徹しているからだろうか。先月の台風禍で大阪の淀川が増水。濁流のうねりの中に小学4年の男の子が落ちてしまう。ジョギングしていてそれを目撃した中国人留学生の厳俊さんは、助けたい一心で飛び込む
▼泳ぎには自信はあるが流れが激しく、「死ぬかも」との思いもよぎったという。一度岸へ上がって動作を妨げる着衣を脱ぎ捨てた。浮き沈みする男児を追い下流へ走りタイミングを計って再び飛び込み男児の服をつかむ。岸に全力で引き揚げる
▼男児は無事だった。「すべきことをしただけ」と厳俊さんは言う。今月1日に横浜では、父親が運転する車に乗っていた村田奈津恵さん(40)が、電車接近で踏切待ち中に踏切内線路上に倒れていた老人(74)を発見
▼彼女は制止する父を振り切り「助けなきゃ」と飛び出す。老人を安全そうな位置に必死で引きずる。その直後、電車は老人に触れることなく通過。だが助けた村田さんははねられて犠牲となる
▼己を忘れ見知らぬ人を救うために命を使い、燃焼する姿には粛然とさせられる。

 2013年 10月 7日 ―安倍内閣の消費増税決定―
 消費税が3%から現行の5%に引き上げられたのは橋本龍太郎内閣の時、1997年4月であった。それから17年を経て2回目の引き上げとなる。安倍晋三内閣は1日の閣議で、2014年4月から消費税率を8%に引き上げることを決定した。
▼消費税率の引き上げは、社会保障の安定財源の確保、財政再建を図ることと、併せて、経済の再生を図るものとしている。
▼だが、増税は両刃の剣で、デフレ経済が長引き、景気の悪化や東日本大震災の復興を妨げることになれば、安倍内閣にとって命取りになりかねない。安倍首相は閣議決定後の記者会見で、増税に備えて企業向け減税など、「景気腰折れ対策」5兆円規模の経済対策を12月までに策定すると表明した。
▼消費税率の引き上げは、2012年8月に民主党政権だった野田佳彦内閣で成立した消費増税法に基づいている。3%分の引き上げで年8・1兆円の消費税収が増えると弾いていた。しかし、初年度は5兆円にとどまる。
▼企業向け減税の狙いは賃金を上げた企業を税優遇する制度だが、減税によって企業の収益拡大が進められ、賃金上昇や雇用拡大につなげられるのかは不透明である。駆け込み需要で一時的な消費拡大は現れても、個人消費の活性化に波及させるのは、かなり難しいのではないか。

 2013年 10月 6日 ―山崎豊子さんの作品山脈―
 そびえるような作品山脈を築いた作家の山崎豊子さんが88年の生涯を閉じた。山並みには戦争の非道を描く大著が連なる
▼「不毛地帯」は地獄のシベリア抑留から生還した軍人が財界で活躍後、シベリアへ墓参に行く物語だ。山崎さんは取材で現地へ飛び収容所跡を探し線路を発見。後に「枕木一本一本が日本人の遺体に見えた」と語っている。日米開戦による在米日系人の悲劇をつづる「二つの祖国」も戦争の残酷さを問う
▼「大地の子」では中国人夫妻に育てられた日本人残留孤児の青年が実父と再会。一緒に暮らそうと言う父。育ての親の恩を思う青年は葛藤の末に「私はこの大地の子です」と涙を光らせ叫ぶ。いずれも号泣が聞こえそうな作品だ
▼戦時下、10代だった山崎さんは動員された軍需工場でバルザック著「谷間の百合」を読んでいてとがめられ、将校に殴られた。ペンで戦う自身の淵源にはあの時の怒りがあったという
▼社会派小説でも不正義には鋭く迫る。「白い巨塔」は大学病院の暗部をえぐる。「華麗なる一族」は大手銀行が絡む血族間の醜い確執をあぶり出す。航空会社の腐敗を暴く「沈まぬ太陽」などこれらも峰を連ねる
▼初期の浪速ものと終章の09年著「運命の人」、今年8月に週刊誌連載を始めた「約束の海」など諸作品は山の裾野を広げている。

 2013年 10月 5日 ―JR北海道の安全管理意識―
 JR北海道のレール異常放置問題は絶対にあってはならないこと。鉄道輸送の基盤をなす「軌道」の管理が手ぬるかったというのでは問題があまりにも大きい。今日のように鉄道技術が高度に発達している中では考えられない。
▼軌道の検測は専門職員の巡回による「目視」か、「軌道検測車」などの機器によっても細かく検測し、データ管理が可能なはずだ。検測結果は現場から本社の担当部まで報告、あるいは実態把握のため報告を求めるのが当然であろう。
▼そういった現場と本社の業務連携の手順が守られていなかったこと、また、緊急を要する手当を早急に実行するといった安全意識が欠如していたのは何が原因だったのか。
▼もともと、日本の鉄道は狭軌で軌間(レールとレールの間の幅)が1067_と定められている。9月19日に貨物列車が脱線した大沼駅の事故現場では、軌間が最大37_広がっていたといわれている。社内規定によるこの場所の補修基準値は19_であったというが、軌間に必要な幅を超えた異常があっては安全運転が阻害される。
▼カーブ、勾配、レールの構造や走行する速度などによってレール幅などを加減しなければならない。JR北海道のレール総延長は約2499・8`。うち85年以前に設置した古いレールは168`ある。

 2013年 10月 4日 ―三島作品と「潮騒のメモリー」―
 被災者に元気を贈り列島に「じぇ、じぇ」を流布。ご当地に大きな経済効果も上げたNHKの「あまちゃん」
▼終了し朝がうつろになったという人も続出。ファンのその喪失感を意味する「あまレス症候群」との新語まで誕生している。当方の場合は症候はなく新ドラマ「ごちそうさん」もしっかり見ている。同時に今も三鉄のお座敷列車にいる気分が抜けない
▼「あまちゃん」が生んだヒット曲「潮騒のメモリー」も自然に口ずさむ。「♪来てよその火を飛び越えて」と始まるこの歌。初めて聞いたときに映画化もされた三島由紀夫著「潮騒」の名場面がよみがえった。貧しい漁師の青年と富豪の娘との恋の物語だ
▼二人が小屋で会う約束をした日は雨で青年は先に着くがたき火で温まり眠ってしまう。気付くと半裸で肌着を乾かしている彼女が「その火を飛び越えて来て」と言う。彼が飛び越え抱き合う二人は「今はいかん」と衝動を抑える
▼この原作を基に創作した「潮騒のメモリー」は、ドラマでは80年代の映画の主題歌という設定だ。アキの母春子が独身時代に、音程がずれる女優鈴鹿ひろ美の代役で歌ったという極秘劇が展開を面白くした
▼創作曲は宮藤官九郎作詞、大友良英とSachikо・Mが作曲。春子役の小泉今日子が歌って7月に発売しヒット中である。

 2013年 10月 3日 ―10月とサケの遡上―
 10月「神無月(かみなづき)」に入った。由来は全国の氏神様がこの月に出雲に集まるので、氏神不在の月という伝説によるといわれている。出雲の神は「縁結びの神」ともいわれているので、この月、全国の神がそこに集まるのは 男女の縁を取り決めることも含まれているといわれている。
▼「天高く馬肥ゆる秋」といわれるように、大陸方面に高気圧が発達して晴天の日が多く見られる。紅葉の秋、収穫の秋、芸術の秋、スポーツの秋、読書の秋、菊の秋、食欲の秋で、晴れた日には日中の温度がかなり上がり、夜冷え込むことも多くなるが、すがすがしく気持ちの良い日々が多い季節である。
▼盛岡市の中心部を流れる中津川では 9月下旬からサケの遡上(そじょう)が見られるようになった。北上川の河口から約200`を旅して生まれ故郷に戻ってきたサケを市民は中の橋や上の橋の上から温かく見守る。
▼例年、盛岡八幡宮秋の例大祭の時期がサケののぼってくる目安とされてきた。今年は台風18号などの影響で河川の水量が多く、流れも速いが、体長60a前後の雌雄のサケは産卵場所を求めて懸命にのぼっている。遡上は10月中旬から11月初めまで続く。東日本大震災の年に放流した稚魚は今どこにいるのだろうか。来年、無事に帰ってきてほしい。

 2013年 10月 2日 ―賢治が最北の駅へ傷心の旅―
 操作ミスを隠すためATS(自動列車停止装置)をたたき壊す運転士まで現れたJR北海道
▼事故頻発で怖い鉄道になってしまったが明治大正の鉄道開設草創期から、安心・安全は旗印で人々は開通を待ちわび利用した。宮澤賢治も1923年夏に北への一人旅をしている。花巻から汽車と連絡船を乗り継ぎ北海道を縦断。樺太(サハリン)まで足を運ぶ
▼現地企業へ教え子の就職依頼が名目だったが賢治を駆り立てたのは、前年に病没した妹・トシへの思慕だったという。母校で英語も教えた才媛のトシは誇りを超えた最愛の存在であり、周囲から異端とされた法華経信仰に徹する自分に共感してくれた最大の理解者だった
▼それだけに妹は霊界で苦しんでいないか、幸せにしているかと苦悩する。北の果てに行けば霊界に近づき近況を知らせる妹の声を耳にできるかも、との思考もあったのか当時の日本最北の駅・樺太鉄道本線「栄浜」に降り立つのである
▼道中では妹を慕い悼む心象を織り込んだ詩を詠んでいる。「どこかちがった処へ行ったおまへが どんなに私にかなしいか」(津軽海峡)「なぜおまへはそんなにひとりばかりの妹を悼んでいるのかと 遠いひとびとの表情が言ひ またわたくしのなかでいふ」(オホーツク挽歌)
▼北の旅の哀切な傷心が伝わってくる。

 2013年 10月 1日 ―「あまちゃん」の放送終わる―
 NHK連続テレビ小説「あまちゃん」が9月28日の放送で終了した。朝の出勤前には「あまちゃん」を見るのが日課になった。「寂しい、また放送を企画してほしい」といった声が多かった。
▼久慈市の観光客は、あまちゃん人気で80万人を超え、昨年の2倍以上に膨れあがったという。地場産品などの売れ行きも大きく伸ばしている。
▼番組は4月1日から放送を開始して156回を重ねた。主人公アキを演じた能年玲奈さん、親友ユイを演じた橋本愛さんらが北の海女やアイドルを目指して奮闘するヒロインの姿が見事であった。受け継がれている北の海女、北の海の生活や北三陸鉄道のお座敷列車、琥珀(こはく)工房、水産高校の潜水夫の養成、ウニの口開け、秋祭りなど、ありとあらゆるものをうまく組み合わせている。小袖地区で使われている方言「じぇじぇ」が流行語になったこと、同地方の食べ物「まめぶ汁」が一躍有名になったことはもちろんのこと、ウニ、琥珀などの名産品が見直された。
▼2011年3月11日に発生した東日本大震災津波で不通となった北三陸鉄道が1年4カ月後に畑野まで復旧するところで締めくくられた。久慈市小袖海岸や三陸鉄道とからんだ岩手・北三陸などを舞台にした人情喜劇は地元にとどまらず大変な盛り上がりを見せた。 


2013年9月の天窓へ