2014年 6月の天窓


 2014年  6月  30日 ―えん罪乗り越えた河野さん―
 1994年の6月末は松本サリン事件で騒然としていた
▼猛毒サリンをまき死者7人、重軽症者百余人を出したオウム真理教による惨事である。当初は現場近くに住む当時44歳の会社員・河野義行さんが犯人扱いされる。家宅捜索もされてマスコミも連日報道
▼第一通報者でもある河野さんは実は被害者で自らも中毒、重症の妻・澄子さんと共に病院に運ばれている。澄子さんは長期の入院となり河野さんは早期退院。警察の追及を受け自白を強要される
▼自宅には当時16歳の長女を頭に年子で長男、次女と3人の子がいた。敏感な年頃のわが子を父は必死で守り抜く。無実を肌で感じる子らも風評に負けず父を支えた。立証不可で逮捕もなくやがてオウムが浮上。翌年春の地下鉄サリン事件で松本もオウムの犯行と判明
▼えん罪が晴れた河野さんは以後13年間、妻の病床に通い続ける。08年6月には還暦の妻に新著「命あるかぎり」(第三文明社刊)を贈る。文中には「家族を支えているのはあなただよ。子供や世の中の人もあなたの存在に励まされているんだよ」と語り掛ける言葉もある。澄子さんは2カ月後に永眠
▼長男は家を継ぎ長女、次女はいずれも一児の母となって札幌とタイ国ではつらつと暮らしている。河野さんは著述や講演などで事件の本質を問い続けている。

 2014年  6月  29日 ―「安倍政権の抱える多くの課題」―
 安倍政権の経済政策「アベノミクス」の3本の矢として注目されている、政府の新成長戦略が24日発表された。国民の側から見ると、「法人税減税」といったことよりも、「消費税率10%をいつ実施するのか」とか、「デフレ脱却」の見通しなどに関心が高まっている。
▼依然として「デフレ経済」「景気低迷」といった状況から抜けきれないでいることから、政府としても景気回復には本腰を入れていく構えのようだが、その具体策が欲しい。そして、被災地としては復興に絡む予算が継続して措置されるのかが気に掛かるところである。
▼本県としては「農林水産業の将来展望」がどのようになっていくのかにも注視している。環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の早期妥結に向かう気のようだが、その行方はもちろん、今日的課題となっているJA改革への対策などにも十分な対応が求められよう。
▼地方における基幹的な産業基盤は何なのか。曲がりなりにも農業であったが、それが崩壊してしまうのではないかといった疑問が湧いている。
▼家庭においては、年々目減りしている年金支給額とにらめっこしながら、割高になっていく医療費などの支払いに追われているのが現実である。年金、医療、育児、教育や農業、商工といったような身近な課題がいっぱいある。

 2014年  6月  28日 ―「震災を詠む2014」―
 陸前高田出身で千葉県在住の千葉むつ子さんは、大津波で実家の母と弟を亡くしている。弟さんは住民の避難誘導中に濁流にのまれたという。今も折々に二人を奪われた悲しみが込み上げる。その心情を「日常のふとした時の涙川 いいよいいんだ泣いていいんだ」と詠む
▼千葉さんはこの歌をNHKのハートネットTVが、歌会の形で公募した「震災を詠む2014」に応募。入選し5月に福島で催された歌会でほかの入選者の作品と共に公表された。その模様は今月NHKテレビが2回に分け放映した。そこで目に止まった歌も紹介したい
▼宮城の小西三郎さんは次々と立ち寄る人から被災状況を問われた3年間を顧みうたう。「あの津波どこまで来たのと尋ね寄る 人たえずして四年目の春」と。一人の当事者と多くの傍観者の構図も浮かび切ないが、結びの「春」にはため息とともに暗から明への期待感もにじむ
▼だが今も仮住まいの人にはその春さえも恨めしくなる。「三年目の春が来るのにあての無き 『みなし住居』に雪ふり続く」と詠んだのは北茨城の仮の家に住む染谷武さん。春雪も身に染みたことだろう
▼福島県人で京都に身を寄せる鯵本ミツ子さんは、「故郷を『フクシマ』と呼ばれ八万の 避難の人ゐる三年を経るに」とふるさと救済の加速を訴えている。

 2014年  6月  27日 ―都議会のセクハラヤジ―
 18日の東京都議会で質問中の女性議員に向けられた卑劣なヤジが「セクハラ都議会」として問題になっている。
▼塩村文夏議員が妊娠や出産に対する都の支援策を質問している最中、「早く結婚しろ」「産めないのか」などというヤジにたじろぐ塩村議員に笑い声が広がるなど、ひどいありさまだった。
▼女性をさげすむヤジは許されるものではない。塩村議員は晩婚化や晩産化に伴い、都内には出産や不妊に悩む女性が多く出ていることを訴えた。結婚や子育てへの支援は女性だけではなく、男性にとっても大切なこと。そんな大事なことを述べているときに、不謹慎なヤジや嘲笑が飛び出したことは大問題だった。
▼このことは海外でも報じられ、国際的にも日本のイメージが損なわれた。そもそも「ヤジ」とはどういうことなのか。広辞苑では、「やじうま」の略であるが、野次馬とは、ならしにくい馬、強い悍馬(かんば)または老馬、老いた雄馬とも言われている。自分に関係のないことを人の後ろについてわけもなく騒ぎ回ること、また、そういう人と解説されている。
▼発言はどの場でも慎重を期さなければならないのは当然のこと。23日になって、ヤジを飛ばした議員が一人名乗り出たが、そういった意識が問題であって、謝って片付くものではない。

 2014年  6月  26日 ―日本、次回W杯へ飛躍を―
 ブラジルで熱戦が続くサッカーワールドカップ(W杯)の一次リーグ
▼昨日は多くの県民も早朝に起床し、日本が強豪コロンビアに挑んだ決戦をテレビ観戦。懸命に声援を送ったことだろう。惜しくも日本は1対4で敗れてブラジルを去る。初戦以来、熱誠の応援に明け暮れた皆さまにご苦労さまでしたと申し上げたい
▼日本はコロンビア、ギリシャ、コートジボワールの4カ国で構成するリーグC組に属するが、決勝トーナメントに進めるのは上位2カ国だ。日本は初戦でコートジボワールに1対2で敗北。続くギリシャ戦は0対0で引き分け
▼勝ち点わずか1点で劣勢に立たされ、コロンビアに勝たなければ今回のW杯敗退が決定的となる。昨朝の試合はそんな緊迫感に包まれていた。日本は23本のシュートを敵陣に放ちコーナーキック(CK)数など、幾つかの指標でコロンビアを上回っている。ところがそれが得点に結び付いていない
▼攻めは巧みでも結果的に効率の悪さが浮き彫りになった。技術もチームプレーも世界のレベルを見せ付けられ、選手も指導者も学習を迫られたことだろう。攻撃の主役を担った本田圭佑選手が「また、次を…」と、4年後のロシアW杯への意欲を言葉少なに語ったのが印象に残る
▼日本代表の健闘に拍手を送り次への飛躍に期待したい。

 2014年  6月  25日 ―東北への医学部新設―
 東北への医学部新設に宮城県の村井嘉浩知事が積極的に活動している。いまのところ、財団法人厚生会仙台厚生病院・仙台市青葉区、栗原市と連携を取り、県立での医学部設置構想を国に申請する方向で最終調整に入った模様だ。当初は、東北福祉大学・仙台市青葉区、との連携で名乗りを上げたが、財政面などで折り合いが合わなかった模様だ。
▼医師不足の問題は、都市・地方を問わずに起きている問題だが、特にも地方での医師不足は深刻になっている。だからといって、地方に医科大学を設置すると言うことも将来展望や財政問題などから難しい。宮城県では、そのような観点から、県立での医学部設置構想「宮城県立医学部」で国に申請していくようだ。
▼本県においても、宮城県以上に問題を抱えているのだが、岩手医科大学はあるものの、岩手大学、岩手県立大学といった公立の大学に「医学部・薬学部」といった医療機関を備えていない。
▼宮城県の場合、開学に必要な投資は約500億円程度かかると試算されているようだが、設置すると同時にその後の運営や教授陣の配置など、さまざまな問題が予測される。専門的なことは計り知れないのだが、医師不足の現状を踏まえれば、本県の公立の医学部設置について検討することがあってしかるべきと考える。

 2014年  6月  24日 ―安倍総理の危険な構想―
 ヤフーのネットに「知恵袋」という欄がある
▼誰かが質問を投稿し、ほかの誰かが回答を寄せるコーナーだ。そこに「安倍晋三は危険人物ですか」との問いを見たのは半年前。「危険極まりない」などの回答もあったが軽く読み流した。一昨日に国会が閉幕。会期中の安倍総理の動きを顧みると先の「危険」がよみがえってくる
▼総理は日本を「戦争ができる国」にしたくて突き進んで来たようにも見えるからだ。従来の内閣は「武器輸出三原則」を守り武器輸出を禁じてきたが安倍政権は今年4月、これを転換して「防衛装備移転三原則」を策定。「武器」の字を用いず「輸出」も「移転」と表現
▼一定の条件下で武器輸出を促す姿勢を鮮明にした。人を殺傷する武器の輸出。総理はここでも危険性を露呈する。同盟国と共に武力を伴う防衛に当たる集団的自衛権行使も歴代内閣は否認。だが総理は解釈変更による容認に固執。会期内閣議決定を急いだが与党協議継続を求める公明に配慮。協議が続く
▼あれもこれも小細工に映る。9条改定で本丸を落とし安倍構想を実現すればいいのに国会で素案を通す自信がなく、武器や集団自衛で外堀を埋めようとする。最近はいっそ憲法改定を争点に解散し信を問えという声をよく聞く
▼トップ交代をという遠慮のない訴えも耳にする。

 2014年  6月  23日 ―ブラジルも雨の日多く―
 どこからか飛んできて庭のオンコの脇に1本だけ30aほど伸びた草から、藍色の花がきれいに咲いていた。この花は何という種類か、と家族に訪ねたら露草(つゆくさ)であるという。
▼梅雨草と書かないで露草と書かれているところには何かの意味があるのだろう。残念ながら3日間ほどで花は落ちてしまった。
▼辞書を引いてみたら確かに「つゆくさ」とあって、広く畑地・路傍などに生える、と解説されている。夏から初秋に、藍色で左右相称の花を短総状につける。
▼古来、この花で布をすり染めたのは露草色と言われていた。若葉は食用、また、乾燥して利尿剤となった。帽子花、アイバナ、アオバナ、カマツカ、ホタルグサ、ツキクサなどと言われていた。
▼21日は二十四節気の一つ「夏至(げし)」であった。この日、北半球では昼が最も長くなり、反対に夜が最も短くなる。夏至は夏季の真ん中で、梅雨しきりといったところで、水田の稲が色濃くなって盛んに根を張る時でもあろう。
▼北東北地方でも6月6日に梅雨入り宣言がなされた。日本とは地球の反対側のブラジルでは、第20回サッカー・ワールドカップの熱戦が繰り広げられている。時差12時間、日本が朝を迎えるとき、ブラジルでは夕方に入る。高温多湿、向こうでも雨天の日が多いようだ。

 2014年  6月  22日 ―張り切る短歌男子―
 近頃は「○○女子」の呼称をよく耳にする。もちろん各種「○○男子」もある
▼広告案を作る仕事を持ちCM企画も手掛け、歌人でもある田中ましろ氏が名乗った「短歌男子」もユニークだ。昨年4月にはそれを表題にした同人誌も創刊。男性歌人10氏が毎号に連作20首を掲載し、10氏それぞれがネクタイを締めたスーツ姿でポーズをとり、その写真をグラビアとして載せている
▼斬新さが反響を呼ぶが田中氏は短歌が好き、面白いことが好き、短歌を広めたいと張り切っている。同氏が4年前に発刊した歌集「うたらば」も好評だ。年3〜4回刊で毎回お題を告知。指定サイトで誰でも応募できる。毎号入選10首に主宰側でイメージ写真とコメントを添え佳作20首とともに収録
▼フリーペーパー(持ち帰り自由無料冊子)として配布を希望する全国の喫茶店などに置く。「機械」を題にした最新号では「ぼくんちがあったところに休日は 昼になっても寝ている重機」(河野麻沙希)に目が止まった
▼被災地だろうか。既に休日は作業を休めるのか。添えられた写真はさら地中央に重機が眠るように横たわる姿を映し出す。「変わらないのはつまらなくて 変わっていくのはせつなくて」とのコメントも物悲しい
▼それはぼくんちの跡を見詰める少年のわびしさそのものだろう。

 
 2014年  6月  21日 ―岩手医大の矢巾移転―
 岩手医科大学が創立したのは明治30年ということを、理事長・学長である小川彰氏の講演でうかがった。あと3年で創立120周年を迎えることになる。京都大学医学部の発足が明治32年であったことと比較しても大変な重い歴史を踏んでいることが分かる。
▼しかも、単に私立の医学校のみならず、医師の養成、看護師の養成、そして助産師を養成する「チーム医療」という創業時からの視点は今日においても称賛に値する偉業であった。
▼その後、医学、歯学、薬学といった学部に拡充され、岩手医科大学の規模は民間で東日本随一と言われている。4年制看護学部の構想も動き出した。
▼平成31年開業をめどに「矢巾新病院」の建設が進められているが、その広大な敷地の中に充実した医療機器備付・患者サービスの行き届いた新しい病院が出来上がる。ドクターヘリも完備して、県内の遠隔地にも25分程度で到達でき、高次救急センターも強化される。計画では東洋一、世界一の病院を目指しているようで、完成の暁には国内はもとより、海外からも視察が大勢訪れるのではなかろうか。
▼新病院は高度医療、内丸は外来主体として、一体となった病院運営がなされる。現在地は再開発となろうが、葛西萬司設計の内丸1号館は記念館として残される。

 2014年  6月  20日 ―子へ孫へと広がる家族を―
 70代半ばの同窓生が集まり、きょうだいの人数を確認し合ったことがある。最少は5人で最多は5男6女の11人。平均は7人だった。同窓生たちの子どもの数は大半が2〜3人。その子らがやがて世帯を構えると少子化が目立ち始める
▼隣国のように一人っ子政策など打ち出さなくても、日本は今や子ども1人は珍しくない。2人か3人はほしいという若夫婦は多いのに、家計の実情や仕事の事情、整わない育児環境などがそれを断念させてしまう
▼出産育児を温かく支える環境をどう整えるか。この国の将来をにらんだ政府の本気度が問われている。一方、各家庭でも少子化を時流だからと諦めずに、親から子へ孫へと赤ちゃんが生まれて家族が増える喜びを、意識的に語り合い伝承していく努力も必要だろう
▼家人の親友で他県在住の宇畑房子さんは地域団体公募の「百字で伝える私の想い」に応募。命のバトンの継承と広がる家族。そこに至上の幸せをかみしめる「想い」を次のように書き最優秀賞に輝いた
▼「四人の子供が親に成長し八人の孫。命のバトンを受け継いで元気でいる。特別秀でていることもなく平凡の中でかけがえのない幸福(以下略)」と。2人から4人へ8人へと地味な継承と広がりに幸せを感じる姿が、少子化時代だけにほのぼのとして示唆に富む。

 2014年  6月  19日 ―社員の採用と育成―
 来春の採用に向けた大卒、高卒見込み新卒者の就職試験が行われているが、大手の企業では既に大学3年在学者の就職内定まで進めている。4年在学の来春卒業よりも1年も早く内定をして、優秀な人材確保に当たっているのだろう。あと1年半〜2年の授業を残して早くも就職内定というのは早すぎるのではないかと疑問に思わざるをえない。
▼大手企業の場合は、何と言っても「初任給」が企業選択の柱になるものだから、基本給の面では地方の中小企業は太刀打ちできない。しかも、基本給に各種手当類をひっくるめた給与で会社案内に示される。
▼これに対して、本県の地場企業は慎重な表示をしている。どちらかというと、低めの表示をするところが多いのではないか。建設業界などでは先行きが見えてこないからそのようになっている。
▼釜石市にオープンした大型ショッピングセンターでは、時給1200円と表示しても応募者が少なかったという。被災地の状況は特殊だが、今日では単に時給だけではなくなっている。
▼そんな中で、社員の勤務がマンネリ的になって、非能率的な形態が放置され、繰り返されているのも問題がある。「社員とは何か」「仕事とはいかなることか」「処遇の在り方」「人材育成」といったことが問われているのではないか。

 2014年  6月  18日 ―降圧剤の誇大広告―
 3年前に血圧の数値がやや高く、医師から勧められた降圧剤を今も飲んでいる
▼旧友に会うとよく服用薬を問われ「血圧を下げる錠剤を毎朝1個」と答えている。薬の名など覚える気もないからいつも子どものような答え方をしていた。慌てたのは昨年、テレビで関連ニュースを耳にした時である
▼それはディオバンという降圧剤は従来「ほかの降圧剤に比べ脳卒中や狭心症を減らせる」と効能を説明。広告宣伝もして売り上げを伸ばしてきたがこれには、製薬会社ノバルティスファーマの元社員によるデータ改ざんや、誇大宣伝の疑惑が出ているという趣旨だった
▼急ぎ「お薬手帳」を確認。服用中の薬はそのディオバンそのものだった。すぐ主治医に電話。事情を言うと「確かに降圧以外の効能は疑問符が付きますが、降圧効果は数値に表れている通り大丈夫です」とのこと。自分の数値も改善はしているのでその後も服用を続けている
▼先日は元社員が薬事法違反容疑で逮捕されたが背後の事情も浮上。薬効の論拠がほしい製薬会社と、研究成果を誇示したい大学研究機関との癒着も露呈しつつあるのだ。ノバ社が五つの医大に計11億円を超える大金を寄付していることも判明している
▼当方は産学癒着が濃厚の闇を背にしたディオバンを毎朝、苦々しい思いで飲んでいる。

 2014年  6月  17日 ―ユネスコのエコパーク―
 国連教育科学文化機関(ユネスコ)は11日、スウェーデンで開いた会議で、ユネスコの生物圏保存地域「エコパーク」に日本から福島県の只見町と、山梨、長野、静岡県の南アルプスを登録することを決定した。
▼東北での登録は只見町が初めてのことだ。エコパークは都市部追従型地域振興と決別し、高齢・過疎化に直面する山間地域の活性化を図る糸口として、今日的課題の面から新たなまちづくりの方策として注目されている。
▼只見エコパークは、只見町全域と檜枝岐村の一部を含む7万8032fで、豪雪地帯特有の「雪食地形」や多様性に富む植生、自然を生かした伝統文化などが評価された。核心地域、緩衝地域、移行地域―の三つの区域に分けられ、保護と活用を図るという。
▼エコパークには昨年5月時点で、ガラパコス諸島、エクアドルなど世界遺産を含む117カ国、621地域が登録されている。国内では、富山、石川、福井、岐阜県の「志賀高原・白山」、三重、奈良県の「大台ケ原・大峰山」、鹿児島県の「屋久島」、宮崎県の「綾」の5カ所となっている。
▼本県を見ても、沢内・湯田(西和賀町)などの豪雪地帯にも特異な文化や歴史、自然がある。マタギ文化、豊富な山菜やキノコなど食文化もあり、奥会津に劣らないものがあるのではないか。

 2014年  6月  16日 ―日本 W杯初戦に惜敗―
 ブラジルで熱闘が続く第20回サッカーW杯。日本は昨日午前にコートジボワールと対戦
▼これが初戦だが試合は先制しながら1対2と逆転され惜敗した。会場はブラジル北東部の港湾都市。気温30度、湿度77%。雨もぱらつく中でキックオフ。前半は日本が立ち上がりを攻め込まれたが、ジボワールの勢いを巧みな守備で押し返す
▼前半16分、左サイドからの長友のボールをエリア左隅で本田が受け、そのまま運んで左足でシュート。これがゴール内左上に決まり先制の1点となる。現地に詰め掛けブルーの波を脈打たせる日本人応援団も、列島でテレビ観戦する国内ファンも大歓声。この瞬間がこの試合一番のハイライトであったろう
▼その勢いに乗り前半20分にも内田がエリア内に駆け込み、左足でシュートしたがゴールキーパーに阻まれてしまう
▼試合は後半へ。ザッケロー二監督は相手側で最も警戒すべきはドログバ選手だとチームに忠告しながら試合に臨んでいたが、敵陣も星を外さない。後半16分、ベンチで休ませていた彼を投入する。ドログバは巧みに流れを盛り返しチームプレーで3分後に同点とし直後に逆転ゴールも決めてしまう
▼世界の厳しさ、壁の厚さを見せ付けられたが、続く20日のギリシャ戦、25日のコロンビア戦の2試合に希望をつなぎ見守ろう。

 2014年  6月  15日 ―サッカーW杯日本初戦―
 第20回サッカーW杯が日本時間の13日未明、開催国ブラジル戦で開幕した。
▼32カ国が1カ月にわたって覇を競う4年に1度開催されるスポーツの一大イベントであるが、前回の南アフリカに次いで新興国での開催となった。次回はロシア、その次は中東カタールでの開催が予定されている。
▼ブラジルでは大会前「まず賃上げ、福祉を」などを訴えてデモやストが頻発した。競技場建設やインフラ整備の遅れ、治安の悪さなど不安視されていたが、厳重な警戒の下、何とか開会にこぎ着けることができた。
▼ブラジルには親族が昭和7年ころに移民している。神戸から50日もかけて船で渡った。サンパウロからは、かなり遠方の原野でコーヒー、小麦などの栽培で生計を立てていた。東京オリンピックのころ一時帰郷の話もあったが音沙汰なくなっている。
▼W杯で日本は15日のコートジボワールを皮切りに、ギリシャ、コロンビアと対戦する。リーグ4カ国の上位2位に入れば16カ国の決勝トーナメントに進出する。過去最高のベスト16を上回るような、日本チームの奮起を期待している。サッカーは世界一の人気スポーツであるといわれている。日本代表全員の特徴を覚えて応援するのはもちろん、有名な外国選手も覚えて観戦すれば楽しみも倍加するだろう。

 2014年  6月  14日 ―尽きない詐欺、原野商法も―
 石川五右衛門風にいえば「浜のまさごは尽きるとも世に詐欺犯は尽きることなし」ということになろうか
▼おれおれ詐欺も依然として尽きない。振り込めに加え「手渡せ」手法も目立つ。県内では先月も息子などを装う男の誘導で高齢女性が、1300万円とか750万円とかの大金を新幹線で東京まで持参。受け子に手渡しだまし取られる被害が相次いだ
▼人が良すぎることが気の毒になるが、善良なお年寄りをだます犯行に怒りを覚える。最近は高齢者でもだまされたふりをして、犯人逮捕に協力するケースも増えている。賢明な対応の輪を広げ根を絶ちたい
▼趣向は異なるが復興に事寄せた詐欺や横領も続発する。山田町で被災者の緊急雇用創出事業を受託したNPO法人の関係者が、事業費の横領容疑で逮捕された事件は余罪があるとして追起訴されるという。裁きが続くが事実ならまさに火事場泥棒だ
▼福島県復興支援と偽る原野商法詐欺もある。犯人は愛知の高齢女性に福島の山林に空港ができる、地価も上がる、復興支援にもなるとうその事業計画を提示。山林の土地を相場の千倍を超える1600万円で販売しだまし取っている
▼今月、犯行グループの男3人が逮捕されたが、山林は70人以上に分割販売していて被害者が広がるという。尽きない詐欺に言葉を失う。

 2014年  6月  13日 ―あすはチャグチャグ馬コ―
 みちのくの初夏を彩る風物詩として全国的に有名な国無形民俗文化財「チャグチャグ馬コ」が14日開催される。
▼目にも鮮やかな装束で着飾った馬コたちが、滝沢市鵜飼の鬼越蒼前神社に集まり参拝後、滝沢市内から盛岡市に入り中心部などを通って盛岡八幡宮までの約15`の道のりを約4時間かけてパレードする。
▼岩手山を背景に、馬に付けられた大小の鈴から流れるチャグチャグという勇ましく、にぎやかに鳴り響く音色から、「チャグチャグ馬コ」の名が生まれた。東北地方北部に馬が導入されたのは奈良時代以降といわれ、全国有数の馬産地として名をはせるようになってから、馬と人間は切っても切り離せない存在となった。
▼16世紀後半に農耕の技術が入ってくると、人と馬が一つ屋根の下で暮らすようになって「南部曲がり家」が生まれ、馬を家族の一員として大切にする気持ちが一層強まってきた。
▼こうして培われてきた愛馬精神から、端午の節句に農耕に疲れた愛馬を癒やし、無病息災を祈って馬の守り神である蒼前神社や駒形神社をお参りする風習「オソデマイリ(お蒼前参り)」が生まれた。お参りの時に小荷駄装束を着せた馬を引くのが流行し、原型になったと言われている。梅雨のさなかだが、この日はせめて雨だけでも降らないでほしい。

 2014年  6月  12日 ―自民要人が総理を批判―
 古賀誠、加藤紘一、野中広務の各氏といえば、党幹事長などを歴任した自民党の要人だ
▼既に引退しているが平和主義を信条とする姿勢は変わらない。現行平和憲法の抜本改正に躍起となる安倍総理にも意見を言う。憲法には安易に改正に走らないよう、第96条に衆参両院で3分の2以上の賛成が必要と歯止めを定めている
▼総理はこれを「過半数」に緩めようと96条改正に固執。昨年6月のことだが古賀氏はその小細工を厳しく批判。意外にも共産党機関紙赤旗のインタビューに応じ、掲載記事では平和な日本の根底には9条を軸とする平和憲法があると指摘。その改定を狙う96条改正は絶対にすべきでないと述べている
▼その改正にも3分の2が必要。できっこないのに仕掛けた総理が失笑を買う。そこで方針転換。同盟国と共同で防衛に当たる集団的自衛権行使は、憲法が許さないとし歴代内閣が否認してきたが、安倍内閣の解釈変更による「行使容認」を企てたのだ
▼総理は落着を急ぐが難点が多い。先月、今度は加藤氏が赤旗に登場。行使を容認すれば徴兵制まで行き着きかねないと苦言を呈する。昨年11月には特定秘密保護法案に反対する野中氏の講演を赤旗が紹介した。敵陣から味方に鉄砲を打つ妙手
▼強引に右へかじ取る総理には左から戒めるしかないのだろうか。

 2014年  6月  11日 ―及川彩子さんからのお便り―
 盛岡市出身で北イタリア在住のチェンバロ奏者の及川彩子さんからのお便りによると、イタリアの夏はバカンスのシーズンであると同時に、庭の手入れに毎日追われる時期でもあるという。なんとゆとりのある暮らしであると思わされた。
▼イタリアの昔からの伝統になっているのだろうが、自然にあふれた素晴らしい良い暮らしをしているように思った。
▼特にも、「庭の手入れ」ということに時間を費やしているのが素晴らしい。花や家庭菜園などを生活に採り入れているのだろうが、そういった作業は健康にも良いのだろう。畑で野菜を収穫して、自家で賄い、余ったのは近所や親戚に配っているとうかがった。
▼近年、日本では「住宅と駐車場」だけの家が多くなった。もちろん、マンション住まいになれば、庭の手入れも除雪も草むしりも要らなくなっている。「家庭」とはよく家に庭付きのことを言った。戦後における分譲地や新興住宅地では、よく小さな畑を作り、いくつかの庭木や盆栽を育てる年代が多かった。隣との境にもヒバなどの垣根が植えられて春や秋には手入れをしている姿が見られた。
▼近年はコンクリートブロックや石垣が多くなっている。カエルやチョウ、トンボなどの生き物がめっきり減った。スズメの姿も少なくなっているのはなぜだろうか。

 2014年  6月  10日 ―カジノ法案と合法性―
 「カジノ」は日本風に言えば、賭博ができる場所のこと。ひともうけしようと金銭を賭けるギャンブル施設のことだ
▼一夜で大金を手にしたという話もまれに聞くが、実際はその逆が多いという。日本では賭博行為は違法でカジノは存在しない。だが海外では合法とする国がある。日本の名門企業創業家3代目で会長職の人物が、海外カジノに会社の金を注ぎ込み特別背任に問われた事件もある
▼総額およそ105億円を使い果たしたこの3代目騒動は、3・11大震災で被災者がまだ衣食住に苦しんでいるさなかに発覚したから衝撃が大きく忘れられない。世間にもカジノ即不健全とのイメージを焼き付けた
▼一方、負の面は熟知の上だろうが自民、維新、生活の3党は昨年12月にカジノ推進法案を衆院に提出。今国会での成立を目指す。なぜ、と違和感を覚える向きもあろう。法案の当面の狙いは20年東京五輪を展望しお台場辺りに、カジノを中心とする統合型リゾートを整備することにあるらしい
▼海外客でにぎわうことはいいことだがカジノの賭博性は薄めるのか。ギャンブル誘客はそのままなら、違法から合法へどう法整備をするのか
▼安倍総理が得意の解釈変更は通用しないテーマだから、集団的自衛権討議の渦中でも法整備構想を提示し国民的論議を喚起してはどうか。

 2014年  6月  8日 ―歴史文化面からの被災地支援―
 東日本大震災では千年に一度の甚大な被害を受けたが、がれき(災害廃棄物)の処理が一応は3月末で片付いて、防潮堤の建設や復興公営住宅の建設がようやく本格化してきている。復興道路や水門の建設、河川などの防災工事も進められているが、旧市街地の土地のかさ上げや住宅の復興はこれから始まるという状況に置かれている。
▼復興に当たっては、国内はもとより、国外からも大変な支援を頂戴している。ボランティアとして現地に赴いて支援する方法や義援金で応援するなどさまざまである。また、三陸沿岸の観光に出かけて三陸鉄道に乗車するとか、魚市場で買い物をしたり、食事をするといった形の支援もあろう。
▼盛岡城跡公園内にあるもりおか歴史文化館の運営審議会が先日、開催され、その中で支援に関する一つのヒントが生まれた。三陸沿岸の多くが、旧盛岡南部藩の領域であり、南部藩に大きく貢献していたという歴史的経緯だ。それは「三陸漁場」であったことで、魚介類、乾物、海草など、大きな財源として貢献していた。
▼そういった産業文化の歴史を内陸から発信することも文化面からできる大きな支援である。学芸関係はもとより報道関係などを中心に、今一度、豊かな漁場である三陸沿岸の歴史を振り返ってみなければならない。

 2014年  6月  7日 ―犬猫の殺処分をゼロに―
 いつもの散歩コースで、愛犬ラブラドール・レトリバーを連れた高齢紳士によく会う
▼親しくなり犬や猫の話もする。お供の犬はカナダのラブラドール州が原産地だが他国の改良種もある。元来が狩猟犬で獲物回収を意味する「レトリバー」を産地名に添えて呼ぶ。察知力に優れ盲導犬、警察犬などでも活躍する
▼若い人ならこの犬の名を表題にしAKB48が歌う新曲が、先月発売後にヒットチャート1位が続いているから耳にした人も多かろう。「ラブラドール、連れて行ってよ、彼女の元へ」をキャッチコピーに、AKB過去最多の36人が愛犬が関わる青春の恋を乱舞しつつ歌う
▼老紳士は勇敢な猫の逸話も語った。先月米国で4歳の男児を犬が襲う。直後に男児宅の飼い猫が飛び出し犬に激突。はじかれた犬は逃げ去る。映像が世界に伝わったという。ある日、紳士は「犬も猫も寿命が短い」とぽつりと言う
▼長生きしても犬は17歳前後、猫が24歳前後で一生を終わる。短い生涯なのだからどんな事情があっても、殺処分は駄目だとも言う。確かに日本では年間約16万頭の犬や猫が税金で殺処分されている。これをゼロにするため環境省が重い腰を上げ今月3日に行動計画を発表
▼自治体の先駆例なども参考にして遺棄防止、譲渡促進の取り組みを全国に広げていくという。

 2014年  6月  6日 ―ヘビが減っている?―
 画家の八重樫光行さんが水曜日に連載している「草木の実の版画」の原稿を持参してくれた。6月末の原稿としてイチリンソウが見事に出来上がった。イチリンソウのようにギザギザになった葉っぱは、食には適さないが花が多く、実にきれいである。
▼八重樫さんは山菜採りによく出かける。ヘビやタカの類が例年よりも少なくなっているとか。タカの食べ物のヘビなどが減っていることは、生き物が少なくなっていることの証左であろうか。一方でクマの出没が増えているのはドングリが豊かだったことに加えて、人間の食べ残しや畑をあさっていることによるのではなかろうか。
▼先ごろ、空き家にしている実家の草むしりに帰った。庭の草の中にキジが巣を営んでいた。知らずに近づいたら雌鳥が声を上げ、羽を広げて威嚇(いかく)してきた。驚いたが巣をのぞいてみたら20個近い卵があった。そのままにしてひながかえるのを待つことにした。昼飯時、台所の自家水道に行ったら家族が大声を上げて騒いでいた。何か大変なことでも起きたのかと行ってみたら、小さなヤマカガシが長くなって床にいた。竹さおで納屋のほうにのけてやった。
▼祖母は生前「ヘビは守り神だから殺すものではない」と教えてくれた。何か良いことが来ることを期待している。

 2014年  6月  5日 ―ゴルファー松山が開花―
 ゴルファーの松山英樹選手は、父親の影響で4歳の時にゴルフを始めたという
▼秘めた才能は積み重ねた練習により青春期に開花。08年の全国高校ゴルフ選手権でも優勝し頭角を現す。四国生まれだが10年春に強豪のゴルフ部を持つ仙台の東北福祉大学に進む。同年のアジアアマチュアゴルフ選手権では日本人として初優勝する
▼米国で毎年4月に催す「マスターズ」は男子ゴルフではハードルが高く、主催者が招くマスター(熟達者)しか参加できない。松山選手は先の優勝でアマチュアながら翌年の出場権を獲得。その11年春は大震災直後だったが、彼は被災者を支える決意を胸に渡米
▼出場したマスターズでは予選を通過し27位。打数が少なくプロ以外の最優秀選手(ローアマチュア)に輝く。可能性をぐんぐん開き昨年4月にプロ転向を表明。以後国内外で優勝など好成績を重ねる。昨年9月には被災した子らのためにと、支援を具体化し基金を設立。今春は大学を卒業。戦野を広げる
▼今月1日に最終ラウンドが行われた米ツアーにも挑戦。優勝を果たす。難易度が高いそのコースを造ったのはゴルフの「帝王」とされるジャック・ニクラス氏だ。帝王は「素晴らしい優勝者だ」と松山選手を称賛。今後10年、15年にわたりベストプレーヤーになると期待を寄せている。

 2014年  6月  4日 ―詩人が愛した中津川―
 「屋根のないアトリエ作家」を自負して本領を発揮しているのが、盛岡市在住の菊池如水さんであるが、90歳を超されても今なおご健勝で精力的に創作活動している。如水さんは、指描き手法の油彩画を描いて、東京や盛岡市内のギャラリー彩園子などで個展を開催している。藍色の濃淡で山岳などを見事に描き、昨年には盛岡城跡の石垣などに的を絞って描いた作品の個展が開かれた。
▼盛岡タイムスでは紙面構成を一新して、計4nをカラー面にした。初日の6月1日、盛岡出身の深沢紅子と画文の友情深かった立原道造生誕100年の記事をトップに記した。立原は昭和13(1938)年9月19日から10月20日まで盛岡に滞在。その間、愛宕山にあった紅子ゆかりの「生々洞」に滞在した。
▼先日、如水さんから、立原道造生誕100年についてのお手紙を頂戴した。立原道造が盛岡に赴いた年、昭和13年は国鉄から満鉄に派遣された年であったと。昭和12年に日中戦争が始まり、翌年おじの勧めで満15歳で単身、新潟港から北朝鮮羅新経由で中国吉林に渡った。
▼如水さんより8歳年上の立原道造のこと、日中戦争が勃発したころは少年時代であったことなどを思いながら、手紙の最後に次のように添えてあった。「詩人が愛した中津川 深沢紅子と画文の友情」

 2014年  6月  3日 ―ホンダのカブに立体商標―
 中高年世代ではかつて初めて乗ったオートバイは、カブだったという人が多かろう
▼今も愛用している人がいるかもしれない。当方も新聞少年になった時、担当地域は坂が多く自転車で難儀をしたから、免許を取得した頃に本田技研(ホンダ)が製造販売を始めたスーパーカブを購入。歓喜して配達したことを思い出す
▼同社が1952(昭和27)年から試みたカブは自転車補助エンジン方式。その着想を生かし本格的な小型オートバイのスーパーカブを誕生させたのは58(昭和33)年だ。名称は猛獣の子を意味する「カブ(cub)」にちなむが、スーパーを冠したカブは小排気量だがパワフルで名の由来を体現
▼小気味よく小回りの利くオートバイとして爆発的に売れていく。誕生から半世紀を過ぎた今も生産は続く。随時改良も加え優れた耐久性と経済性が、海外でも歓迎され160カ国超の国々に普及。本年3月時点の累計生産台数は8700万台を超えている
▼機能は改良しても形状デザインが一貫しているから「あ、ホンダだね」とすぐ分かる。この種の一目で分かる商品を立体商標として登録する特許庁が、先月、基本デザインを貫くスーパーカブの立体商標登録を決定。乗り物では珍しいという
▼形を黙々と継承するホンダの社員にとってもうれしい評価だろう。

 2014年  6月  2日 ―満開のてっせんに想う―
 隣家との境のクロモジの垣根に、てっせんが咲いている。数年前から紫と白の見事な花を5月末に咲かせる。どこからか種が飛んできて垣根の下に芽生えたのだろう。茎は針金のように細く、花を付けないうちは何かの「ツル」ではないかと放っておいたら大きく開花し、風に揺られている。紫のものばかりと思っていたら、少し離れたオンコの古木の根の当たりに真っ白な花を開かせた。
▼辞書を引いたら、キンポウゲ科の「落葉蔓性草」とあって、「鉄線花」とも言われ、中国の原産である。葉柄で他物に巻き付き、初夏に咲く。根は通風の薬とすると解説されていた。
▼この季節、シドケ、ボウナなどの山菜が峠を越して、タケノコの季節に入ってくる。奥州市からモウソウ竹の根を譲ってもらい植えたが、20数年経ても太くはならない。毎年タケノコは出るがカラタケ程度の太さである。風に揺られる竹は風情があるのに、家族は隣家に迷惑をかけるとして頭の方をちぎってしまう。クロ竹も風よけに植えているのだが、これは繁殖力が強くてタケノコが良く出る
▼とんでもないところにタケノコの芽が出たりするが、それは小さいときに収穫して料理に使っている。石垣や板塀より垣根は手数がかかっても、岩手山おろしの防風に、ヒバや竹は効果がある。

 2014年  6月  1日 ―軍人政権復活のエジプト―
  14年前の00年6月は2日に衆議院が解散。25日が投票日と総選挙一色の月だった
▼言葉の軽い森元総理が「日本は神の国」と語って問題化。解散も「神の国解散」と呼ばれた。それでも堅調な自民党。気掛かりは浮動票の風向きだけ。そこでまた森氏の軽口が飛び出す。「(無党派層が)寝ていてくれれば〜」と、棄権と低投票率を期待する本音を語ってしまったのである
▼政治権力者が国民の投票行為に入り込むごう慢は国内外でよく見掛ける。今回のエジプト大統領選挙で、対立候補に大差で圧勝したシシ前国防相の介入もすさまじい。昨年7月に軍事クーデターで前政権を倒したシシ氏は、この選挙で広範な信任を得たいと投票率を上げることに躍起となる
▼意をくむ暫定政府は投票日が5月26、27日の2日間で平日だったが初日の出足が悪く突然、2日目を休日にすると発表。投票も28日まで3日間に延長。棄権者に罰金を科すことにも言及して威圧
▼きょうあすにも最終確定数値を公表するというが、懸案の投票率は47%前後とされ前回を下回るという。3年前、軍出身のムバラク長期政権が民主化を求める民衆のうねりを浴びて崩壊。「アラブの春」と呼ばれたがエジプトは再び軍出身大統領の政権となる
▼選挙でも強権が見えたが春は冬に戻るのかと懸念が広がる。

2014年 5月の天窓へ