2015年 10月の天窓


 2015年  10月  31日 ― 冤罪濃厚で仮釈放 ―
 法廷で無実の罪を着せられる人が後を絶たない
▼厳正な裁きを命題とする司法当局が、なぜこの大罪を犯すのか。今月26日にも娘を焼死させた犯人とされ無期懲役刑で、20年間も服役した母親と内縁の夫が、再審決定でえん罪濃厚となり仮釈放されている
▼事件は1995年に大阪で起こる。自宅に組み込んだ駐車場で火災が発生し2人と長男は脱出。入浴中だった当時11歳の長女が焼死する。捜査当局は2人がシャッターを閉めた駐車場で車からガソリンを手動ポンプで吸引
▼場内にまいてライターで火を付け自宅も全焼させ、娘を焼死させたとして逮捕。娘に生命保険を掛けていたことを動機とみている。だが約2百万円の借金はあっても困窮ではなく、生保狙い説は不自然とされるなど先の筋書きも次々と否定されていく
▼手動ポンプもライターも見つからず、府警科学捜査研究所による火災再現実験でも、漏出気化したガソリンが隣接する風呂燃焼装置により自然発火した可能性が高いと判断している。再審開始前仮釈放に踏み切るだけの論拠が整ったのだ
▼足利の4歳女児殺害犯とされた菅家利和さんも最新の鑑定で無罪が確定。09年に獄中17年余の屈辱から釈放され「こんな苦しみは私で最後に」と訴えている。でもその歴史は終わらず真犯人がほくそ笑んでいよう。

 2015年  10月  30日 ― 方言の記録と継承 ―
 「おめはん」と文字で書けば意識しないが、実際に呼び掛けられると語調によって親しみのあるようにも、しかられているようにも取れる
▼先ごろ死去された松本源蔵さんは盛岡弁の「おめはん」の名手ではなかったかと思う。店に行ったり取材先で顔を合わせると、名前よりも「おめはん」と呼ばれることが多かったと記憶する。もちろん、親しみを呼ぶ柔らかな口調で、たった一言で松本さんとの距離が縮まる気がした
▼この秋、ベテランのジャズ歌手、伊藤君子さんが津軽弁で歌う「津軽弁JAZZ」のアルバムが発売された。ジャズで演奏される有名曲で伊奈かっぺいさんが津軽弁訳した歌詞を、伊藤さんがスウィングを効かせ歌唱する楽しい作品だ。津軽弁だからできるアレンジで、盛岡弁ならばどう料理できるかと思わされた
▼時を前後して、松本さんの訃報に接し、松本さんが盛岡のタウン誌に連載した「わたしの盛岡」の原稿の語りを収めたCDを聞きたくなった。聞き直してみると、古い盛岡の人々の暮らしに想像力をかき立てられ、何より松本さんの盛岡弁が心地よい。松本さんの人柄がにじみ出たあの風貌で話しかけられる機会はめぐってこないが、CDが残されたのはありがたい
▼盛岡弁の語り手が少なくなる一方の今、盛岡弁を音楽でも歌い継ぎたい。

 2015年  10月  29日 ― 笑顔戻る箱根温泉街 ―
 昔は「江戸の奥座敷」といわれた箱根温泉も、今では全国人気の観光地としてにぎわう
▼ところが今年は火山でもある箱根に異変が起こる。4月には小さな地震が頻発。気象庁は噴火警戒レベルを「2=火口周辺規制」と発表する。6月末には小規模噴火が発生しそれを「3=入山規制」とした。「御嶽山に似ている」などの風評も加わり、宿泊キャンセルが殺到する
▼客足はぴたりと止まり温泉街の宿泊施設や商店街は、開店休業状況に耐え続ける。トンネルを抜けるのは先月のシルバー週間直前だ。危険度が和らぎ火口周辺のみの規制に戻す「レベル2」が発表されたのだ。常連客のほか「大変な時は支え合おう」と東北など被災各地からの予約も増えたという
▼当方も首都圏の防災会社で要職を務める親族から、「箱根の諸施設と取引があり恩返ししたいので是非」と誘われて、先週末に強羅温泉を堪能してきた。快晴に恵まれ彼の車で箱根入りし、夕刻にいろは坂を登ったが満月に近い月影と冠雪の富士山を交互に仰いだのも印象に残る
▼温泉近くの商店街では邦人より海外客が多いのに驚く。中国語が飛び交う中で「私、フランス人、これください」と欧州勢も負けていない。その光景には驚嘆したが、それよりも心を打たれたのは宿のおかみや商店主らの笑顔だった。

 2015年  10月  28日 ― 盛岡タイムス創刊46周年 ―
 盛岡タイムス社は、10月28日に創刊46周年を迎えました。
▼岩手国体の前年、昭和44年の創業ですから、「おかげさまで46年」ということになります。日頃ご愛顧いただいている皆さまに心からお礼を申し上げるとともに、今後につきましてもこれまで以上のご支援をお願い申し上げる次第です。
▼近年、情報手段は携帯電話、スマートフォンなどが普及して、多様化が進んでいますが、活字による新聞情報の特色や強みを遺憾なく発揮して、地域に必要とされる最新の情報を正確に伝えてまいりたいと考えています。
▼創刊のころは国体を控えて、陸上競技場を中心とした県営運動公園の建設はもとより、県内の各種競技場の整備が進められました。併せて道路や公共施設の建設が盛んに進められました。また、選手・役員などの受け入れ態勢の準備や式典のリハーサルに余念がなかったと思います。まさに県民挙げての大イベントであり、県勢発展に燃え上がっていました。
▼2巡目のいわて国体・障害者スポーツ大会が来年、本県で開催されます。震災からの復興に懸命な努力を払っているところで、いまだ道半ばではありますが、全国から手厚い支援をいただいていることに応えなければなりません。「地域と共に歩む」をモットーに、一層の努力を続けてまいります。

 2015年  10月  27日 ― ノーベル賞女性作家の警告 ―
 29年前に旧ソ連(現ウクライナ)のチェルノブイリ原発で、以後を含め最悪の爆発事故が起きた
▼旧ソ当局は死者を消防士など33人と発表したが実数は桁違いだという。当局は対応が遅れ真相も明かさない。当時、国際原子力機関は爆発によって大気中に放出された放射性物質は、広島投下原爆による放出量の約4百倍に及ぶと推定している
▼高濃度放射性物質に汚染された原発から半径30`以内の地域では、今も居住が禁止されている。当初は3日間の避難を指示された人たちが29年間も帰れないでいるのだ。農畜産業を禁じた局地的高濃度汚染地域(ホットスポット)も、現在もなお約百カ所に点在しているという
▼今年のノーベル文学賞に選ばれたベラルーシ国の女性作家スベエトラーナ・アレクシエービッチさんは、従軍女性兵士や大戦帰還兵などの聞き書き証言集の大家だ
▼邦訳「チェルノブイリの祈り」(岩波書店刊)も、急死した消防士の遺族をはじめ被災者3百人を取材。その証言で大事故の真実を追う。《ガス室でもどんな武器でも人を皆殺しにできないが、原発はやりかねない》(趣意)とこの発電方式の本質的な怖さを浮き彫りにする
▼副題にした「未来の物語」には身震いがする。福島の原発事故は女史が警告する怖い物語の一ページをつづっている。

 2015年  10月  26日 ― 季節感に合わない実り ―
 盛岡地方に初霜が降り、週末はぐっと冷え込んだ。盛岡地方気象台から冬の便りが発表される。10月下旬に入り紅葉は真っ盛り。農作物の収穫期でもある。11月の別称は霜月(しもつき)といわれ、里にも霜が降りるようになって、モミジは日を追うごとに色づきが良くなってきている。
▼岩手大工学部正門に並んだ大樹が20日頃から伐採されている。館坂橋に至る道路の拡張のための伐採だが、長年にわたり市民に親しまれた景観である。せっかくの紅葉を見せないでなぎ倒されるのは気の毒であり、せめてあと1カ月でも遅らせれば、有終の美を飾ることができたのではないか。
▼そういえば、水田の黄金色の稲穂も美しく、大半の稲は刈り取り作業が終わっているのに、ぽつんぽつんと黄金色の稲が刈り取られないで残っているところが見受けられる。その稲は何に使われるのかと尋ねてみたところ、飼料米の稲であるといわれる。
▼県南地方などに行ってみるとかなり広い水田に大豆が植えられているが、収穫されずにそのままに立っている。せっかく転作として大豆が植えられているのだから、収穫して納豆や豆腐などに加工されないものかと思った。
▼季節感から見ても、「日本の農業はちぐはぐだらけ」と思ってしまうのは、直接携わっていない者の目だろうか。

 2015年  10月  25日 ― 人を励ます牛の歩み ―
 故大平正芳元総理が若い時に、郷里の後輩を激励した書簡が見つかったという
▼その中には「牛の様にネバリ強く〜牛の様に黙々と〜」などの文面もある。その報道があった日に当方は、家人の先輩の女性(76)が今夏出版した「あの牛は歩いている」(文芸社)と題する手記を読んでいて牛の重なりに頬が緩む
▼牛が黙々と歩む姿は鈍さにも例えられるが、むしろそれは苦闘を重ね生きる人には「どんな逆境も粘り強く踏み越えて行こう」と背を押す姿に映ることだろう。手記の著者は青春時代に「牛の詩」に出会う。届いた無記名封書にはこの詩だけが入っていたという
▼「あの牛は歩いている〜ある一つのことを見つめながら 人が障害と名づける一切のものを踏み越え 又突き抜けてあの牛は歩いている」と彼女は長文の詩を熟読。寄贈者の心を感知し大事に保管する。やがて30代になり再婚話ばかりが持ち込まれ沈む彼女
▼そこへ3度目の米国駐在社命を受けた貿易会社勤務の男性との縁談が舞い込む。3回目の会食で彼は一緒に渡米しようとプロポーズ。彼女は快諾。挙式翌月から米国生活が始まる。手記は愛児4人の成長や本社倒産現地就職など一家のドラマも回想する
▼彼女は改めて「牛の詩」に感謝し、寄贈者や日本の旧友らに伝えたくてこの手記を刊行した。

 2015年  10月  24日 ― 残念な大企業の不祥事 ―
 国内を代表する大手企業で不祥事が起きている。東洋ゴム工業による防震ゴム製造の偽装と三井不動産グループによるマンション開発の偽装が相次いで発覚した。技術立国日本として、データ改ざんなどという悪質な手口が共通しているのはゆゆしき事態である。
▼横浜市のマンション傾斜問題は東日本大震災の後であり、多数の住民が暮らしている建物の不良施工は深刻な問題だ。くい打ち工事を担当したのは旭化成建材とされているが、全国には同様の悪質な手口が相当数に及んでいると見られている。詳細は今後分かっていくことだろうが、固い地盤に一部のくいが届いていない事実があり、現場管理者がくいとコンクリート量をごまかしていた事実が判明している。
▼免震ゴムに続いて防震ゴムの偽装も発覚した東洋ゴムの不正も大変だ。今のところ9万個の防震ゴムの性能データの偽装が発覚している。偽装は2008年以降に起きているといわれ、前年には断熱パネルで同様の不正があったとされている。免震ゴム不正では1年以上も前から内部で不正を把握していたらしく、品質検査の手抜き、担当者の倫理に問題があったのではないか。
▼見抜かれなければ何をやっても構わないという考えがあるなら、職業倫理を徹底させなければならない。 

 2015年  10月  23日 ― 運動器疾患克服の促進 ―
 10月は日本の「体力づくり強調月間」だが、その間に毎年12日から始まる国際的な「世界運動器週間」も実施される
▼健康や体力づくりへの自覚と実践を強調する月間の陰に、この「週間」はややかすんで見える。それでも違和感がないのはその時期にも多くの国民が、散歩から各種球技、運動会に至るまで体力づくりに励んでいて「週間」が目指す運動器鍛錬の意義もそこに重なるからであろう
▼ここでいう「運動器」とは骨や関節、筋肉、靭帯(じんたい)、神経など体を支えたり動かしたりする器官のことである。息をする臓器を「呼吸器」というように、身体を思うように運動させる臓器だから「運動器」と呼ぶ
▼これらのどこが故障しても人は快適に暮らせない。関節や筋肉の疾患で足腰が痛いとか階段を上がれないといった支障が現実に起こる。これは世界共通だ。この疾患に着目したスウェーデンの学者が1998年に世界に向け、健やかな生活のため運動器疾患の克服を目指そうと提唱する
▼翌年には当時のアナン国連事務総長が支持を表明した。そこから2010年を目標に「『運動器の10年』世界運動」が始動し、今は次の2020年へと運動を継承。日本国内でも予防・治療を啓発し促進する活動が裾野を広げながら進められている。10月がその飛躍台を担う。

 2015年  10月  22日 ― 和歌山と岩手のわんこつながり ―
 和歌山国体では岩手の選手団が活躍。総合成績は16位と躍進を遂げ、来年の地元国体での栄冠に向けて着実なステップとなった。本社からは2人の記者を派遣し、開閉会式を中心に本県選手団の活躍を詳しく報じることができた。
▼紀伊半島の和歌山と本県は直線距離で1千`以上、1日がかりの往来となる。遠国でも山梨、石川、福岡など歴史的にゆかりのある県とは違うし、沖縄県のように姉妹交流があるわけでもない。
▼この機会に和歌山国体のマップを眺めると、「みなべ町」という地名に気付いた。平成大合併でひらがなの名前に変わったが、もとの名は「南部町」。もし山梨県に発祥する南部氏との縁があるなら、盛岡とは一門の間柄になろう。田辺市は武蔵坊弁慶の出身地と伝えられる。最期の地の平泉と、「義経ロマン」の縁結びだ。徳川吉宗ら歴代将軍を輩出した御三家で、葵(あおい)の御紋の土地柄だから、本県と幕末のしこりはない。
▼海岸には隣の三重県とともにリアス式の地形が目立つ。東日本大震災では和歌山県にも大いに助けられた。防災面では協力し合いたい。
▼和歌山国体のマスコットは紀州犬をモデルにした「きいちゃん」。いわて国体はおなじみ「わんこきょうだい」。まさに「わんこ」つながりで、大会旗が引き渡された。

 2015年  10月  21日 ― 続く農相の不祥事辞任 ―
 第一次安倍内閣では松岡農相が、事務所費不透明支出などの疑惑が浮上して議員宿舎で自殺(07年5月)
▼後任の赤城農相も不透明事務所費問題のほか多くの疑惑が噴出。わずか2カ月で辞任する。後継人事が難航し若林環境相が兼任後に登用された遠藤農相もまた、農業共済組合掛け金不正受給疑惑が発覚、なんと就任8日目に辞任した
▼総理の面目は丸つぶれで第一次安倍内閣は崩壊していく。その農相連続自滅劇を冷静に見詰めていた多くの国民は、あの07年の時点で安倍晋三という政治家の甘さ軽薄さを見抜いたことであろう。「器にあらず」と見限った声も耳にしたことを思い出す
▼悲しいことに民主党はじめ野党は多弱を露呈。有権者はやむなく自民党に多くの議席を与え、安倍氏に再び政権を預けてしまう。なぜか内閣は農相不祥事疑惑の定めも引きずり、その劇を再演しているのだから言葉を失う
▼今年2月には西川農相が自らの政党支部が、国の13億円もの補助金交付を受ける業界団体筋から、違法な献金を受け取っていたことを認め辞任した。さらに現在の森山農相の政党支部が、県発注工事の談合で県の指名停止措置を受けた複数業者から献金を受けていたことが判明する
▼諸追及からの逃避か国会は開かないらしい。国民の多くはその小心に背を向ける。

 2015年  10月  20日 ― 北海道新幹線開業へ準備 ―
 JR北海道が13日、北海道新幹線の運賃を発表した。
▼東京─新函館北斗間、普通車指定席を2万2690円とした。所要時間は「約4時間」となっている。羽田─函館間の割引航空運賃よりも2割程安くしているという。現在は、東京からのお客さまは、鉄道利用よりも航空機利用が主になっているのだろう。
▼航空機の飛行時間は1時間半程度としても、空港までのアクセスなどを考えれば前後4時間以上はみなければならないだろう。北海道新幹線が開通して乗車時間が従来よりも1時間弱短縮したとして、加えて、定時性や安全面、そして乗り心地などのサービス面でどちらを選択するのかにかかってくるだろう。
▼北海道新幹線は東京から1日10往復、1時間に1本程度の運行になるだろうから、利便性や大量輸送性の上では新幹線が便利になってくる。また、発着地からのアクセスについても航空機とは比較にならない手軽さがある。盛岡─新函館北斗間の所要時間は2時間を切るのではないか。
▼問題は、外国からの訪日を含めて観光客の利用であろう。花巻空港、青森・秋田・仙台空港などとの連絡運輸として、台湾、香港、韓国、中国などとの往来が高められるようにしなければならない。観光都市、国際化に向けた受け入れ態勢の対策を急がなければならない。

 2015年  10月  19日 ― 若山牧水とお酒 ―
 わが家の祖父も父も故人だが、周囲からは酒豪と言われていたらしい
▼幸か不幸か当方にはその遺伝子はないが、毎年秋が深まると父が大書し書斎に掲げていた若山牧水の賛酒歌数首を思い出す。「白玉の歯にしみとほる秋の夜の酒は静かに飲むべかりける」との有名な一首が中央に置かれていたから、秋ごとによみがえるのかもしれない
▼自然を愛し旅に生きた牧水には、感傷をあらわにしロマンの調べでつづった胸打つ歌がたくさんあるのに、亡父は酒道の師の遺訓のように酒にまつわる歌だけを掲げていたのである。もちろん牧水の酒は秋に限らない。「かんがへて飲みはじめたる一合の二合の酒の夏のゆふぐれ」とも詠む
▼「人の世にたのしみ多し然(しか)れども酒なしにしてなにのたのしみ」と言い切る歌人の酒量は尋常ではない。朝昼晩それぞれに「一升」を飲み干すことが珍しくなかったという。「足音を忍ばせて行けば台所にわが酒の壜は立ちて待ちをる」と日常の光景もうたう
▼「妻が眼を盗みて飲める酒なればあわて飲みむせ鼻ゆこぼしつ」と俗人そのものの歌もある。連日浴びるように飲んで肝硬変となり、寿命を縮め43歳で他界する。喜志子夫人が「にこやかに酒煮ることが女らしきつとめかわれにさびしき夕ぐれ」と葛藤を吐露した歌も残っている。

 2015年  10月  18日 ― 活字文化守る新聞週間 ―
 岩手山のみならず八甲田山、岩木山などでは例年より1週間ほど早く初冠雪となり、今年は冬の訪れが早まるのではないかと思われる。八幡平の紅葉がこれから見どころになろうとしているとき、14日にはアスピーテラインや樹海ラインが凍結のため一時通行止めになった。玉山の薮川では氷点下1・3度に下がって、山岳地はもはや冬に入っているようだ。
▼ちまたでは「読書の秋」と昔から言われている中、近年はネットやスマホなどが普及しているためか、読書のIT化が進んでいる。読書の秋は既に古語になっているという声も聞かれる。
▼先日、北陸新幹線で金沢まで旅行してきたところ、車内で新聞を読んでいる人の姿はまれになっていた。自分も何冊か単行本をバッグに詰め込んで出掛けたら軽井沢、妙高、黒部など沿線風景を眺めているうちに、本に手を付けないでしまった。隣席の中には、ネットでマンガを見ている人が結構多く見受けられた。それとなく眺めると、絵柄も大きく、字体も大きくて簡潔であるため、旅行客にはうってつけなのだろう。
▼15日から21日まで「新聞週間」が展開されている。「ご近所も 世界も見える 紙面から」が代表標語である。高速、デジタルがもてはやされる世の中だが、活字文化はしっかり継承していきたい。

 2015年  10月  17日 ― 多湖輝氏流老いの生き方論 ―
 「頭の体操」と聞けば多くの人が、クイズや謎解きを連想するだろう
▼心理学者で東京未来大学学長などを歴任した多湖輝(あきら)さん(89)は、1966年に「頭の体操」と題する謎解き物語を出版。地球や銀河のほか時間的には現在・過去・未来がそれぞれ秘める謎を面白く解き明かしていく物語は大好評でベストセラーになる
▼多湖さんはクイズ番組の監修も務め各地で講演もする。ファンも多く「頭の体操」はいつしか謎解きの代名詞となる。この頭脳体操の名人は今、その目を老いの生き方に向ける。今年8月には幻冬舎から「人生90年 面白く生きるコツ」を刊行。これもよく読まれている
▼随所に織り込む「面白く生きるコツ」から著者の思考が伝わってくる。認知症にならないよう留意すべきことを「キョウヨウとキョウイク」とする言葉遊びもある。「教養と教育」でなく「今日やるべき用があり今日行く所があること」だという
▼魅力的な高齢者として例示した祖母と孫の会話も含蓄がある。《孫「天国ってどんな所?」祖母「すごくいい所みたいよ」孫「なんで知っているの?」祖母「だって行った人が誰も帰ってこないから」孫「あ、そうか》(要旨)と
▼昨今は老齢者のきついダジャレをよく耳にするが、祖母がさらりとかわした冗句には老練が光る。

 2015年  10月  16日 ― 外国人客へ食のもてなし ―
 秋深まって、米や野菜、果物、肉や魚などの収穫物がおいしい季節になった。先日、新酒祭りの席で仲間たちとこれからの観光について議論する機会があった。
▼岩手の各地には「地元食」といってよいものがたくさんあるのだが、あまり商品化されていない。これまで、地元食というものは地元の人たちが食べるものであって、よそ者に食べさせるものではないといった意識が強かった。そのような地元食には地元民として自信を持っているのだが、商売に生かすために工夫することはやってこなかった。
▼岩手の産業として観光を盛り上げていくためには「お料理」の研究や開発が重要であり、観光は食事が大事な要素になっている。地元食を観光に生かしていく場合にどのようなことをやればいいのか。そこで、本県を訪れる観光客はどこから来ているのかということが大事になってくる。つまりは、外貨獲得としての食のもてなしである。
▼近年は、台湾、韓国、中国などからの来客が多い。東南アジアなど諸外国からの訪日を増やしていくことが大事になっている。宿泊や食事、飲み物といったことまで、和洋食に地元食を取り入れるなどした「国際化プラス地元食」で外からのお客さまにも受けるような食卓を整えていかなければならないということであった。

 2015年  10月  15日 ― 女川中学で石碑を見る ―
 台風の影響で雨が降りしきる先月9日は、仙台から車で女川に向かう。初訪問の上に雨だから女川の新駅舎をナビに設定。誘導に従い走る。高速道を降り峠を幾つも越え通常の所要時間をオーバーし、13時すぎに新駅舎にたどり着く
▼その日の目的は町の中学生たちが募金で費用を集め、千年後の人たちの防災のために建立した「女川いのちの石碑」の現場を見て写真に収めることだ。以前に当欄で紹介したが町民の1割近くが犠牲になり街が破壊された女川
▼その3・11大津波の惨状を目撃した当時小学6年の子らが、翌月に中学生になり皆で今後の防災を話し合う。大津波は千年に1度程度襲来するという。そこで千年後の人たちの命を守るにはどうすべきかと時間を掛けて討議
▼町内21行政区の津波到達点も調べ、そこに「地震が起きたらここより上へ逃げてください」などと刻んだ石碑を建てることを決定する。彼らが3年生になった13年の秋には、第1号石碑が女川中学校校庭に完成し以後も順次建立が続く。今回は東京から支援に来たという学生に偶然会い、彼も見たいというので校庭に同行
▼雨の中で石碑を拝見する。碑には中学生が詠んだ「夢だけは壊せなかった大震災」の句も添えられ、学生は目を潤ませカメラを向ける。彼もまた志を新たにしたのであろう。

 2015年  10月  14日 ― ラグビーW杯日本大会に向け ―
 最近、ジャイアント・キリングなる言葉を目にしたり耳にした方もいらっしゃるだろう。イングランドで行われているラグビーW杯では、過去わずか1勝だった日本が1次リーグ初戦ではるか格上の南アを破り、世界中に衝撃を与えた
▼ジャイアント・キリングはスポーツ界で番狂わせや大物ぐいのような勝利の意味で使われ、サッカーを題材にした同名の人気コミックもある
▼筋書きのないドラマのスポーツには番狂わせがしばしばある。しかし、ラグビーは番狂わせの極めて少ないといわれてきた。これ以上はなかなかお目にかかれない番狂わせをわが日本が成し遂げてくれた
▼残念ながら日本は3勝1敗ながらリーグ3位で、目標の8強入りにあと一歩及ばなかった。ここに世界トップ国との差を認めざるを得ない。それでも19年日本大会を控え、80年代ごろが絶頂の国内ラグビー人気復活の着火点になる健闘に大きな拍手を送りたい
▼初戦のジャイアント・キリングで国民の関心を一気に高め、中心選手の1人FB五郎丸歩選手のPG前の一連動作をまねる子どもたちがいるようだ。競技人口の拡大はもちろん、まず観戦を楽しむための基礎的なルールを知る人を増やしたい。19年は釜石も競技会場になる。観客の的を射た声援が選手のより優れたプレーを引き出す。

 2015年  10月  12日 ― 杉浦千畝の命のビザ ―
 先の大戦下でナチス・ドイツは根拠もなくユダヤ人を拘束した。収容所ではガス室などで虐殺し犠牲者は6百万人を超えたという
▼拘束は周辺国にも及びユダヤ人は逃げ惑う。1940年7月18日朝。当時リトアニア日本領事館勤務だった故杉原千畝(幸子夫人は遠野出身)は、ポーランドからリトアニアに避難中の大勢のユダヤ人に懇願される。当地も危機が迫り安全圏へ脱出させてほしいと
▼彼は訓令違反を承知で一人でも多くの命を救おうと決断。ユダヤ人がシベリア鉄道経由で日本へ渡り、そこから安全な国に向かう案を具体化する。旧ソ連に国内通過も伝え杉原は同月25日に手書きでビザ(査証)発給を始める。各自の事情も聞きつつ不眠不休に近い作業が続く
▼8月26日に最後の3人に発給。約1カ月でビザ総数は2139枚。家族を含め約6千人の命を守ることになる。この人たちはやがて敦賀港から日本に上陸し、短期滞在後に米国などへ向かう
▼3・11大震災直後に「杉原夫妻は身職を賭してユダヤ人の命を助けて下さった。今こそ恩義に報いよう」と義援金を募った米国ユダヤ人組織をはじめ、諸国のユダヤ人からも支援が寄せられている
▼「命のビザ」と称する杉原の査証関連資料は先日、ユネスコの国内委員会が登録を目指し記憶遺産候補に決めている。

 2015年  10月  11日 ― 真に健やかなスポーツ施策を ―
 10月1日、スポーツ庁が発足して、1988年ソウル五輪競泳男子金メダリストの鈴木大地氏が初代長官に発令された。6月には東京五輪・パラリンピック開催決定を受けて五輪担当相に衆議院議員の遠藤利明氏が就任している。わが国のスポーツ政策が強化され、国の関与が強まったと言える。
▼今夏2020東京オリンピック・パラリンピックの主会場となる新国立競技場の当初計画が安倍首相の決断で白紙撤回になり、新たな整備計画の策定に至った。公式に決定していたエンブレムの撤回など、日本オリンピックJOC、大会組織委員会にまで不祥事が広がった。
▼五輪担当相と文部科学相の外局として発足したスポーツ庁長官の役割は重要な意味を持っている。2011年成立のスポーツ基本法では、「スポーツを通じて幸福で豊かな 生活を営むことは、全ての人々の権利」と理念が記されているが、五輪担当相は東京大会の準備、運営が主任務であるのに対して、スポーツ庁長官の方は体育政策全般を担っていると認識してもよいのではないか。
▼東京五輪、岩手国体においても「金メダルが幾つ取れるのか」という目標も大事だが、真のスポーツ立県として、長く、健やかな県土につながるスポーツ施設の整備と普及を図っていくべきであろう。

 2015年  10月  10日 ― マイナンバー詐欺多発 ―
 マイナンバー制度については、先日の当欄で紹介したばかりである
▼制度開始は来年1月で今は番号通知の段階。ところが全国各地ではこの制度に便乗した詐欺が多発している。先ごろは正規の番号通知が始まる前に、関東地方の70代女性が複数犯による「劇場型詐欺」で現金をだまし取られている
▼被害女性は国のナンバー取り扱い機関職員を装う男から、電話で偽のマイナンバーを伝えられる。後日別の男から「公的機関に寄付したいのでマイナンバーを貸してほしい」と頼まれ「寄付への協力なら」と番号を教えてしまう
▼翌日には寄付を受けたとする機関を名乗る男から電話。「マイナンバーを貸したことは犯罪になります。記録改変のため金銭が必要です」と要求され手渡しと郵送で支払ってしまう。正確な被害額は不明だが数百万円だという
▼全国では大半は未遂だが高齢者を狙う同様詐欺が横行している。県内でも二戸市の70代女性が電話で「マイナンバーが三つの会社に漏れている。止めるには金がいる」と言われ不審に思い電話を切った。女性宅には前日も公的機関を名乗る男から電話があり、世帯構成などを聞かれたという
▼制度初期でこの事態。国民は番号で管理されて裸にされた上に詐欺の標的にもなる。心が弾まない。一億総沈下社会になりかねない。

 2015年  10月  9日 ― サケの望郷、カニの風味 ―
 9月半ばから10月初めには中津川で秋サケの遡上(そじょう)が始まる。北上川の支流に当たる中津川は太平洋に注ぐ河口の石巻から約200`もある。自分の生まれた川に回帰するサケの習性から、毎年稚魚の放流が続けれられている。早くて2年、遅いのは8年後に自分の生まれた川に回帰すると言われている。
▼稚魚がオホーツク海を経てベーリング海、アラスカあたりを行き来して成魚になり、放流された川に戻ってくる。回帰時期は11月下旬まで続くが、定置網で捕獲されるサケの量も膨大なものだろうから、ふるさとへ遡上してくるのは500万匹強といわれている。放流したうちの何%だろうか。
▼この季節、北上川の下流の奥州市、一関市あたりでは「川ガニ」のモクズガニの季節を迎える。昔からモクズガニ漁があった。北上川と背中合わせの馬淵川の下流でも獲れるが、上海ガニの仲間で甲羅の幅が7、8aと川ガニでは大きな部類。県南地方では昔から郷土食として珍重された。カニみそは、こくがあった。カニ汁のひっつみや芋煮汁はだしが利いて天下一品の味である。
▼仙台市の広瀬川や山形県の鮭川村などでも河川敷でモクズガニの郷土食会が行われているようだ。サーモンロード、モクズガニロードとして、川の食文化が広まればうれしい。

 2015年  10月  8日 ― 貞観地震大津波の教訓 ―
 平安前期の貞観11(869)年に発生した貞観地震は、3・11大地震に規模が類似。震源も同じ東北地方太平洋沿岸沖だ
▼当時の記録書「三代実録」には宮城県多賀城と推定される城下町の惨状がつづられている。《ある者は地割れにのまれある者は家屋の下敷きになり圧死。城も崩れ海鳴りが雷鳴のように聞こえ潮は湧き川を逆流。大津波が町へ押し寄せ城下へ到達。一帯は大海原となり千人ほどが溺死》(要旨)と
▼この地震は3・11以降に東電福島原発事故との関連でしばしば引き合いに出される。国が先日公開した事故検証委の調書によると、09年の経産省公式会議で地震研究の専門家が東電に対し、貞観地震の例を挙げ福島原発の津波想定を厳しく見直すべきと指摘している
▼だが東電は小さな町で千人も死者が出た貞観の教訓を省みず、高さ設定を5・7bから6・1bに少し上げお茶を濁す。そこへ14bの大津波が襲い事故が発生。今も高濃度放射線量の除染が進まず8万人超の住民が避難を強いられている
▼一方宮城の女川原発は東北電力が経営。首脳が40年前の設計段階から貞観地震を重視。襲来波を14・8bと高めに想定し施設を建設。3・11も福島とほぼ同じ高さの津波にも耐えている。首脳の意志が明暗を分ける。過日福島と女川を訪ね改めてそう思う。

 2015年  10月  7日 ― 日本酒の日 ―
 10月1日は「日本酒の日」になっている。1978年に制定されてから既に37年も経ているのだが、あまり普及していない。
▼三大杜氏の里であり、稲作が主産業である本県にとってはこのことを大いに生かしていくべきである。由来は、干支(えと)の十二支の10番目に当たる酉(とり)が、壺(つぼ)の形を表す象形文字で「酒」を意味しているからと言われている。
▼県酒造組合など全国の酒造組合の主催で、日本の国酒を後世に伝えていくこと、日本酒への愛情と理解を一層深めて消費拡大を図っていくことを目的に日本酒の日が制定されている。各県でばらばらに行われていた「日本酒で乾杯」の行事を今年は10月1日午後7時半を期して、全国一斉に行われた。本県では盛岡市で「いわての清酒で乾杯」として盛大に開催された。
▼南部杜氏は、越後杜氏、丹後杜氏とともに三大杜氏に数えられている伝統産業であり、その中でも南部杜氏は歴史、規模ともにわが国最大を誇っている。
▼近年は、日本文化、日本料理と合わせ、日本酒が世界に広まって、世界南部杜氏と言われるようになった。本県では10年の歳月をかけて酒米の開発を進め、山田錦に匹敵するような県産米を原料とする大吟醸酒「結いの香」が誕生した。本県産の地酒を愛飲するようにしたい。

 2015年  10月  6日 ― マイナンバー通知開始 ―
 以前に病院の受付で「順番は番号でお呼びします」と言われ理由を尋ねたことがある。名前で呼ぶとそれを近くで聞いた知人らが、後で病名などを問うので当人が困惑するという。そんなことから番号で呼ぶようにしたというのだ。患者の個人情報を守るためでもあったのである
▼番号制で個人情報を守る配慮を病院はしたのだが、今度は政府が国民の個人情報を赤裸々に把握する「マイナンバー制度」が来年1月からスタートする。関連法成立は13年5月だがそれが具体化されるのだ。まずは国民一人一人に昨日(5日)現在の住民票に基づき、12桁の「私の番号」が決まる
▼今月中旬からは順次世帯宛に個人番号通知カードが簡易書留で届く。顔写真入り番号カード(無料)を希望する人は、同封の書類に写真を貼り返信用封筒で申請する。後日届く「交付通知書」には受け取り方も記載されているという
▼この制度には個人番号による情報の一元管理で公正な所得把握をし、年金支給や納税などで公平を期す狙いもある。役所の諸手続きも簡素になり国民にも利点がある。一方、先月には6年後の義務化も視野に預金口座にも3年後から制度を適用させる改正法を成立させている
▼国民からは「裸にされそうで怖い」など不信の声が噴出している。今後の推移も注視したい。

 2015年  10月  5日 ― 活字文化守る軽減税率を ―
 活字文化を継承していくためには新聞、書籍などにかかる消費税は低く抑えなければならない。欧州連合、EU、加盟28カ国のうち、新聞に軽減税率を適用しているのは26カ国と9割を越えていて、食料の23カ国を上回っている。
▼8%以下の税率を設定している国は17カ国で、EU全体の9割を占める。デンマーク、ベルギー、イギリスの3カ国は0%となっている。欧州各国は標準税率20%が多いが、フランス、イタリア、スペイン、オランダなどの主要国でも新聞にかかる消費税率は10%未満に抑えられている。
▼日本新聞協会は、財務省が消費税の軽減税率に代わり、増税分を後で支払う「還付金制度」を提案したことを受けて、財務省案は「消費者にさまざまな負担と混乱を強いるもので、税制として極めて問題が多い」と指摘し、2017年4月の税率10%への引き上げと同時に「欧州型の軽減税率制度」に復帰した上で議論してほしいとする声明を9月17日発表した。
▼消費税率は、2017年4月1日に8%から10%に引き上げられることとされているが、活字文化の継承は重要事項だと思う。
▼財務省では酒類を除いた食料品に還付金制度の検討を始めているが、新聞などの公的な重要度を配慮した軽減税率の適用を採るべきではないか。

 2015年  10月  4日 ― 苦しむ人に寄り添う両陛下 ―
 ご高齢の天皇、皇后両陛下が災害被災地などを、相次ぎ慰問され人々を包み込むように励まされている。仏典には指導者の理想像として人々の苦しみをわが身の苦と感じて寄り添いつつ、共に苦悩克服を目指す姿が描かれている。両陛下の振る舞いとお言葉にはその範のような慈愛がにじむ
▼大震災発生直後から都内避難所への激励を始められ、発災2カ月後には本県の釜石、宮古をはじめ福島の被災地も訪問されている。避難所では膝を付き合わせるように被災者に寄り添い、避難状況にも耳を傾け手を握って励まし続けられたことも忘れられない
▼先月、茨城の常総市では大洪水で鬼怒川の堤防が決壊。2人が犠牲になり4400戸が床上に浸水し避難を強いられている。両陛下は早期見舞いを希望され今月1日に雨が降りしきる中だったが、慰問が実現する
▼決壊現場に着いた時、ここで71歳の男性が濁流にのまれ亡くなったことを聞くと、両陛下は傘を閉じ雨に打たれながら深々と頭を垂れ、黙礼をされたのである。この後約180人が避難生活をする施設を訪問。ヘリに救われた人などを励まされた
▼皇后さまはヘリで住民を救助した自衛隊員に「大勢を救ってくれてありがとう」とねぎらう。皇后さまは胸痛があり8月に検査を受けている。改めてご健勝を祈りたい。

 2015年  10月  3日 ― 東京五輪の追加競技・種目 ―
 2020年の東京五輪まであと5年と迫ってきた。9月末、開催都市に提案権が与えられている追加競技・種目について、大会組織委員会は5競技18種目の追加を国際オリンピック委員会に提案することを決めた。最終的な実施競技は来年8月のIOC総会の投票で決まる。
▼大会組織委員会が追加した種目は、野球・ソフトボール、空手、ローラースポーツ・スケートボード、スポーツクライミング、サーフィンとなっている。
▼野球・ソフトや空手は別だが、年配者にはなじみの薄い種目が多く、外来語めいて分かりにくい。競技場は既存施設の活用が可能であればよいのだが、新設する場合はどれくらいの経費がかかるのか疑問な点が多い。
▼ローラースポーツ・スケートボードは都市型スポーツといわれているが、国内では知名度が低かったり、ファッションやレジャー的にもみられた。スポーツクライミングは人工の壁をよじ登るスポーツで、突起の付いた人工壁が設けられた特設会場で競われ、早さ、高さ、難易度を競うとか。サーフィンは若者文化として世界中で根付いているとしても、これまでスポーツという感覚は薄かった。
▼これからは時代の先端を行く若者のスポーツになるという。スポーツの概念も時代とともに変わっていくのか。

 2015年  10月  2日 ― 水がある火星に夢膨らむ ―
 10月も晴れた日の夜空は美しい。拙宅ではベランダが天空を仰ぐ場となる
▼一角には旧安代町産のリンドウにススキ、おみなえし、いが付きのクリの小枝を添えて花器に生け飾っている。中秋十五夜の名月と、月が地球に最接近し満月が今年最も大きく見えた翌夜の「スーパームーン」は、近くに住む孫たちも来てにぎやかに鑑賞
▼天文好きの中1の男の子がどこかの星に人のような生き物がいるのではないか、と言い出してしばしその話題で盛り上がる。いつの時代にも気になるテーマだろう。若山牧水の歌「かの星に人の棲(す)むとはまことにや晴れたる空の寂し暮れゆく」は火星を念頭にして詠んだとされる
▼米航空宇宙局(NASA)が先日、火星には今も水が流れていると考えられる確かな証拠を発見したと公表した。水があれば生命が存在する可能性につながる。NASAは1997年に世界初の探査車火星軟着陸を成功させ、地形を精密に撮影
▼01年には両極の地下に大量の氷があることを示すデータも獲得。今春は望遠鏡の観測でかつて広大な海が存在したことも突き止めている。塩分を含む水。もしや生命体がいるかもと夢が膨らむが、まずは科学的な究明を待とう
▼なお火星には衛星である「月」が二つある。もし人がいたならどんな月見をするのだろう。

 2015年  10月  1日 ― 神無月に思う ―
 10月神無月(かみなづき)に入った。早くも岩手山に初冠雪があり、昨年より7日、平年より13日も早かった。神無月のいわれは、全国の氏神が出雲に集まるので、神さま不在の月という伝説による。出雲の神さまは縁結びの神で、1年の内でこの月に全国の神がそこに集まり、男女の縁を取り持つ話し合いがなされると言われている。
▼10月はスポーツの秋、食欲の秋、読書の秋、紅葉の秋、収穫の秋などと言われている。澄み切った青空、黄金色の稲穂が美しい。日中の温度はかなり上昇するが、日の落ちるのが早く、夜は冷え込み、気温の変化の段差が大きくなっていく。標高の高い山の方から樹木は紅葉し、次第に里の木々が紅葉し、やがては落葉する。
▼プラタナスなど街路樹の葉が落ち、風に吹かれてコロコロと飛んでいるのが目に付く。今は火災防止のため、たき火ができないが、落ち葉掃きをして家の前や垣根の付近をきれいにしたい。先日、友人から茸を頂戴して大根下ろし、菊のおひたしと新酒でいただいた。中津川には今年も鮭の遡上が始まり、宮古の魚市場には秋鮭の水揚げが多くなって忙しくなっているとか。
▼サンマは例年よりも少なめとのこと。東日本大震災から4年半、冬を前にして復興工事が急ピッチで進められている。  

2015年 9月の天窓へ