2018年4月の天窓


 2018年  4月  30日  ― 学校の危機管理を問う ―
 7年前の大津波は児童の下校前の学校も襲う。宮城県石巻市の大川小学校では教職員ら10人のほか、児童74人が津波にのまれ犠牲になる
▼学校へ車で迎えに来た母と兄、合流できた児童本人の全員が命を落とす悲劇も起きた。発災時に職場にいた三條真一さん(51)は、小3の次男を迎えに高1の長男と共に車で学校へ向かった妻の行方を携帯で追った。「息子2人と小学校にいます」とのメールが最後だった
▼それは学校へ津波が到達する数分前に発信されていた。三條さんは学校へ向かい土砂とがれきで埋められた一帯を懸命に探し続ける。やがて3人の遺体を発見。悲しくつらい対面をしたのである
▼大川小は行政の災害予測地図では津波浸水想定区域外だった。この種の予測言葉はあいまいで現実は直撃したのに、学校に津波は来ないと思い込ませてしまう。教師の対応も安全な裏山避難を避け別コース避難を指示し児童を誘導。皆が歩き出した方角から大津波が襲来し幾多の命が奪われた
▼学校や市などが判断を過たなければ多くの命を救えたはずだ。そんな思いを抱く一部遺族が市と県に損害賠償を求め提訴していたが、仙台高裁は26日に賠償支払いを命じたほか危機管理に組織的過失があったことを指摘した
▼学校の安全管理を問う司法判断として注目されている。

 2018年  4月  29日  ― 昭和天皇のご退位まで1年 ―
 天皇陛下のご退位が1年後に迫った。来年4月30日に退位され、5月1日に皇太子殿下が天皇に即位される。明治維新後の日本が初めて経験する生前退位。ゆえに生前退位が認められるかの議論から始まり、陛下のお気持ちを大切にしての退位となる
▼激動の時代だった昭和天皇は、国家元帥から国民の象徴、人間天皇へと大きな変革を体験した。その転換が戦争(敗戦)であった
▼戦後の復興が進む中で国が祝意に包まれたのが、1959年の皇太子さまのご成婚。民間出身の美智子さまを妃殿下に迎えるのには異論もあったようだが、日本国憲法における皇室の在り方として一つの方向性を示すことになったのではないか
▼きょうは昭和の日。昭和世代の1人として天皇誕生日、みどりの日から昭和の日と、祝日は変わらずも2度の改定を経験した。昭和という元号に親しみを覚えるが、気が付けばすでに、昭和よりも平成の時代を生きた方が長くなった
▼それを思えば、陛下の在位も長くなり、ご高齢でご自身の務めにご満足がいかなくなってきたと感じられるご胸中を十分におもんぱからずにいられない。戦前のお生まれの天皇ご夫妻が、アジアをはじめとした外遊、沖縄など国内戦地への慰霊や災害被災地訪問など皇居外で務められたご公務は平成後も語り継がれる。
  

 2018年  4月  28日  ― 官邸は面談文書認めよ ―
 安倍内閣の支持率が低迷している。与党支持者までが背を向けていく
▼知り合いの与党支持者からも「安倍さんは正直ではないな」という声を聞く。その場にいた人も言う。「森友への巨額値下げ国有地売却も《地中ごみ大量撤去費用》の作り話を総理は見抜けなかったのか。それとも知らぬふりをして森友側の昭恵夫人への好待遇に配慮したのかも」と
▼総理の無二の親友が経営する岡山市の加計学園が昨年1月に、愛媛に獣医学部新設という国家事業を入札もせずに受注。「岡山理科大獣医学部」の名称で今春開学した。総理の元秘書官は本件に関し3年前に、官邸に訪ねて来た愛媛県職員たちと面談した際、この事業は「首相案件」と説明している
▼総理が取り扱う案件という意味だから表に出ると癒着がばれる。そこで元秘書官は口では加計に有利になる進め方の助言までしたのに、愛媛職員との面談は記憶にないと否定している。だが愛媛職員は面談の内容を備忘録として記録し現存している
▼文科省、農水省でも面談を裏付ける文書が見付かる。それでも事実を否定し続ける官邸に対し政権与党内からも批判が噴き出ている。小泉純一郎元総理も「記録が残っていたら認めるしかない。国民は記録の方を信用する。早く本当のことを言うべきだ」(要旨)と指摘した。

 2018年  4月  27日  ― 八幡平市議選に一票を ―
 連載で太宰治と津島家の衆院選について調べたが、宮沢賢治には「選挙」という詩がある。1929年4月27日の花巻町と花巻川口町の合併後の町議選に父、政次郎が立候補した。
▼太宰は実家への不義理を埋め合わせるため、兄をよろしくと奔走したが、賢治は身内の選挙にあまり熱心でなかった。盛岡市の森三紗さんの「宮沢賢治と森荘已池の絆」によると、もとから父の立候補に対して「いくら私が止めても町会議員に出る」「おれは不孝者で、お父さん、うんとやりなさいというような応援はとてもできない」などとぼやいていた。
▼左翼体験がある太宰は文壇で結構、政治的に振る舞っていたところがあり、家柄上も運動好きなのだろう。地方に孤立していた賢治はやはり政治に控えめで、激しい集票合戦を風刺的に見ている。自然児は岩手山を愛して八幡平市とも縁が深く、平笠に「鎔岩流」の詩碑がある。
▼八幡平市議選が告示され、定数20に対して22人立候補の少数激戦だ。賢治詩と同じく一票の読みが明暗を分ける戦いかもしれないが、平成大合併後は全国的に無投票の地方選が増えていることを考えれば、八幡平市では意欲ある優れた人材が信を問う好機となった。
▼まさに「鎔岩流」の焼走りのように熱く走り回っているのかも。市民は必ず一票を。

 2018年  4月  26日  ― 軟化見せる北朝鮮 ―
 独裁強権といわれた北朝鮮の金正恩委員長が、軟化を見せているという
▼観光バスの事故で負傷し、入院した中国人の病室に足を運び見舞ったのもその一例であろう。背景には国連安保理決議に基づく米欧諸国などからの石油供給制限で、北が悲鳴を上げている事情もあるようだ。中国の習氏が4年前に国家主席として初訪問したのが、韓国だったこともショックでこれも軟化の誘因らしい
▼ただ若さ故に迷いもあり切り替えには時間を要したのであろう。2011年末に国家指導者の父が死去。後継となった金委員長である。トップとなり権力を掌握してからも、自ら世界諸国へ行くことをしない指導者としても評判になった人だ
▼ところが先月下旬に「金正恩氏電撃訪中」というニュースが世界を駆け巡った。金氏は25日から28日まで中国を訪問。習国家主席との首脳会談では「朝中親善関係の発展と朝鮮半島情勢の管理問題をはじめとした重要事項」について、踏み込んだ意見交換をしたと伝えられている
▼はた目にも隣国首脳による意義ある会談だと分かるが、金委員長の訪中は習主席による中国側からの招きで実現したという。日本も近隣国との首脳間交流を進めるといい。総理が北朝鮮と交流し本音で首脳と語り合えば、懸案の「拉致問題」解決も夢ではなくなろう。

 2018年  4月  25日  ― ひどすぎる新潟県知事の行い ―
 財務省の福田次官と新潟県の米山知事がそろって、みっともない辞め方をする。安倍政権のがたつきがやまないし、片や革新系反原発の政治家がなんたることか。昨年の県内首長のわいせつ辞任や、霞が関官僚や関西の市長の暴言とか風俗やらもあきれるが、現職知事の援助交際はあまりにひどすぎる。
▼2人の経歴を見れば実に輝かしい。そんな人の不祥事には、「エリートみんな悪い」の論調が起きがちだが、そうは思わない。自分はエリート街道を歩めなかったので申せば学歴、経歴、選良意識ただちに否定すべしなら、この世に努力は存在しなくなる。やはりそれなりの敬意が払われてしかるべきだ。
▼しかし子どもの頃から一度も挫折せず、位人臣を極めたい人は、あえて心した方が良い。魔が差し間違いを起こすと、ステージが上であるほど転落の打撃は大きく取り返しつかない。
▼だから階段がまだ低いうちに、足を踏み外して痛い目に遭うのも意味あるのかも。薬になったと思い、本人や周囲が肝に銘じて出直せば、あとで悟ることはいっぱいあるだろう。
▼田中角栄さんのように政治家が艶福(えんぷく)家であろうと、後世の夜話なら許されるが、米山氏はそんなレベルではなく、新潟県民が気の毒。恥ずかしいことするのが知事の仕事であるまい。

 2018年  4月  24日  ― 豪州で老犬が不明女児救う ―
 幼い子をいたぶり殺害したり、重傷を負わせたりする幼児虐待事件は、日本もそうだが世界的にも増加傾向だという
▼そんな時代だけに今月21日現地発でオーストラリアから届いた「不明3歳女児を一晩中守り救出した老犬」と銘打つネットニュースには、胸を打たれた人が多かろう。その女児は20日に森林地帯に迷い込んでしまったらしく、行方が分からなくなっていた
▼同日、家族から要請を受け救助隊が徒歩による探索と、上空からの捜索を続けるがなかなか見付からない。女児の家では17歳になる犬を飼っている。人間でいえば老齢年代に当たる老犬で、家族によると耳は聞こえにくくなっていて、視力も弱っているという
▼ところがこの老犬が大活躍をする。捜索の雰囲気を肌で感じたのか雨降る森林の中で20日夕刻には、自宅から2`ほどの山林で女児を見付け、雨の中で明朝まで15時間余も寄り添い続けたのである
▼その一夜が明けると老犬は女児の家に走り、家族や救助隊を導きながら現場に向かい女児は無事救出された。かすり傷だけで体調も良好だという。いざというときに老犬が見せた人知を超えた鋭敏な行動と愛情を、かの国の人々も称賛し中には感涙で頬を濡らした人もいたという
▼地元の警察署も女児救助への貢献をたたえて老犬を表彰している。

 2018年  4月  23日  ― 日米の通商協議の行方 ―
 明治維新150年にまつわる話題の多い今年。新政府主導による新しい国づくりは課題だらけで、その一つが徳川幕府が結んだ不平等条約の改正だった
▼外交とほぼ無縁の鎖国から一転、黒船という``兵器、、の前に日本は極めて不利な条約を結ぶ。近代国家となるべく新政府は、国の成長に足かせとなる条約の改正に向け1871年の岩倉遣外使節団を振り出しに交渉を始める。思うように進まなかったが、旧幕側の紀州藩出身の陸奥宗光が外相の時、ようやく治外法権の撤廃が実現。関税自主権の回復にはさらに歳月がかかった
▼陸奥は政治家原敬の誕生に大きく影響した1人。農商務大臣、外務大臣の陸奥に腹心の官僚として仕え、特に外交面で実りをもたらした
▼日米首脳会談の焦点の一つ、通商協議は貿易に関する新たな協議の開始で合意した。米国のTPP離脱や輸入制限措置など、保護主義を基底とした政策はドア・イン・ザ・フェイスの交渉術ととれなくもない。最初の話より何となく良さそうだと思ったら、譲歩は見せかけで結局は悪かったと気付かされる事態を2国間協議の中では特に留意しなければならないだろう
▼カミソリ外交と称された陸奥。トランプ大統領の振り上げた大なたに、切れ味あり光るカミソリの交渉術で粘り強く当たる根気が要りそうだ。

 2018年  4月  22日  ― 大金盗んだ中3少女 ―
 70代半ばの友人は元銀行員で、最近はなぜか昔のように分厚い札束を手にし、もう一度数えたいという衝動に駆られるという
▼今は老夫婦だけの生活で万円札数枚を手にする機会すらないと笑う。そんな郷愁にほのぼのとしたものを感じていた矢先に、東京の中3少女が友達の家から一千万円を盗み手提げかばんに入れ、自宅自室に置いていたという事件の報道が飛び込む
▼元銀行マンの友もニュースを見て電話をくれた。彼は事件を機に目を覚ましたらしい。「再び札束を数えたい」など誰のためにもならないと猛省。少女が大金を盗むモラル喪失の現実を直視し、無職高齢の自分も経験を生かし何らかの形で孫世代の心に触れ、啓発に力を注ごうと発心したという
▼先の中3少女は自分を仲間外れにする同級生たちの気持ちをほぐそうと、それぞれに金を配った。彼女なりの苦悩が垣間見えて気の毒にもなる。だが意地悪仲間対策に大金を盗もうとする自分を抑制できなければ、人間としては負けだ
▼自宅の自室に置いた大金を入れたかばんを見付けた母親が警察に相談。少女は逮捕され取り調べを受ける。それを母親がどれほど悲しんだか。酷な言い方だが中3なら盗みの直前に自分に勝ち母を安心させてほしかった
▼でもまだ若い。腐らず強い人を目指し成長してほしい。

 2018年  4月  21日  ― シリア情勢と化学兵器 ―
 米英仏がシリアのアサド政権の化学兵器使用に制裁し、爆撃した。化学兵器と言えば戦争よりもオウム真理教によるテロのサリンを思い浮かべる人が多いだろう。
▼盛岡消防本部の高橋邦夫消防長と、就任のインタビューでテロへの備えについて話したばかり。今年度は盛岡西消防署に高度救助隊が発足し、NBC対応の新型車両が配備された。
▼NBCと横文字にすれば聞き流しそうだが放射能、細菌、毒ガスのこと。高橋消防長は「装備が宝の持ち腐れにならないよう、いや持ち腐れになる方が良いのかもしれないが、使いこなせるように訓練したい」。その口ごもり方にむしろ、防災担当の重責と県民の不安がにじんでいる気がした。釜石のラグビーW杯や東京五輪など国際大会への本県の備えをしっかりしてほしい。
▼アサド政権もサリンを使ったという。中東情勢は世界の他の国家対決や思想対立の話に比べ格段に難しい。宗教論争が絡むので、なかなかのみ込めない。少し分かったつもりになればすぐ新勢力が台頭し、何が善で悪なのか、お手上げになる。
▼ロシアの反発も不気味。今、イスラム教徒は岩手にも大勢いて平和に暮らしている。米英仏による攻撃が今後どうなるか分からないが、弾雨の下を兵士が走り、あだ討ちを誓うような状況だけはご免こうむる。
  

 2018年  4月  20日  ― 事務次官、知事の辞職 ―
 財務省という重みのある役所が、同省の生命線でもある公文書の改ざんをしていたことが発覚したときは驚いた
▼国有地売却に関する決裁文書などから、国民に知られたくない人物の氏名や事柄の記述を削除したり、書き換えなどをしていたのだから、財務省も落ちたものだとがくぜんとさせられた。だが省みればそれは同省堕落を象徴するひとこまだったのだろう
▼今度は財務省の福田淳一事務次官による複数の女性記者に対するセクハラ(性的ないやがらせ)疑惑が浮上。音声によるやりとりも公開されていて同次官も、この音声について自身と女性記者のものと認めている。一方、疑惑記事掲載週刊誌発行元を訴えると意気込んでいたが18日夕に辞意を表明した
▼公文書改ざんという行為も卑劣だが、財務省トップのセクハラ疑惑は、同省のモラル低下の象徴かもしれない。中央官庁に表れた腐敗堕落は国内地方にも飛び火するのだろうか。同じ時期に米山隆一新潟県知事が、複数の女子大生と金銭授受を伴う交際をしていることが発覚し問題化した
▼同知事が出会い系サイトを通じて交際を始めたことも判明。19日発売の週刊誌に掲載されることを知り、同じく18日夕に知事辞職を表明している。いずれも国民のため県民のためにという初心を忘れ、堕落した姿に見える。

 2018年  4月  19日  ― 消防団車両の運転免許 ―
 春は林野・原野火災に気を付けなければならぬと、本紙が報じた12日、宮古市田老で林野火災が発生した。鎮圧宣言が14日出されたが、約30fにわたって延焼したという。山林、原野はいったん火の手が上がれば、燃え広がるのも早い。宅地とはまた違う火災の恐ろしさを見せつけられる
▼いざ火災が起きれば、消防隊員や消防団員は危険な現場に急行し救助や消火活動に当たる。火災だけでなく、災害時にも住民の命を守る頼もしい存在。東日本大震災では、警察官、自衛隊員らとともに最前線で緊急事態に当たった。使命感から犠牲となった例もある
▼消防庁の調査で、消防団の5d車を若手団員が運転できない恐れが明らかになった。読売新聞の記事によれば、全国の消防団にある車両の3割以上が、昨年3月の道路交通法改正後に取得した普通免許で運転できないためという。少子高齢化の中で消防団は人手不足に加え平均年齢の上昇も課題だろう。いざという時、車両はあるのに火災現場に駆け付けられないといった事態が生じかねない。資格保持者の減少が特定団員に負担を偏重させる可能性もある
▼この事態に消防庁は「準中型免許」取得を支援。改正後の取得者も運転可能な3・5d未満の小型ポンプ車への切り替えも促すという。火急の対応が求められている。

 2018年  4月  18日  ― 福島産品の風評被害 ―
 福島原発事故発生から7年が過ぎた今も、福島産品の風評被害は治まらないらしい
▼7年前に放射能汚染で原乳出荷が停止され、「原発さえなければ〜」と遺言を書き、自ら命を絶った酪農家がいたことを思い出す。現在の福島県民はそこまでは思い詰めなくても、「原発事故がなかったらなあ」とため息を漏らす人は多いという
▼生産農家の多くは米をはじめ野菜も果物も、厳しい検査を受け放射性物質のレベルも汚染のない他県並みで、おいしさも自信満々で出荷している。それでも怖いのは消費者の意識に刻まれた「放射能汚染の福島」というダメージだ。福島県産品は流通経路でも買いたたかれて、取引価格は今なお低迷状態
▼原発事故以前のレベルに戻れないでいる。先ごろ農水省が「福島の米など20品目」について全国の生産・販売・流通の事業者と消費者を対象に、初めて試みた流通実態調査の結果を公表。その分析で判明した価格低迷など福島の実態も紹介している
▼首都圏の卸業者の3割が事故前より福島産品扱いを減少させたという数値もある。消費者の約2割が「福島産品は安全性に問題がある」と述べ、小売業者の多くが「産地を気にする消費者は少なくない」と指摘したともいう
▼この調査結果を目にした全国の人から福島支援の輪が広がるといいが。

 2018年  4月  17日  ― 大谷選手のメジャーデビュー ―
 メジャーリーグ1年目のエンゼルス大谷翔平選手(奥州市出身、花巻東高)。日米とも懐疑的な見方が多かったが、予想を覆す鮮烈な滑り出し
▼宮本武蔵ならぬ二刀流≠引っ提げ、投打で結果を示す快刀乱麻≠フサムライぶり。23歳の若武者は、米国の野球ファンはもちろん、クールジャパンを愛する人々にも響いていくのではないか
▼高校時代を知る岩手県民はメジャーでここまでの活躍ぶりを見せる県人アスリートが出たことに感慨と驚きを感じているに違いない。かくいうコラム子がその1人。プロ入り前の大谷選手は実力に比して不完全燃焼だった。花巻東時代は、けがに泣かされ、夏と春に1度ずつ出た甲子園では悔しさを味わった
▼メジャーを封印しプロ野球の日本ハムに入団。そこで提案されたのが二刀流。おそらく米国に直接渡ったら、投手か野手の選択を迫られただろう。日本でも他球団なら難しかった
▼日ハムは二刀流のためのノウハウをゼロから作り、トップ選手に育てた。球界の至宝のためにとエンゼルスにノウハウも伝えたという。イチロー選手は9年前のきょう、日米通算3086安打を放ち日本プロ野球安打記録を塗り替えた。大谷選手にも記録では測れない大選手への期待が増す。メジャー人気の回復に貢献した野茂英雄さんのように。

 2018年  4月  16日  ― 地域に足運ぶお巡りさん ―
 今、住んでいるマンションに移転した時、最初の来訪者は近くの交番に勤務する若いお巡りさんだったことを思い出す
▼転居して数日後だったから入居情報が伝わったのかとも思ったが、そうではなかった。先方も着任したばかりで担当地域の全戸を訪問するあいさつ回りのさなかだったのである。近所の人の話によるとここの交番のお巡りさんは、着任時だけでなく担当地域に小まめに足を運んでくれるという
▼以前の居住地でもそれがあったから、全国的な方針なのかもしれない。今春、津々浦々の交番に着任した若いお巡りさんたちも、忙しく任務を遂行していることであろう。重点地域パトロールもあるだろうし、着任時のまま全戸を訪ね続け振り込め詐欺などの事例を伝え、注意を促していく労作業もあろう
▼当マンションでは高齢者が多いため5年前から、担当のお巡りさんに分かりやすい詐欺撃退法を個々に教えてもらっている。その効果で2年前には70代の女性が妙な電話を受け詐欺と見破り「電話を録音しています。逆探知しますよ」と言うと電話が切れたという経験をしている
▼一部のお巡りさんは子どもの登下校見守りもしている。夏休みには警察官が担当し希望者を対象に「無事故の自転車通学」をテーマに、映像も使った講習会も実施し喜ばれている。

 2018年  4月  15日  ― 引きこもりに社会の手を ―
 県が初めて引きこもりを実態調査するニュースがあった。国推計で県内約4600人というが、実態もっと多いのでは。
▼20数年前、行きつけの店主に相談された。「息子が外出できず、家にこもり困っている」。まだ引きこもりという言葉は一般的でなく、潜在していた。聞けば大学を出て、別に体調は悪くない。お金もある。どういうことなのか。
▼つい「もったいない。外にたたき出せば」と強く言ってしまった。「自分も学校を出て、ぶらついて職を転々したし、いずれ何とかなるもんです」とか。そんなあいまいな処世訓は何にもならぬそうだ。まもなく店じまいし会わなくなったが、しばらくして親子に大変なことが起きたと聞いた。あのときもっと親身になれば。
▼引きこもりが社会問題化し、親の会などの取材に呼ばれ家族の悲嘆に接した。ある程度、社会的地位と教養ある家庭に起きがちな気がする。太宰の一連の苦悩ものみたいに内省的な若者が陥りやすいが、上は60代に近づいているという。
▼県の調査で何らかの公的な働き掛けがあれば、家族は安堵(あんど)するかも。本県出身の斎藤環さんはこの問題の専門家だ。今は「たたき出せ」なんて言うつもりはないが、やはり本人と家族も、あと一歩の勇気が必要。引きこもりを終生の子守りにしてしまわぬために。

 2018年  4月  14日  ― 80代前後に必要な覚悟 ―
 「富士スバルライン」は富士山麓と5合目を結ぶ山梨側の有料道路だ。冬は積雪で一部が不通だったが、今年も雪が解け一昨日にこのスバルラインが開通している
▼頂上までの登山が可能になる夏の山開きの前触れでもある。毎年夏に山頂制覇をしている東京在住の友からその日、「今年も登るよ」と弾んだ声で電話が来た。82歳の先輩なのだが何でも語り合える仲だから、その電話に「え!ダメダメ。年を考えなきゃあ」と返してしまう
▼山が好きな彼は昨夏の富士登山後も近在の低い山に登っている。低さへの油断かそこで転倒。山肌を滑り落ちけがをしている。電話ではそのことも指摘したが「日本一高い山では油断しないさ」と開き直り、一緒に行こうとまで言う
▼年下の当方は日常に追われ山へ目が向かない。自治会の役員会や独居者見回り、児童生徒の登下校見守り、高齢者会温泉旅行企画などとかなり忙しい。先輩にはそんな事情も伝えた。直後にまた彼から「正直に言うよ」と深刻な電話が来た
▼病気知らずの彼が不調で先月受診。重症の腫瘍と告げられたというのだ。「今夏も登る」と空元気で言ったが持たないとも言う。普段快活なだけに励ます言葉が浮かばない。見舞った時も「大事にね」としか言えない
▼彼からは80代前後には覚悟が必要と教えられた。
  

 2018年  4月  13日  ― 日本の超高層ビル50年 ―
 今年は日本の超高層ビル50周年。1968年4月12日の霞ケ関ビルオープンに始まる。
▼子どもの頃は超高層ビル大好き。東京に上り京王プラザ、住友ビル、三井ビルなどに連れられ最上階を制覇し、帰ると学校で自慢した。今の新宿はマンハッタンのようで、もうビルの名は区別が付かない。
▼仙台にも超高層が林立し、全国の主要都市に1棟はある。ニュース映像などで、盛岡より寂しげな街に30階ほどののっぽがポツンと建っていると、うらやむより、もの悲しくなることがある。「おらほ都会」と、見栄張らねんで。中国など新興国が自慢げに建てる100階の摩天楼も。何だか昔の浅草十二階のように、はりぼての高さに見え不安になる。
▼盛岡は20階のマリオスが最高。低層部分は市民文化ホールとして親しまれ、開館20年を迎えたが、最近ちょっと気になることを聞いた。マリオスとアイーナが巨大すぎ、背後の街区は見通しが悪く、西口開発のデッドスペースになりかねぬとか。企業進出したくとも、盛岡駅側から両ビルが視界をさえぎり、食指が動かないらしい。
▼高齢化社会のバリアフリーでも、超高層時代は卒業では。むしろ低層で屋上をビオトープにしたり、無理なく見晴らし良い環境で建築まちづくりを。その方が西口開発の完成も近いはず。

 2018年  4月  12日  ― 加計ありきの獣医大 ―
 「李下(りか)に冠を正さず」という格言がある。李(すもも)の下では果実を盗んでいると疑われるから、頭にかぶる冠を整えてはいけないと戒めているのだ
▼安倍総理にもこの格言を自戒の支えにしてほしい。例えば総理の親友・加計氏が経営する加計学園が、四国初の獣医大学新設という国家事業を受注。獣医大はほかにも手が挙がったが、無視の形で入札もせずに同学園に決まった時には、先の訓戒が浮かび誤解されないかと案じたことを思い出す
▼総理は親友でも彼の事業には「関与していない」と言っているが誰も信じないだろう。総理の行動記録には加計氏との会食がしばしば登場している。それも「都内で食事」だけでなく「河口湖畔のバーベキュー」もあり、総理のミャンマー訪問に加計氏が同行との記録まである
▼そんなべったりの行動は総理として許されるのだろうか。獣医大新設に対してもその動きに対し、文科省は当初から慎重姿勢だったし設立後の今も、各方面から「初めに加計ありき」で進められたとの不満の声が出ているという
▼これは法的にも問題視され野党側は国会で追及する構えを見せている。国の最高指導者でもある総理の守備範囲が広いのは分かるが、節度も大事である。安倍総理の場合は格言とは逆に頭の冠を正すべきなのだろう。

 2018年  4月  11日  ― 柳村滝沢市長の勇退 ―
 滝沢市長の柳村典秀さんが今期で勇退を表明した。村議、県議、村長と転じ、初代滝沢市長となった。出処進退をわきまえ、郷土のためなすべきを熟慮の末の結論と思う。
▼家名は地元の政治家として由緒ある。そのつど、きちんとけじめを付けて議員から首長となった柳村さんは、滝沢という自治体についても、人口5万5千人の村から単独市制へと身の振り方に責任を取った。
▼「人口日本一の村」の看板を下ろし、骨格新たに独立独歩の道を選択。県政とのパイプも生かし、住民合意に至った。それを踏まえて3期12年の公約を果たしたと、道を譲る。
▼滝沢は1970年代から盛岡のベッドタウンになり、新住民と旧住民の重層的な構成で膨れ上がった。初期の滝沢ニュータウンの分譲は40年くらい前。松園団地と同じように高齢化の悩みに直面している。新住民やがて旧住民となり、また新住民がやってくる。地域間より、むしろ世代間の利害を調整しながら発展していくべき自治体だろう。たとえ首長が公約を果たしても、新たな要請は次々出てくる。
▼11月の市長選には元参院議員の主浜了さんが名のり出た。ほか手を挙げる人がいて選挙になるなら、全世代挙げて選択できるような論戦を。新旧住民の新陳代謝をうまく運びつつ、求心力を発揮していく市政に。

 2018年  4月  10日  ― 交差する善意と蔑視 ―
 目撃した他人の命の危機に、駆け寄って手を差し伸べる。人は誰にもそんな意志が備わっているのであろう
▼今月4日には福岡県で軽自動車が川に転落。乗っていた高齢男女2人が川に投げ出されて男性は沈み、女性は浮いていた。通り掛かった5人の高校生がそれを目撃。「助けよう」と声を掛け合い川に飛び込み、2人を岸辺に抱き上げている
▼いずれも意識不明の重体だったが、病院に運ばれ手当てを受け意識を回復。2人が81歳と79歳の夫婦であることも判明し5人の高校生には、関係者らから感謝と称賛の声が寄せられているという
▼同日に京都府舞鶴市で開催された大相撲の「春巡業舞鶴場所」では、あいさつしていた同市の市長が土俵上に倒れたまま動かないという緊急事態が起こる。直後に観客の中から医療経験者らしき2人の女性が土俵の市長に駆け寄り、心臓マッサージを続ける
▼観客の目はその善意の行為を見詰め温かな共感が会場を包む。ところがそこへ行司による場違いな館内放送が繰り返し流れる。「女性は土俵から降りてください」と。人命救助の崇高な次元から一転。女性を不浄とする相撲協会の蔑視の言葉が場内に冷ややかに響く
▼市長は車で運ばれ入院。女性2人も立ち去る。わずかな時間に交差した善意と蔑視の相反する情景にあ然とする。

 2018年  4月  8日  ― 世界に広げた忠犬ハチ公 ―
 平昌五輪女子フィギュアスケート金メダルのザギトワ選手が渇望し注目度上昇の秋田犬。秋田犬保存会が贈る赤毛の雌犬が決まった
▼ザギトワ選手の母国ロシアのプーチン大統領が日本から贈られた秋田犬を愛犬としていることをご承知の方も多いはず。ザギトワ選手が秋田犬を知ったのも大統領の飼い犬なことが大きいだろう
▼秋田犬が海外に知られるきっかけの一つが09年公開の米映画「HACHI 約束の犬」。リチャード・ギアさん主演の物語は、忠犬ハチ公の実話をもとにした日本映画をリメークした。映画のハチは実話と同じ秋田犬。大正時代に東大教授の上野英三郎に飼われ始めたものの上野が急死。死後も渋谷駅に行き主人を待ったことから忠犬ハチ公と称され、渋谷駅前に銅像が建立。ハチ公前は待ち合わせのメッカとなった。ハチは歩き回る性分だったようで、繁華街の渋谷センター街辺りによく出没したらしい。きょうは忠犬ハチ公の日という
▼日本犬(地犬)の現存種は少なくなり、秋田犬の他、甲斐犬、紀州犬など数種が天然記念物になっている。反して国内の飼い犬は外来種が多いのではないか
▼中国のパンダ外交は動物園飼育が前提だが、秋田犬外交が日ロの友好発展につながってくれればありがたい。どちらかがマサルのではなく両国対等の関係で。

 2018年  4月  7日  ― 森友巨額値下げ工作判明 ―
 森友学園への国有地売買は疑惑だらけだ。本来は売り手の窓口である財務省がありのままを説明すれば、国民の疑念は晴れる
▼だが公表が原則の決裁文書など公文書から、知られたくない記述を削除し書き換えもし改ざんしていたのも同省だから期待などできない。最近は記者仲間も《この問題は司法が動き出し大阪地検特捜部が取り調べを進めているから、その捜査情報を待った方がいい》と開き直っている
▼一昨日テレビを見ていたらそれに応じるように「特捜部の調べて分かったこと」として、急所を突いた情報を伝えていた。当欄が繰り返し指摘してきた「9億円超の国有地当初価格から《地中のごみ撤去》名目で8億2千万円を値引きした配慮の不可解さ」を解くような内容である
▼それによると安倍総理が昨年2月に「自分や妻が関与していたら辞職する」と発言した直後に、近畿財務局職員が森友側に「ごみの撤去費用は不明」などと記載した書面を提示しサインを求めたという。森友側がこれを断ると再び直後の2月20日に、財務省理財局職員が電話で次のように依頼したという
▼それは「トラック何千台も使ってごみを撤去したことにしてほしい」というリアルな嘆願だ。司法の客観的な調査に基づくこの「言葉」は疑惑の根元にある巨額値下げの不当を暴く。
  

 2018年  4月  6日  ― タイブレークなく選抜閉幕 ―
 第90回の記念大会だった選抜甲子園は5日、智弁和歌山と大阪桐蔭という、共に優勝経験のある強豪同士の決勝となり、大阪桐蔭が3回目の優勝を2連覇で飾り閉幕した
▼今大会で注目の一つは導入されたタイブレーク制が勝敗にいかなる影響を与えるかだった。ところが、ふたを開けてみると、延長は12回までが最長。13回から適用される新制度の攻守には入らなかった。特に準決勝は2試合とも延長戦にもつれ込む接戦で、大阪桐蔭と三重の一戦は12回で決着しないような様相だったが、大阪桐蔭の12回サヨナラ勝ちで勝敗が決した
▼タイブレークはトーナメントの過密日程で選手のコンディションや負担を考慮した措置。過去に夏春問わず、球史に残る一戦には延長や再試合なども少なくない。延長戦が頻発した大会もあって導入が一気に進んだ
▼本県の花巻東も彦根東との3回戦で9回まで打線が無安打に抑えられながら、守りも耐えて得点を与えず0対0で延長戦に。10回に初安打が生まれ、2安打でサヨナラ勝ちした
▼延長に入らなくても、終盤にドラマが生まれやすいのが甲子園の高校野球。劇的な展開が野球ではなく「高校野球ファン」を生むのだろう。ただ、選手が目指すのはドラマより勝利。タイブレークに入っても悔いを残さない試合であってほしい。

 2018年  4月  5日  ― 事故事例と免許証返納の課題 ―
 今年3カ月だけでも全国で、老齢者運転の車による事故が目立った
▼1月9日には群馬で85歳の男性が運転する車が、県道を走行中に対向車と接触し弾みで道路右側を逆走。この日が3学期の始業式で学校へ行くため、路側帯を自転車で走行していた2人の女子高生に衝突してしまう。病院に運ばれたが2人は重体で1人は亡くなっている
▼茨城では2月末に守谷市内のホームセンター駐車場で、80歳の女性が運転する軽ワゴン車が、ブレーキでなくアクセルを踏み急加速して暴走。買い物客2人がはねられ68歳女性が頭部強打などで重体。41歳女性は軽傷を負った。以上2例の加害者は現行犯として逮捕されている
▼もう一つ、鉄道を約5時間半も不通にした車の衝突事故も紹介しておく。3月26日に九州の国道を走っていた軽自動車と大型トレーラーが、道路中央で正面衝突した事故だ。トレーラーはガードレールも突き破りJR軌道敷地内に転落し立往生。鉄道を不通にしたのだ
▼軽自動車運転の20歳の女性が重傷を負い、トレーラー運転の60歳男性もけがをしそれぞれが入院している。当方地元で隔月開催の「ことぶき会」と称する高齢者会でも「免許証返納」をテーマに、先のような事故事例を語り合っている
▼いつも「自分はどうする」という宿題を突き付けられる。

 2018年  4月  4日  ― カジノ解禁は必要か ―
 カジノを盛り込んだ統合型リゾート法案が準備されている。県内には受け皿の動きはないようだが、カジノは日本に必要か。
▼秋田県には以前から「イーストベガス構想」というカジノ誘致運動がある。もう官民挙げて。秋田市のある文化人に、「トトカルチョマッチョマンズ」なるグループが夢をぶちあげ、法律上の論点や経済効果を緻密に分析し、県内の行政や議会を動かしていると聞いた。
▼人を食った名前、髪を染めたような若者たちが実はインテリ。リスクを恐れず、志士の野心で県内政財界に斬り込む。確かにすごい。だからその文化人に「真面目だけ取り柄の岩手県にはとてつもあるまい。秋田には野武士がいるのよ」と、誇らしげな口ぶりも。しかしそのとき思ったのは、「秋田の人努力の風向き、ちょっと違わねすか?」
▼健全で長い伝統の公営ギャンブルも、経営に苦しんでいるところが多い。カジノの運営がそんな簡単で、地元に実入りや観光客が増えるのか。初めての刺激に依存症や治安も心配。
▼外交取り引きや森友問題に難航する国会の駆け引きで、火事場の何とかのように通されてはたまらない。大阪など誘致論があるが、東北には要らないのでは。秋田も別の振興策を。一獲千金の夢なら、尾去沢鉱山を訪ねて黄金のロマンに浸りたい。鹿角市に。

 2018年  4月  3日  ― 銃規制求め全米でデモ ―
 従来米国はいい意味での先端国といわれてきたが、近年は「怖い銃乱射国」という表現も耳にする
▼今年も2月14日午後に19歳の男が、銃を手にしてフロリダ州の高校に侵入。火災報知器を鳴らしてから各教室に乱入し銃を乱射し続け、生徒14人と学校スタッフ3人の17人が殺害された。生徒死傷の発砲事件は今年6件目だという
▼犯行後に男は逃走し途中で逮捕されたが、なぜ米国は乱射惨劇を繰り返すのか。大きな要因は米政権首脳が銃販売の元締め企業から支持を受け、政治献金も受けているからだと言われている。そんな背景下で先のフロリダ事件を機に、学校の安全向上を求める街頭行進が先月24日に全米各地で行われた
▼それは銃規制を要求するデモとなり首都ワシントンだけでも、およそ80万人が集結。全米では百万人に達し銃規制関連デモでは過去最大規模となった。ワシントンのホワイトハウスと連邦議会を結ぶペンシルベニア通り一帯は、人で埋め尽くされたという
▼街頭の演壇には乱射された高校の女子生徒も立ち、現大統領のスローガンを念頭に「安全でなければ米国は偉大にならない」と訴えた。このデモには公民権運動の指導者で銃で暗殺されたキング氏の9歳の孫娘も参加。「私の夢は銃のない世界につなげること」と話して喝采を浴びている。

 2018年  4月  2日  ― 固有の食文化を尊重 ―
 コピーライター仲畑貴志さんが選者の毎日新聞3月23日付「仲畑流万能川柳」の秀逸は「五十年継ぎ足しされた不味いタレ」(ノウセイ)。半世紀続く焼き鳥屋ではあるまい。ご都合解釈が加えられ原点から離れた制度疲労も想像する
▼同欄に「ご近所にくさや配ってくさや焼く」(繁本千秋)の投句も。伊豆諸島特産のくさや初体験は東京暮らしの時期。なじみの店である日、くさやを焼き出すと店内ににおいが充満。外に待避もにおいに追われた記憶がよみがえった。においは想像以上も身を口に入れると、これが美味。まずければ伝統食にはなり得ない
▼豆腐ようを食べ「まるでブルーチーズと放射性廃棄物が混ざった物」という文章が高校英語教科書に載ったが問題になり削除すると報じられた。発酵食品の豆腐ようは沖縄の食文化を代表する一つ。ほんの一かけずつ口に入れ泡盛を飲むと相性の良さが胃にしみる。教科書の掲載文は英国人の沖縄旅行記という。沖縄県民に不快を与えたと言われても仕方がない
▼来日外国人が増加一途の今、平準化した和食ではなく、コアな地域の食文化への要望も増している。誤った発信が生じないためにも伝承の背景を味と一緒に地方に来た外国人に提供できるよう自分たちの地域に理解を深めて受け入れ態勢を磨く観点も必要だろう。

 2018年  4月  1日  ― 陛下が九州豪雨 沖縄戦禍を慰問 ―
 天皇陛下は憲法がうたう象徴の務めとして、災害被災地や戦災受難地へ皇后さまとともに足を運び慰問されている
▼お年を重ね明春のご退位が決まってもそれは変わらず、昨年10月には昨夏の豪雨被災地である九州の2都市を訪問。被災者とも面談された。65歳の男性が妻と娘と孫の3人を亡くし、娘のおなかには臨月の子がいたと報告する場面もあった
▼それに対し「本当に残念なことでしたね」といたわる天皇の言葉に、居合わせた人たちは家族のような温かさを感じたという。天皇は災害対応の消防隊員、警察官、自衛隊員、ボランティア、医師会役員らとも面会。「皆さんが地域に尽くされたことを心強く思っています。ありがとう」と感謝しねぎらっている
▼両陛下は先月27日から3日間、11回目となる沖縄訪問もしている。先の大戦で本土防衛のため多くの県民が犠牲になった沖縄には、両陛下は生涯をかけ心を寄せ続けられるのであろう。今回も従来と同じく初日に沖縄戦最後の激戦地・糸満市にある「国立沖縄戦没者墓苑」を参拝
▼18万人を超える遺骨を納めた納骨堂に深く一礼し白菊の花束を供えて拝礼。戦没者の霊を慰められた。両陛下は参集した遺族一人ひとりにも丁寧に言葉を掛けたという。ご退位への流れを思うと感慨ひとしおの両陛下の慰問である。

2018年3月の天窓へ