2006年 3月 30日 (木) 

       

■ 〈自転車びより〉12 斎藤純 ポタリングってどういう意味?

 「ポタリングってどういう意味ですか。サイクリングとはどう違うのですか」と訊(き)かれた。
  遠くに目的地(あるいはルート)を定め、1日あるいは何泊もかけて旅をすることをサイクリング、近所をぶらぶらと自転車で散歩することをポタリングという。ちなみにポタリングのポタはputterから来ている。

  実はこれ、アリス館から刊行されている〈調べるっておもしろい!〉シリーズの一冊『自転車は、なぜたおれないで走れるの?』(横田清著、1365円)からの受け売りである。小学校高学年向けの本だが、題名になっている疑問をジャイロ効果の実験で説明しているほか、自転車の構造、放置自転車と駐輪場問題、安全運転についてなどがコンパクトにまとめてあり、とても役に立つ(この内容でこの価格はお買い得だと思います)。

  また、地球温暖化防止に取り組む京都議定書にも触れ、1キロ進む際のエネルギー消費量が自動車のわずか180分の1にすぎない自転車を「最高の省エネだ」と絶賛している。

  同書で自転車の歴史もわかるが、もっと詳しく知りたければ、『くるまたちの社会史』(齋藤俊彦著、中公新書、857円)がおもしろい。書名の「くるま」には鉄道も自転車も含まれている。

  自転車に関するあれこれを網羅した『自転車の文化誌』という名著が絶版状態なのは残念だが、上記の2冊が手元にあれば自転車に関して相当な「通」になれる。どちらも知識だけにとどまっておらず、問題提起を含めて実践的な内容になっていることがお薦めの理由でもある。

  ぼくが日ごろ行っている中津川の自転車散歩はポタリングだ。小岩井まで足を延ばすとなると、サイクリングになる。そろそろサイクリングの季節だ。『ただの私に戻る旅』(横井久美子著・労働旬報社)と『アイルランド、自転車とブリキ笛』(デイヴィッド・A・ウィルソン著、朝日新聞社、1890円)を読んでいたら無性に出かけたくなった。

  前者は燃え尽き症候群に陥った47歳の歌手が、アイルランドの東端ダブリンから西端ゴルウェーまで219キロを自転車で旅した経験をまとめたもの。後者はカナダ在住のアイルランド研究家があちこち寄り道をしつつ、ぐるっと一周した記録だ。どちらも音楽が深く関係していること、著者がぼくとだいたい同年代という点が共通している。しかも、ぼくはアイルランドに思い入れが強いので興味深く読んだ。

  もっとも、ぼくのサイクリング歴は大したことがなくて、下関から広島、帯広から旭川、村上から山形という長距離サイクリングの経験があるが、自分でも意外なことに東北を走っていない。今年は北東北をあちこち巡ってみたいと思っている。

(作家)

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