2009年 3月 7日 (土)

       

■ 達増知事、議会で土下座 無床バス修正案めぐり拒否権行使、再議に

     
  本会議場で土下座する達増知事  
 
本会議場で土下座する達増知事
 
  県議会は6日本会議が開かれ、県立病院の5地域診療センターの無床診療所化に関連する送迎用マイクロバスの購入費を削除した議案修正案2件が賛成多数などで可決された。達増知事は直後、自席から発言を求め議決に対する再議を申し出た。そのあと席を立って前に歩み出て議員に向かって土下座した。議場内がどよめく中で、渡辺幸貫議長が休憩を宣言。再開後に達増知事は再議の理由を演台で説明後も自席に戻らず、議員議席の前に行き、3ブロックの前で順に土下座した。本県議会で再議に付されるのは初めてのこと。本会議場で知事が4度も土下座するという前代未聞の事態になった。議会は紛糾し深夜まで及んだ。

 ■知事が拒否権発動

  再議は行政執行者に一般的拒否権を行使する権限として認められている。議会の結論にノーということになり、頻繁に使われる権利ではない。今回も「議会との全面対決ということか」と話す議員もいて、議員の態度を硬化させることにつながりかねない。

  修正案可決に至ったのは議会内に一時凍結を求める凍結派が、県を強硬姿勢と受けとめ、無床化を前提とした補正でのバス購入費は認めがたいというのが背景にある。

  一方、県も岩手の地域医療を守り、県立病院の勤務医離れを避けるために新計画の4月実施が必要という信念から何としても予算を通してほしいというせっぱ詰まった状況。議会が認めたほかの部分の事業の停滞をかけてまで再議を出してきた。

  達増知事は「県立病院の医師不足は危機的状況で、新しい計画は4月からの実施が必要。計画を実施する上でバスの整備は不可欠。(修正案では)交通手段が確保できなくなるため再議をお願いする」と理由を説明した。

  しかし、議会側でも凍結派は「2300万円の事業のため再議を出すべきものか」「再議以外にもほかの選択肢があるだろう」と、引き下がらない。夕刻の議会運営委員会では委員会付託省略を唱える民主・県民会議に対し、政和・社民クラブと自民クラブは常任委員会付託で押し切った。午後7時半ごろ、本会議を再開し、再議は総務と環境福祉の両常任委員会に審査を付託。審査は夜間に及んだ。

  ■知事の所作に賛否

  修正案に反対した民主・県民会議では土下座までした知事に対し、千葉康一郎氏は「知事の強い決意の表れだ」、及川幸子氏も「しのびない。知事に土下座までさせるなんて」と語る。

  会派代表の佐々木順一氏は「県立病院の経営計画を認めてほしいという思いだと理解する。知事の立場としては病院関係予算を通してほしいという真剣みの気持ちの表れだと思う」と話している。

  一方、修正案の提案者となった木村幸弘氏(政和・社民クラブ)は「再議は知事の執行権であり粛々とすればいいのを、突然土下座するのはどうか」と疑問視。同クラブの飯沢匡氏は「議場は議論する場であり、(土下座は)考慮に入らない。意味不明だ。計画全体に反対しているわけではない。(再議以外に)いろんな提案の方法があると思う」と話している。

  自民クラブの嵯峨壱朗氏は「ああいう形(土下座)でやられても…。表現した気持ちは分かるが、それと議案とは別。もっと冷静に淡々と(再議の手続きを)やってもらいたかった」と、中身の議論を望む。

  同日の議会運営委員会でも、本会議場では許されない行為で議長から厳重注意すべきだと求める声が上がったほどだ。

  達増知事は報道陣の問いかけに「大変異例なことであり、普通の提案と違うという気持ちを込めさせてもらった。身も心も投げ出してお願いするということで礼を尽くさせていただいた。伏してお願いするということ」と土下座の理由を語った。

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