2009年 3月 13日 (金)

       

■ 巨木倒される 盛岡市飯岡新田のエゾエノキ伐採に7時間

     
  伐採されたエゾエノキ。横たわるとその大きさが分かる  
 
伐採されたエゾエノキ。横たわるとその大きさが分かる
 
  盛岡市の指定保存樹木になっていた盛岡市飯岡新田のエゾエノキが12日、伐採された。樹高22メートル、根元部分の幹周りは約4・8メートル、推定樹齢230年以上とされる老木。長年この地で人々の生活を見てきた巨木は、作業員と近所の人たち数人に見送られるだけでひっそりと倒れた。

  盛南開発地区内にあるエゾエノキは、道路の拡幅工事に伴い昨年から伐採が検討されてきた。移植保存の可能性などについて市の環境審議会自然・歴史環境部会で協議されたが、移植にはかなりの費用がかかることや移植後に枯れ死することが予想されたため、市は今年2月に指定保存樹木の指定を廃止。伐採が決定した。

  普段は何げなく通過する道路脇のエゾエノキも、木の下に立ってみると改めてその大きさを実感できる。幹から伸びた一本一本の枝ぶりは堂々とした存在感を放つ。

     
  さまざまな思いでエゾエノキの伐採を見守る近所の人たち  
 
さまざまな思いでエゾエノキの伐採を見守る近所の人たち
 
  午前9時すぎから始まった伐採作業では、高所作業車に乗った作業員によって小さな枝が次々に切り落とされていった。

  所有者の男性は、先祖代々この地でエゾエノキと生活を共にしてきた。子供のころに木にやぐらを組んで父親にひどく怒られた思い出や、夏に見事な葉をたくさん付けたことも忘れない。「この木とともに生かされてきた。寂しい」。徐々に小さくなっていく木にさまざまなことを思い出しながら伐採作業を見守った。

  午後からの作業では根元が掘り起こされたが、エゾエノキは簡単には倒れなかった。200年以上立っていた木に作業員も口々に「ちょっとやそっとでは倒れないぞ」と話していた。午後4時すぎ、幹がワイヤで引っ張られ、ようやく木は徐々に傾いていった。

  倒れた木の根は真下にではなく、横に大きく広がって伸びていた。所有者の男性は「砂利地で苦しんで生き延びていたのだろう」と感慨深げな表情を見せた。

  「一緒に生きられればとも思うが、時の流れでこういうこともやむを得ない」と少し寂しそうに話した。

  倒された木の枝から若い芽を探し出す人の姿があった。おおみや園芸の藤村健三代表取締役は木の枝を挿し木し、なんとかこのエゾエノキの子孫を残そうと考えた。

  「よくて半分ですね。(エゾエノキは)本来、種から育てるが、いろいろな事情で今伐採しているのでやむを得ない」。挿し木が成功する確率は50%ほど、それでも新しい命がここから生き継がれることを期待している。


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