2009年 7月 9日 (木)

       

■ 欠陥住宅から施主守る 瑕疵担保履行法、制度周知が不足

 国の新たな法律で新築住宅を供給する建設業者や宅建業者は、手抜き工事などで構造上の欠陥が判明した場合、補修が確実に行われるよう保険の加入または法務局への供託により資力の確保が義務づけられる。適用対象は10月1日以降に引き渡される新築住宅。しかし、補修できる対象は限定的で、10月以降完成の住宅建築も既に始まっている中、市民への制度周知が不足している。施主を守るはずの制度で業者とのトラブルが多発する可能性もある。

  ■耐震偽装教訓に

  この法律は「住宅瑕疵(かし)担保履行法」。00年度施行の「品確法」にある住宅の欠陥などで10年間負う瑕疵担保責任(保証金や補修など)を、業者が確実に行うよう資力確保を義務づけた。国は08年度に業者が加入する保険法人を指定し、指定5社が全国各地に取次店を設けている。

  背景にはマンションの耐震(構造計算書)偽装問題の教訓がある。建て替えを含めた大規模補修(瑕疵担保責任)が必要なのに、責任を負うべきデベロッパーが倒産。住宅購入者が補修費の大部分を費用負担する結果になった。欠陥の保証に対する市民、消費者の不安払しょくが狙い。

  新築住宅の対象は戸建て住宅のほか賃貸住宅、分譲マンションやアパートなど集合住宅、建て替えも含まれる。宅建業者が発注、賃貸する住宅は対象外。増築や転売された住宅、倉庫や車庫は除外される。

  ■未加入には罰則も

  施工業者には資力確保のため指定保険法人への加入か法務局への保証金の供託のいずれかが義務化される。

  保険は従来任意だったが、業者が新築住宅の工事1軒単位で着工前に加入する。同法人は工事中に構造上問題がないか検査する。分譲マンションのメーカーは戸数が多く低減率を活用できる供託を採用している。

  県や同法人は業者に制度を周知してきた。一方で施主である市民、消費者への周知が進んでいない。業者の施主への説明が不徹底という実情もある。

  県は6日、県庁でこの問題について同法人と意見交換会を開いた。法人によると、業者が保険加入することで工事費が上がるのを懸念し「金がかかるなら要らない」、工務店に対して「信用しているから加入しない」と話す施主もいる。

  しかし、業者が保険加入など資力確保しないと刑事罰など罰則が適用される可能性も出てくる。

  ■保証対象が抽象的

  施主への保証対象そのものも問題だ。保険や供託が適用できる欠陥は「構造体力上主要な部分、雨水の浸入を防止する部分」と抽象的で適用除外も多い。

  雨漏りは対象でも結露は対象外だし、住宅の傷や色も該当しない。「床のものが転がる」のは基礎部分の瑕疵に当たるとみられるが、県建築住宅課は「地盤への責任はない」と解釈している。

  同課は建築確認申請時に業者を通じて市民へ周知を図ろうにも建築基準法上、任意の指導にとどまると頭を抱える。PRが事実上「手詰まり」だと認める。6日の意見交換では8月末の住宅祭に指定保険法人が共同出展し、市民へPRするよう協力を呼びかけた。

  同課は「9月下旬の工期だと何らかの理由で10月に延期する場合もあれば未加入は問題。着工前の加入以外も法人は事後的な対応をすると聞く。一般消費者にしてみればトラブルになって初めて制度に気付く可能性もあり、着工前に業者が制度を周知し、とにかく保険加入(または供託)してほしい」と話す。

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  県内の新設住宅着工戸数(戸建て、建て替え、マンション含む)は、08年度で6823軒と45年ぶりの低い軒数になった。07年度は7338軒だった。

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