2009年 7月 9日 (木)

       

■ 〈保阪嘉内の短歌〉36 望月善次 この青い炎の夕方

 この青い空の夕方まっさおによくぞ染
  まらん、されどいままっさおに
 
  〔現代語訳〕この青い空の夕方は、本当に真っ青に染まるでしょう。ああ、しかし、真っ青なのは(これからのことではなく)正に、この「今」真っ青に染まっているのです。

  〔評釈〕「大空がまったく晴れておそろしや」三十二首〔『アザリア』第二輯(盛岡高等農林学校アザリア会、大正六年七月十八日)〕の九首目。見上げている夕方の空は、真っ青である。本当に「真っ青」に染まるであろう。ああ、しかし、この真っ青の度合いは、この先のものではなく、正しく「今」のものであるという感激・感嘆を表そうとした一首。結句を「されどいままっさおに」と(促音を一音に加えるとして)十音にしたのは、作者のそうした強い思い入れを形にしようとしたものか。しかし、短歌は「五七五七七」を基本とする詩形であるから無理だというのが評者の見解。(短歌定型の基盤となる「二音四拍」の点からも「され/ど○/いま/まっ/さお/に○」と六拍になってしまうからこの点からも無理があることを指摘しておこう。)ちなみに、「されど」を省いて「いままっさおに」としても、作者の伝えようとしたものは十分に伝わるのではないかというのも評者の見解。

  (盛岡大学長)

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