2009年 7月 12日 (日)

       

■ がんと向き合うために 岩手医大附属病院の緩和ケア外来開設3カ月

     
   岩手医大附属病院腫瘍センター緩和ケアチーム室長の木村祐輔医師。緩和ケア外来での相談も担当している  
   岩手医大附属病院腫瘍センター緩和ケアチーム室長の木村祐輔医師。緩和ケア外来での相談も担当している  
  がんなどによる強い痛みの緩和や心のケアに当たる「緩和ケア」。岩手医科大学附属病院(小林誠一郎院長)に4月から、外来患者を対象に、緩和ケアの相談に応じる「緩和ケア外来」が開設されている。患者や家族のQOL(生活の質)を高めるための相談窓口として大勢の人に利用してもらいたいという。

 緩和ケア外来は同病院西病棟3階に開設された。診療日は毎週月曜日の午前8時半から正午まで。完全予約制で最低でも1人30分の診療時間を確保する。

  診療内容は▽がんの痛みなど症状の緩和についての相談▽在宅療養や他院への転院の相談▽患者や家族の心のケア▽麻薬など処方薬についての説明|など。通院でがん治療を受けている人やその家族らが対象で、紹介状があれば他の医療機関で治療を受けている患者の相談にも応じる。

  同大附属病院は、がん診療の質の向上や各医療機関の連携に中心的な役割を担う本県のがん診療連携拠点病院。緩和ケアの普及を図る取り組みの一つとして体制を整えた。

  緩和ケア外来で診療に当たっているのは外科学講座講師で同病院腫瘍センター緩和ケアチーム室長の木村祐輔医師(42)。「がん治療を受けている方のケア全般の相談窓口としてとらえてほしい。ぜひ、多くの人に利用してもらいたい」と呼び掛ける。

  同病院では07年6月に外科、内科、麻酔科、放射線科、精神神経科、歯科の専門医師や看護師、薬剤師、栄養士、ケースワーカーらで構成する緩和ケアチームが発足。これまで入院患者を中心に、個々の状態に合わせて不快な症状の緩和や悩みの相談などに応じてきた。

  緩和ケアは手術や抗がん剤治療などの効果が見込めなくなった終末期のみに適用されると思われがちだが本来は、がん治療と並行して初期段階から導入されるのが理想。外来で治療を受けている患者にもニーズはある。痛みがやわらぎ、精神的な不安が解消されることで、患者はもちろん、家族のQOLはぐっと高まる。

  ただ、すべての患者に対し、適切な時期に適切なケアを提供するには医療資源が不足しているのが現実。実際に患者が入院治療を終え、病院から離れた地域の自宅に戻る場合や患者の症状が進んでいる場合、緩和ケア外来へ定期的に通院し、相談するのは難しいといった課題もある。

  限られたスタッフで効率よく緩和ケアを提供していくためには、基本的なケアは主治医が、それでも取りきれない症状や苦痛への対応は緩和ケアチームが受け持つなど役割分担も求められるという。

  「現在は緩和ケアが成熟する過渡期。あえて基本的なケアと専門性の高いケアを区別せず、十分相談し合いながら、苦しんでいる方それぞれに最も適した緩和ケアが提供できるよう活動している」と木村医師。

  「より多くの医療スタッフが緩和ケアのスキルを身に付けることができるよう啓発、教育していくことも緩和ケアチームの役割」と話す。医療者、患者、家族ともに緩和ケアへの共通理解が高まることを願う。

  岩手医大附属病院緩和ケア外来についての問い合わせは、がんに関する相談(医療相談室内)019|651|5677へ。

  盛岡医療圏では同病院のほか、孝仁病院や盛岡赤十字病院にも緩和ケア外来が開設されている。

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