2009年 7月 30日 (木)

       

■ 〈お父さん絵本です〉268 岩橋淳 「川のいのち」

     
   
     
  一学期の終わりの日、成績はともかくとして、「かれら」の関心事は「夏休み、何をなしとげるか」。本作の主人公、悟と雄二にとって、夏休みとは、まさに一皮むけるための大切な日々であるようです。河原に寝そべって空を仰いでの決意表明は、片や「川の淵の大ゴイを手づかみ」片や「何かわからないが、何かをつかまえる」と、がむしゃら結構、その意気やよし、近ごろでは珍しい少年たちです。

  素裸になって川の流れに飛び込めば、水も魚もトンボもツバメも、そしてもちろん彼らも、夏のフレームの中では対等。いや、風や流れをわがものとする動物たちは、もっぱら少年のあこがれの対象なのです。毎日を素潜りの鍛錬にあて、いつか5bの深きを潜っても、大ゴイはまだ遠い存在。そんな彼らを遠目にあこがれていた少年も交えて、ひと夏、時は刻まれていくのでした…。

  はじける生命の躍動を描く行動派作家・立松氏による、少年の目線のすがすがしさ。力強く色を重ねる作画者は、実娘(「ヨコ松」の方が本名!)とのこと。山、海、街、木、田んぼ、牧場、と作を重ねる「いのち」シリーズの一冊です。

  【今週の絵本】『川のいのち』立松和平/文、横松桃子/絵、くもん出版/刊、1260円(税込み)(2002年)

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