2009年 11月 5日 (木)

       

■ 〈お父さん絵本です〉282 岩橋淳 しまふくろう

     
   
     
  アイヌの詞(ことば)で「コタンクルカムイ=村の守護神」と呼ばれるシマフクロウ。中国、ロシアの一部と北海道東部に棲息(せいそく)するフクロウの一種です。北海道ではその数、100羽前後が確認されているようですが、絶滅危惧(きぐ)種として保護が叫ばれています。

  わたくしごとですが、26年前、北海道の山奥にいた事があって、「秘境」と言われたその湖畔では、夜な夜なシマフクロウの鳴き声が聞こえていました。

  20秒おき、信じられない数の星影をびっしりと映した夜中の湖面の上を響き渡る声の主には、ひと夏過ごしたくらいではその姿を見る事ができず、まさに神秘の極み。

  翼長2bというこの最大のフクロウの姿を見たのは、山を下りてから。それも、写真での対面でした。その気になれば机上で調べる事はできたとしても、現地で、土地の人の言葉や伝承などを聞いて想像をたくましくすることでかえって生まれるリアリティーがある、ということに気づかされたものです。

  本作は、そんなシマフクロウを追い、生態に迫った写真絵本。山本氏は、フクロウに魅せられて北海道に移住してしまったという経歴の方(現在はシマフクロウの研究と保護のために活躍中)。前述の様な体験を持つ者としては、「写真に撮る」「観察する」など信じがたい仕儀ですが、迫力の映像は、地上に生けるものとしての「神秘の鳥」の実在証明を、しっかりと刻んでいるのです。対面する者の心を射抜く様な瞳、とりこになること請け合いです。

  【今週の絵本】『しまふくろう』山本純郎・神沢利子/文、山本純郎/写真、福音館書店/刊、版元品切れ中(1992年)

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