2009年 11月 15日 (日)

       

■ 〈胡堂の父からの手紙〉240 八重嶋勲 今の下宿を引き取る際は

 ■316巻紙 明治36年3月21日付

宛(盛岡市)
発(岩手県紫波郡彦部村大字大巻)
  郵券遣度モ今日切モノニ付追而相遣シ ベシ
前畧愈々試験ニモ相成定メテ多忙之事ト推察罷在候、何分如才ナク受験候様可致候、過日送金後手紙着手相成候故定メテ薬價等ニ不足ナルベシト被考候、両三日中ニ幸便ニテ五十銭相届ケ候ニ付其事ニ了知スヘシ、而シテ傷(腸)加答ナルモノハ或ハ痔疾ト聨續シテ居ルモノゝ様ニ聞及ヒニ付體毒ノ有之ナルヤモ難計、就テハ両病ニ特効アル村源ニアル太陽丸價モ抵廉ナル筈、此ノ薬ヲ相用ヘ(ヒ)候方可然、下剤ニハ種々覚ヘ居候ニ付帰宅之際相用ヘ(ヒ)候様可致候、宿換ヘ之義(儀)ハ何分場所ノヨキ所学友ヲ撰ミ勉強家ノ品行ノヨキモノ同宿スル様ニ可致候、シテ又引取之際ハ獨リニテ病気保養旁、二日計リ親類家ニ引取ルト称スベシ、決シテ対手抔誘引スル等ノ如キ致間敷候、
試験ハ何日迄ナルヤ寒休何日ヨリナルヤ報導スベシ、
家内無事ナリ、来ル四月廿六日ニ哲三郎ノ一周忌ナリ、都合宜敷ハ帰宅スベシ、余者後便ト申残ス、早々
  三月廿一日  野村長四郎
    長一殿
 
  【解説】「(欄外にあり)郵券を送りたいが、今日切れのものであるので追って送ることとしよう。

  前略いよいよ試験になって、きっと多忙のことと推察している。何分つつしんで受験するようにせよ。過日に送金した後手紙が着いたためきっと薬価等で不足していることであろうと考えている。両3日中に誰かに託して50銭を届けるので承知していてくれ。

  腸カタルというものは、あるいは痔疾と関連しているもののように聞いたので体毒があるのかもしれない。ついては、村源薬店で両病に特効がある「太陽丸」は価も安いはず、この薬を用いる方が良いかもしれない。下剤には種々覚えているので帰宅の際用いるようにせよ。

  宿替えのことは、何分場所のよい所と、学友を選び勉強家の品行のよい者と同宿するようにせよ。そして、今いる下宿屋を引き取る際は独りで病気保養のため、2日ばかり親類の家に行くというべし。決して相手などを誘引するなどはしないようにせよ。

  試験は何日までであるか。寒休みは何日からであるか知らせよ。

  家内は無事である。来る4月26日に長一の弟哲三郎の1周忌である。都合がよかったら帰宅すべし。余は後便に申し残す、早々」という内容。

  明治35年3月9日付の手紙に、本日、母マツエが男の子を産み、母子とも健在、哲四郎か季四郎、隆と命名しようという文節があったが、生後1月半で死去したのであろう。
 
  ■317半紙 明治(36、37)年●月●日付け

宛(東京市)
発(岩手県紫波郡彦部村大字大巻)
両校ニ於テ昨年ノ九月ノ如ク、大学豫科入学生募集相成哉、果シテ募集相成モノトセハ入学仕度候間御一報相煩度候也、
 
  【解説】「両校において昨年の9月のように、大学予科入学生募集があるのや。果して募集があるものとせば、入学させたいので一報せよ」という内容。

  明治35年4月進学を目指し上京。37年9月に東京第一高校に入学しているので、その間の手紙と思われる。

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