2010年 4月 4日 (日)

       

■ 〈早池峰の12カ月〉39 丸山暁 科学・理系のすすめ

     
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  時は既に春なのに、寒さ増し雪が降り出した夜中、ストーブの薪(まき)をとりに表に出たら、ご覧のとおり、道具小屋の屋根からせり出した雪が、空中に大きな「つ」を描いていた。

  長い冬の間でも、ここまで見事な雪の造形に出会うのは珍しい。雪がこのような形状になるには、幾つかの条件が自然の中でうまく重なったからであるが、この自然現象を数学的、物理的に解こうとすれば解けるはずである。

  気温、雪の密度、結合力などにより変化するであろう雪のせん断力・曲げモーメント(物質の破壊に対する強さ)、層ごとの変化を計測し、雪と屋根面との摩擦係数などがわかれば、高校の科学クラブや理系のちょっとまじめな学生なら解析できるはずである。

  太古の昔から人間は、このような自然の不思議に出会うと、ほとんどの人間はその現象に驚嘆し、愛で、恐れ奉るだけだったが、ほんの一握りの天才や狂人と言われるような人たちは、そこにある不思議を解き明かしたいと、人生をかけた戦いに挑み続けてきた。

  彼らの多くは、飯の種にもならないと家族からはバカにされ、世間からは狂人扱いされ、ひいては神に逆らう悪魔だ火あぶりにしろという大衆の罵声(ばせい)、権力の脅しにおびえながらも、自然の不思議を解き明かしてくれた。そういう彼等のおかげで今の科学文明がある。

  ガリレイはコペルニクスの地動説を証明するために『天文対話』を書き、宗教裁判で、拷問道具、火あぶりの刑を目の前にして自説を撤回し「それでも地球は動く」とつぶやいたという。命が一番。宗教者が神の名のもと、火あぶりだ殉教だのと、地獄に落ちろである。

  ガリレイの科学者、人間としての葛藤、時代・権力の狂気が描かれているB・ブレヒトの『ガリレイの生涯』(岩波文庫)は科学物語、現代にも通じる人生の書としてお薦めです。

  最近子供や学生たちの理科離れが危惧(きぐ)されているが、日常や未知なる不思議に興味をもち、その「なぜ」を考えたり解いていくのは、けっこう面白いものである。

  僕も中学生の時、無限大という概念を知って、「僕の生きる地球、宇宙は目の前のコップの分子の中にある」と直感し、周りの連中にアホかといわれたが、そのまま、まじめにその疑問に食いついていれば、今ごろノーベル賞候補に名を連ねていたかもしれない。

  余談だが、医者や科学者には作家や筆の立つものも多いが、文系出身で科学者や建築家になるには、勉強をやり直さなければならない。そういう意味でも理系は案外つぶしが効くのです。学生諸君、科学は面白い、数学苦手でもちょっと頑張って理系をすすめます。
(丸山暁建築・空間工房、大迫・外川目在住)

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