2010年 4月 6日 (火)

       

■ 〈夜中に夢見る星めぐり〉252 八木淳一郎 夕空のハーモニー

 春めいてくるにつれて、日暮れの時刻も次第に遅くなってきています。ついこの間までは午後5時を回るころには外はもう真っ暗でしたが今では午後6時を過ぎても空にはまだ薄っすらとした青さが残っているほどです。

  陽が沈んだ西の山の端近く、あかね色をした空の中に一際明るい星が光っているのに気付いた方も多いことでしょう。宵の明星、金星です。金星はこれから日ごとに高度を増していき、ピークの5月から7月にかけては高度30度ほどまで上がります。腕をいっぱいに伸ばしての握りこぶし3つ分の高さです。今は握りこぶし2つ分でしょうか。明るさはマイナス4等級で、これは1等星の百倍もの明るさであることを意味します。天頂付近にあるふたご座のポルックスやしし座のレグルスなどと比べてみればどんなに明るいかが分かります。恒星では全天一を誇るおおいぬ座のシリウスのマイナス1、5等級も脱帽です。

  なぜ金星はこんなにも明るく輝くのでしょう。それは金星が太陽に近いからというだけではなく、表面が厚い雲に覆われていてそれが太陽の光を反射しているからです。

  地球から見たとき、金星は太陽の周りを回りながら太陽に近付いたり遠ざかったりしますが、望遠鏡で見ると、三日月や半月の形になったり丸くなったりしながら大きさも随分と変化します。

  厚い雲に覆われているので本当の地形を見ることはできませんが、それでも雲の表面の現象として時にうっすらとした模様が見えることがあります。

  3月未から4月後半にかけて、ことにも4月上旬には、太陽に一番近いところを回っている惑星、水星が見やすくなっています。東方最大離角といって、見かけ上、水星は太陽の東側にあって、太陽から最も離れた位置に光っています。

  万が一太陽の強烈な光を見てしまうと目を傷める危険がありますので、陽が沈んでから西側の低空に双眼鏡を向けてみましょう。目のいい人は肉眼でも見つけられるかもしれません。太陽からおよそ20度も離れていてしかもほぼ沈んだ太陽の位置から垂直に近い方向ですから、1年中で最良の条件です。

  3月30日のことでしたが、都南にある小高い場所で金星のまばゆいばかりの光のすぐ右下の方に、赤くちかちかと瞬く水星の姿を見つけ、うれしくなりました。4月半ば過ぎにはこれに細い月が加わって、金星、水星、すばるとともに夕暮れの西空に自然の美しいハーモニーが奏でられることになりましょう。
(盛岡天文同好会会員)

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