2010年 4月 8日 (木)

       

■ 〈お父さん絵本です〉304 岩橋淳 えんぴつくん

     
   
     
  アルバーグ夫妻といえば、「ゆかいなゆうびんやさんシリーズ」をはじめ、温かい画風で人気の作家夫婦でしたが、1994年に作画を担当していたジャネット夫人が50歳の若さで亡くなってから、詩人でもある夫君アラン氏は、さまざまな画家とコンビを組んで創作を続けています。本書は、ブルース・イングマン氏とのカップリングで発表された最近2作のうちの一冊。

  原題“The Pencil”、1本のちびたえんぴつが、ある日突然にむっくり、起き上がったことから物語が始まります。意志を持ったえんぴつは男の子を描いてこれに名前を与え、相棒として犬を描いてやり、さらに犬の希望で猫を……、平面が平面のまま奥行きを持ち、さらには色を得て、2次元の住人たちは、やがて気ままに動き始めます。アニメーションという言葉が「生命」を表すとするならば、これは紙の上のアニメーション。

  ところが、えんぴつのおかげで生命を得たはずのかれら、希望要望がいつしかエスカレートしだしたのが騒動の始まり。そして問題解決の救世主となるべく作り出した消しゴムが暴走をするに及んで、事態は容易ならざる局面を迎えて!

  好んで深読みにはしることもありませんが、どこか文明批判めいたメッセージが込められたようでもあり。無から有を作り出すために踏み超える一歩の意味、こうして筆を進めつつ思い当たることもあり、うーんと唸らされた次第です。

 【今週の絵本】『えんぴつくん』A・アルバーグ/作、B・イングマン/絵、福本友美子訳、小学館/刊、1575円(2008年)。


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