2010年 5月 27日 (木)       

■ 〈お父さん絵本です〉310 岩橋淳 「カワセミ 青い鳥みつけた」

     
   
     
  先ごろ、第15回「日本絵本賞」で大賞を受賞した作品です。作者である嶋田氏は、世界を巡って活躍中の、動物カメラマンの第一人者。主に野鳥の生態をファインダーに写し取り、数々の「決定的瞬間」をとらえてきました。本作は、氏がカメラマンを志すきっかけとなった鳥・カワセミを追ったもの。

  鮮やかなエメラルド・グリーンに覆われ、「青い宝石」の異名を持つ、カワセミ。清流を好んで棲息し、獲物である川魚を狙って水面に突き刺さらんばかりに突進する敏捷性、川辺の枝に留まって休む姿、どれもがフォトジェニックなスズメ大の小鳥です。氏は、少年の日に図鑑でこの鳥を知ってとりことなり、故郷の川をさかのぼってはその姿を追い求め、ついにはプロのカメラマンになってしまいます。全編で華麗、かれんなカワセミの姿を紹介しつつ、そんな自らの道のりも語られていきます。

  それまで撮影されることのなかった、水中での「狩り」の瞬間。それを撮るための工夫と、みごと成功して気づいた、小さな鳥の持つ驚くべき能力。ひとつの被写体を追い続けることで、多くの発見や体験があり、時には教訓も得たことでしょう。カワセミをして「ぼくの写真の先生」と語る氏の思い入れには、深いものがあるのです。

  その鮮やかな背色にふさわしい清流が守られること、願わずにいられません。

 【今週の絵本】『カワセミ 青い鳥みつけた』嶋田忠/文・写真、新日本出版社/刊、1575円(2008年)。



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