2010年 6月 15日 (火)       

■ 〈夜空に夢見る星めぐり〉257 八木淳一郎 星を見る会

     
   日没後、袖山(葛巻町)の風車の上に輝く星々。右下の大きな星が金星で、すぐ上にふたご座の1等星ポルックスとカストルが位置取っている。左上に2個並んでいるように見えるのが、火星(右)としし座の1等星レグルス。下は葛巻町の町明かり。(6月6日午後8時30分、F2.8、13秒、デフュージョンフィルター)  
 
 日没後、袖山(葛巻町)の風車の上に輝く星々。右下の大きな星が金星で、すぐ上にふたご座の1等星ポルックスとカストルが位置取っている。左上に2個並んでいるように見えるのが、火星(右)としし座の1等星レグルス。下は葛巻町の町明かり。(6月6日午後8時30分、F2.8、13秒、デフュージョンフィルター)
 
  6月5日は、突然の豪雨に加えて雹(ひょう)まで激しく降ってくるという悪天候に見舞われました。毎月第一土曜日は盛岡市子ども科学館で星を見る会を開催する日です。この日がその実施日に当っていました。

  こんな状態ではとても無理だろうとの大方の予想がはずれ、開始時刻の午後6時ころには雲も少なくなり、青空が広がってきました。西空に、一番星として宵の明星の金星が輝いています。まだ明るい南の空に、目を凝らすと土星も見つかりました。

  こよいの市民の参加者は70人ほどです。プラネタリウムでの星空解説が終わって、続々と広場にお客さんたちが集まってきます。待ち受けるわたしたち9人はさまざまな望遠鏡を用意して、さあどうぞ、と思い思いに星をのぞいてもらいます。

  雹(ひょう)まで降った日だというのに、この日の夜は普段以上にすばらしい星空でした。

  望遠鏡の視野の中の金星は、十日月のような欠けた形で真っ白な姿を見せています。金星はことにも、低い高度のために建物や地表から発生するかげろう現象によって激しく揺れ動くことが多いものです。

  しかしこの日はピタリと静止し、金星ってこんなにも美しい星だったんだと、西洋名のビーナスの名にふさわしい姿にみんなため息をついたのでした。

  土星は申すまでもありません。自然の作り出したものの中でも、これほどに神秘と美に満ちたものがあるでしょうか。まだ一度も見たことがないという方は、ぜひとも機会を得ていただきたいものです。

  昨年暮れから今年の2月ころまで地球に接近した火星は、いまは遠ざかりつつあって、望遠鏡に高い倍率を掛けてのぞいても、あの白く輝く極冠や模様はもはや見えません。オレンジ色の円盤像として捕らえられるのみです。

  その代わり、しし座の主星レグルスと並んでいる光景は普段から星空を見慣れている人にとっても思わず見とれてしまう美しいものでした。アルビレオという名のはくちょう座の二重星を賢治は銀河鉄道の夜の中でサファイアとトパーズにたとえていますが、そのアルビレオを望遠鏡で見た姿にそっくりだったのです。

  子ども科学館のある場所は、もともと大気が安定していることで知られています。そうした中でもこの夜がどんなにすばらしかったかは、惑星のほかに、うしかい座やしし座などにある幾つかの二重星|比較的大きな望遠鏡でやっと二つの星として見分けられるような二重星|についても多くの人に楽しんでもらうことができたほどです。

  終了間近に東の空にたばかりのアルビレオ。その美しさは賢治が宝石にたとえたほかに、天上のロメオとジュリエットのニックネームがあることからもおわかりいただけるでしょう。7月3日の星を見る会もまた感動に満ちた夜となりますよう。
(盛岡天文同好会会員)


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