盛岡タイムス Web News 2011年 1月 11日 (火)

       

■ 〈盛岡市・玉山合併から5年〉下 感じる活力低下

     
  地域協議会とともに区民の橋渡し役となる職員が在籍する玉山総合事務所  
 
地域協議会とともに区民の橋渡し役となる職員が在籍する
玉山総合事務所
 

 「合併しなきゃよかった」。玉山区からは合併5年を経過した今も、住民の不満が漏れる。区選出市議が2人に激減し、住民の声を届ける「すべ」を失ったと感じるようだ。合併による行政の効率化と住民サービスの充実は両立できないものなのか。旧玉山村時代の財政規模では実施できなかった事業が新市建設計画の中で行われているが、行事への補助金削減や税金・公共料金の値上がりに考えが向く。これらを払拭(ふっしょく)するため玉山区地域協議会や玉山総合事務所の役割は今まで以上に大きくなっている。

  ■「進むしかない」

  「わたしに『合併しない方がよかった』と言う人がいる」。農業生産法人夢農業たかはしの高橋静夫男代表(61)は眉をひそめる。旧村時代に合併の是非を問う住民投票条例制定を求め、住民直接請求の会長を務めた。

  「税金が上がったり、役場だった会議が市中心部まで行ったりで不便にはなった。違う行政同士が合併したのだから多少の違和感があっても進むしかない。村自体の行事が減って区内に必死さが感じられなくなったし、投げやりになっている。『合併してやった』という気持ちもある」と住民側の問題を指摘する。

  高橋さんは昨年、旧市村団体第1号で合併した市認定農業者協議会の会長に就任。消防団の本部長も旧村以来続け、都南地区との交流にも積極的だ。

  好摩地区の50歳代の会社経営男性は「将来的に下水道の普及が進むので、先を考えればいい方向へ行くのだから仕方がない。だまっていても過疎になる。多少でも市財政に頼っていける。税金が高くなったが今までが安かったともいえる。一番の懸念は合併時の市長が途中で代わることで約束が守られないことだ」と話していた。

  ■議員数の確保も

  玉山区地域協議会は、谷藤裕明市長の諮問事項、玉山区に関係する条例や計画の報告などについて審議し、必要な場合は市長に意見を述べている。合併後の住民アンケート実施や部会設置による自主的審議事項の検討、地区単位の座談会を開き、意見聴取にも取り組む。

  福田稔地域協会長は「発足当初、委員は何をすれば任が果たせるか、いざ始まるとどうしたものか手探りだった。期待される面と何をするんだという面があった」と振り返る。

  行政と住民との橋渡し役の地域協として「今後は地域の要望が事業化される運動を展開したい」と意欲。一方で「議員数を確保し、市政に声を反映させたい」とも述べる。

  合併当時19人(1人は04年の村長選に転出)いた選出市議は07年4月の改選で激減。旧村時代各地にいた議員が2人になった。

  福田会長は「住民の声を聞くため部会の組織や座談会を開いてきたが、地域協への物足りなさ、議員にお願いしていたときの満足感は得にくい」と感想を話す。地域協と選出市議が連動して市政に声を届ける必要性を強調している。

  ■住民力を高める

  玉山区の活性化へ、何が必要なのか。

  谷藤市長は5日の会見で「行事運営の補助はそれほど大きく減額してないと思う。創意工夫の仕方で十分補えるよう進めている。できるだけ地元の考えを提案いただき、そのために応援できるものがあれば協力すると呼びかけている」と説明していた。

  05年4月の旧玉山村役場の職員数は114人。10年前の01年4月は122人いた。それが合併した06年1月10日に80人となり、08年4月75人、昨年4月70人となった。役場から総合事務所になり、行政が効率化された分スリムになった。しかし、職員数が減って「活気が失われた」とイメージ的な低下を嘆く住民も少なくない。

  工藤久徳玉山区長は「協働の視点から職員が現場に出向くことだ。そうすれば課題がはっきり見えてくる。総合事務所は第一線であり、呼びかけだけでなく出向き、参加することで住民に示す必要がある」と主張する。

  仕事始めの4日。総合事務所の職員に訓示し「住民に最も身近な単位として地域住民の自治を支援し、住民力を高めていくことが最も肝要だ」と訴えた。
(大崎真士)


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