盛岡タイムス Web News 2011年 1月 21日 (金)

       

■ 少人数学級、期待の陰に代償懸念 保護者要望に県教委慎重

 文部科学省が昨年8月、学級編成基準を30年ぶりに見直し、小中学校の学級定員を現行の40人から段階的に35人や30人に改定する8か年計画案を発表したことで、県内でも少人数学級の拡充に期待が高まっている。しかし、国は少人数学級の制度化にかかる財源を捻出するため、習熟度別指導やチームティーチング、障害のある子どもの通級指導などを担う「加配教員」や教育に関わる補助制度の一部を削減する方針。加配教員などを活用して少人数学級の導入を進めてきた県教委は、少人数学級の拡充要望には「簡単には応えられない」としている。国の来年度予算が決まっていないため、実際に増員される教職員数は未確定。関係者は動向を注視している。(馬場惠)

  教員や保護者で組織する、30人学級を実現する岩手の会(会長・新妻二男岩手大教授)の会員約30人が20日、支援する民主・共産の県議ら4人と県庁を訪れ、県の法貴敬教育長らと懇談した。

  政府が来年度から、全国の小学1年生を「35人学級」とする予算案を決定したことを受け「その分の財源を活用し、中1での35人学級の本格実施や小学3・4年生、中2への少人数学級の拡充につなげてほしい」と要望。併せて▽30人学級に対応できる教室数が確保された校舎建築▽小中高校までの30人以下学級の法制化に向けた政府への働きかけ-などを訴えた。

  本県は独自に小学1・2年生を「35人学級」としているほか、09年度から中1にも試行的に35人学級を導入している。学校標準法に沿って阻置される定員を超えて必要な教員は加配教員などをやりくりして対応している。国が小1の35人学級を制度化することは歓迎だが、その分、加配教員やほかの教育に関わる助成制度が削られるのでは「必ずしもメリットにはならない」というのが県教委の見解だ。

  実際、加配教員は全国6万人のうち1700人が削減される見通し。中学校の不登校生徒への対応などに活用してきた「学校生活サポート事業」への国からの補助金も打ち切られる。

  県教委教職員課によると、加配教員数が決定するのは2月末から3月にかけて。仮に小3に35人学級を導入した場合、県全体で30学級、教員約30人の増員が見込まれ2億5千万円ほどの財源が必要になる。さらに3年生に少人数学級を適用すれば、再来年度には組替えのない4年生にも適用しなければならなくなるため、倍の財源が必要で「簡単に判断できる状況ではない」と言う。

  要望に対し法貴教育長は「国の予算の全体像が不透明ではっきりしたことは言えない。加配教員をどのように使っていくかは学校現場の要望を聞いて考えたい」と述べるにとどめた。

  この日の要望活動には、滝沢小2年生のPTA役員5人も同行。現行制度では現在35人以下学級で5クラスの2年生が、進級とともに4クラスに編成される。佐々木知穂さん(30)は「1学級の人数が増えれば、手のかかる子どもに目が届かなくなってしまう」、鳥居美和紀さん(30)も「現在でも教室の狭さを実感している。体が大きくなり、さらに人数が増えれば大変」などと現状を説明し、3・4年生への35人学級導入を訴えた。PTAでは署名活動を実施し、村へも要望したいとしている。

  新妻会長は「他の先進国に比べても、日本の公教育へかける支出は少ない。県独自措置で教員を加配し、少人数学級を拡充していくことが国の措置を早めることにもつながる」と強調した。

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