盛岡タイムス Web News 2011年 8月 9日 (火)

       

■ 〈イタリアンチロルの昼下がり〉123 及川彩子 音楽で夏の村おこし

     
   
     
  アルプスの裾野に広がるここアジアゴ高原もいよいよ夏本番。日射しは強いものの、爽やかな山風が心地よく、あちこちの別荘の窓も開き始めました。

  アルプスの氷河やトレッキング、野生動物などを楽しむには、さらにスイス国境近くに行かなければなりませんが、アジアゴ高原は、ベネチアからも近く、気軽な避暑地として、短期間の貸し別荘も大繁盛。

  「娘が留学中で留守だから」などの理由で、小キッチン・トイレ付きのベットルームを1カ月2万円ほどで貸し出す一般家庭も少なくありません。

  アジアゴは、この夏も人口の5倍にも膨れ上がり、市役場は大わらわ。早朝から清掃車が稼動し、目抜き通りは全て歩行者天国で、各店は夜11時まで特別営業です。

  市の観光局も、毎日のようにイベントを組み、街を盛り上げます。公園を野外会場に、1週間にわたって製作過程を公開する国際木彫コンクール、民俗音楽祭、それに天文学、地元料理、アジアゴ方言の講座まであります。

  そんな中、近郊の小さな村ロアーナでは、数年前に始めたクラシック音楽講座が人気を呼び、村興しに一役買っていると聞きました。

  各器楽のレッスン・即興演奏・音楽心理学まであって、指導者はミラノ・スカラ座専属の教授陣。対象は年齢・経歴を問わず、受講料は毎日1時間のレッスン1週間で3万円。宿泊は村が提供するので格安です。

  会場である村の議会室を訪ねると、国内外からの若い音楽愛好家たちが、稽古に励んでいました(写真)。受講者は例年より多く、9歳から30歳のセミプロまで50人余り。

  「山小屋風の建物は音響効果も抜群。べートーベンもシューマンも、森を愛しましたからね。われわれも生き返りますよ」と講師で新進気鋭のピアニスト、マッシミリアーノさん。

  窓を開けると、深い森の神秘的なハーモニーが忍び込んできそうな雰囲気でした。

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