盛岡タイムス Web News 2011年 10月 19日 (水)

       

■ 〈夜空に夢見る星めぐり〉292 八木淳一郎 秋の星座そぞろ歩き

     
   
     
  秋の星空は、古代エチオピア王家にまつわるロマンあふれるお話に満ちています。王様はあまり知られていないのですが、ケフェウスという名前で人望が厚く、多くの国民に慕われていたとされます。あくまでも物語ですが…。

  お妃様は、これはどなたもご存じのカシオペアです。美しいカシオペアですが、これまた美人の娘アンドロメダの自慢をしたのが災いを招きます。皆様におかれましても、くれぐれもお気をつけください。心配無用などと謙遜(けんそん)なさらずに…。

  それはともかく、海の怪獣、化けくじらのいけにえに差し出され、あわれ海辺の岩場につながれたアンドロメダ姫の運命は。しかし、あわや、というところで天馬ペガススにまたがり、空から舞い降りてきた勇士ペルセウスに助けられたのでした。

  ペルセウスが、討ち取ってきた怪物メドゥーサの首を突きつけると、なんと、化けくじらは石になってしまいます。やがて、ペルセウスとアンドロメダは結婚し、めでたしめでたし…という婚活中の人にはうらやましいお話です。ですが、岩場につながれるようなまねは絶対にしないでください。老爺心ながら。

  さて、W字型をしたカシオペア座は見つけやすいのですが、お妃の尻に敷かれたように地味なケフェウス座は分かりにくいものです。うんと短くなった鉛筆のような五角形-とはいえ、鉛筆そのもの、まして短くなるまで使うなんて、当節、子どもたちには何のこっちゃと言われそうですが-をした星座です。

  ケフェウス座には真っ赤な色をしたガーネットスターというニックネームの星があります。燃えるような赤さは一度見たら忘れられないものとなるでしょう。

  同じケフェウス座にあるデルタ(δ)星は、天文学にとりわけ貢献した星として名高いものです。デルタ星が5日間で明るさが4等星から5等星へと変化する、変光星と呼ばれる種類のものであることは18世紀には知られていました。

  しかしその後の研究で、セファイドと呼ばれるこのようなタイプの星に、本当の明るさと偏光の周期に一定の関係があることが発見されたのです。このことから、遠くの銀河にあるセファイドを観測することで、その銀河までの距離を測ることができるようになりました。宇宙の距離を測る物差しとして重要な地位を築いたこの星を、ぜひ天文台や星を見る会などでご覧ください。

  さて、ペルセウス座にはh・χ(エッチ・カイ)という記号の付いた二重星団というものがあります。星団というのはその名のごとく、ひと所にたくさんの星が群がっているものなのですが、その星団が二つも並んでいるのですから壮観です。

  その美しさは空の宝石箱といっても過言ではありません。お持ちの宝石箱と比べてみてください。きっと数では負けるはずです。数百もの星数ですから。もっとも、プレゼントしたくても、手に取ることができないのがたまにきずです。残念ですが、ぜひ見る機会だけでもお受け取りください。では続きはまた…。
(盛岡天文同好会会員)


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