盛岡タイムス Web News 2011年 10月 20日 (木)

       

■ 〈お父さん絵本です〉375 岩橋淳 パパがやいたアップルパイ

     
   
     
  前々回ラーメン、前回あんまん、今回はアップルパイ。

  この、見るからにクラシカルなタッチの表紙、生年をつまびらかにしないながら、本作の作画を担当したジョナサン・ビーン氏は、若手、中堅の世代に属する人物のようです(文を担当したローレン・トンプソンさんは1962年生まれ=巻末資料による)。

  さて、翻訳を担当した谷川俊太郎さんといえば、本稿で何度もご紹介したとおり、詩人として常に第一線にある、ことばのプロフェッショナル。絵本をてがけては、マザーグースやわらべうたの紹介、ことば遊びなど、さまざまな作品を送り出しています。

  冒頭、鎮座するのは、パパが焼いた熱々のアップルパイ。日の出と共に出かけるパパを追って、リンゴの木へと走る女の子の後ろ姿。「パパがやいたあまくてあつあつアップルパイ」に重なるのは、「あかくておいしいりんご」。りんごをたわわにつけるのは、「ねじれてたくましいりんごのき」。…終点の「アップルパイ」に始まって、りんご、木、根、雨、雲、空、おひさま、ちきゅう。

  名作「おおきなかぶ」、谷川さん作「これはのみのぴこ」などでおなじみの展開は、「継ぎ足し唄」方式。手元から始まった画面は引いて引いて、最後はすとん、と元のアップルパイに着地します。

  のどかな農場にたちのぼる甘い香りが、幸せを運んでくるかのようです。

 【今週の絵本】『パパがやいたアップルパイ』L・トンプソン/文、J・ビーン/絵、谷川俊太郎/訳、ほるぷ出版/刊、1575円(2007年)



本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします