盛岡タイムス Web News 2011年 11月 15日 (火)

       

■ 〈イタリアンチロルの昼下がり〉135 及川彩子 トゥーンの季節

     
   
     
  日ごとに季節が変わる…と言われるイタリアの秋。特に今年は、残暑の厳しかった9月末のひと雨を境に気温が急降下。あっという間に紅葉、そして山の頂が真っ白になったかと思うと、今度はアフリカからの暖かい風シロッコが吹いて気温上昇。そんな気候を繰り返し、11月半ばを迎えました。

  イタリアには、紅葉を愛でる習慣も、衣替えの感覚もありません。タンスには半袖Tシャツとダウンジャケットが同居。ベランダを飾る花だけが、夏の真っ赤なゼラニウムから、クリスマス用のモミの枝に衣替えです。

  この時期、何よりの季節便りは、暖炉やストーブの火で、心も体もまさに冬モード。中でも、人気を集めているのが陶器製のまきストーブです。本来、アルプス地方の16世紀の古城にも残る伝統的ストーブで、暖炉より熱効率がよく、経済的と見直されているのです。

  人の背丈ほどもあるこのストーブは、外側が陶器、内部はれんが造りで、煙の通り道。900度にもなる熱を吸収した陶器は、まきを1時間も燃やせば、翌日まで暖かいという効率の良さ。さらに、金属製と違い、陶器から放出される赤外線は、空気を乾燥させず、交感神経のリラックス効果もあると言われます。

  そのほとんどが、北イタリアの小都市ボルツアーノの窯元で焼かれる「トゥーンTHUN」という陶器で、ストーブばかりでなく、飾り物や食器類も作られています。素朴で温かみがあり、チロル風の部屋作りをする主婦たちの人気を集めているのです。

  わが家のお隣さんのクリスティーナも、この陶器のコレクターを自負する一人。トゥーンストーブの前に、天使の陶人形を並べ、居間も粋な冬への衣替えをしました〔写真〕。

  今のイタリア住宅のほとんどは、セントラルヒーティングですが、エコ建築への関心とともに、トゥーンは今冬の目玉品。古典的な暖炉からエコストーブへ。これも時代の流れのようです。


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