盛岡タイムス Web News 2011年 11月 15日 (火)

       

■ 〈幸遊記〉45 照井顕 本所充夫の牛とジャズの日々

 「人生楽しみが第一。仕事は二の次」そう言って毎週、北海道・北見市から片道17時間かけて盛岡へとやって来る「牛さん」こと、本所充夫さん(64)は、根っからのジャズファンだ。

  札幌の北海高校時代ラグビーにハマリ、海上自衛隊に入って横須賀、八戸と5年間続けた。そのラグビーを諦め、父の仕事を手伝うことになって、肉の流通を見聞し、感じたことは「業界全体で5年先10年先を見据え、トータル的にやらなければならない」だった。

  「生まれてから肉になるまでを自分の目で見る。目の行き届かない仕事はしない。人頼みをしない」。これが彼の決心。いくらもうかる話がきても、理念が違えば、自分から切った。

  そのため、北海道で育てる生後1週間の仔牛を買い、翌日までに届ける。その時間と距離を含めた市場調査を、東北から広島まで行い、結果的には頭数がいて、北海道に近い岩手に仕入先を見いだし、15年前から市場で、最終的には仔牛の目を見て決める買い方。

  その仔牛を自分がトラックを運転し北海道に運び、農協へ納める。生後6、7カ月の牛は北海道で買い、青森のファームへ納めて1〜2年飼育し肉にする。その数、月に何百頭ものホルスタインとエフワン(ホルスと和牛のかけあわせ)や和牛。頭数が足りない時は、関東の市場へも出向いて買い付ける。最近は次男の息子・寛修(ひろのぶ)さんが、それこそ「いい目」をして、父を見習い同行修行。

  「仕事とジャズはセット!ジャズと牛のマーチを自分の目で見、自分の耳で聴く。ジョニーのことは陸前高田にあった時から知ってて、行って見たいと思ってた。10年前、盛岡へ店を出したことを、ホテルで聞いてから来るようになったのさ」とほぼ毎週、日曜の夜に顔を出し、「一緒に飲まんか?」と言って誘う。

  聞けば、高校時代から札幌のジャズ喫茶でバイトを始めたと言う程の根っからのジャズ好き!だから雑誌や、ジャズ専門誌などで、「日本のジャズしか演らないジョニー」のことを知ったのだったと、真剣な、それでいて慈愛に満ちた目を僕に向けた日のことは、忘れられない。
(開運橋のジョニー店主)



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