盛岡タイムス Web News 2011年 11月 17日 (木)

       

■ 〈大震災私記〉50 田村剛一 地元業者の心配

 がれき撤去の主役は、初めは自衛隊。これはあくまでも人命救出のためのがれき撤去。本格的にがれき撤去の主役を演じたのは地元の建設業者だ。

  地元の建設業者にとって、がれき撤去という震災特需は天の恵みのようなものであった。山田の建築業界は、町発注工事の談合問題でA級業者が指名停止を受けるという大混乱の中にあったからだ。そのため、廃業に追い込まれた業者もいる。

  そんな矢先の大震災・大津波。そして、大火災。指名停止業者を排除してのがれき撤去、復旧作業はありえない。業界総動員となった。復旧作業、そして、これからの復興工事の進展に伴い、町の建設業界は息を吹き返すに違いないと思った。

  家の前のがれき撤去を担当している業者に声をかけた。「これから、建設業の時代がきますね」
  すると、「とんでもない。ボランティア作業ですよ。日当制なんです」。こんな返事。

  その辺の詳しい事情は分からない。予算を立てての事業発注ではないだろうから当分それもやむを得ないと思った。
  「そのうち、大きな事業がやってきますよ」
  「でも、私のところのような小さな事業者に仕事を下ろしてくれるかどうか」。その頃から、地元事業の中には、ある心配があったようだ。町外の業者の車が増え始めてきたからだ。

  時が経つに従い、自衛隊の重機は、人命救出から遺体捜索へ。この遺体捜索までが、自衛隊の仕事のようであった。遺体捜索も一段落すると、本格的ながれき撤去に移っていった。この仕事は自衛隊の本務ではない。

  本格的ながれき撤去、家屋の取り壊しが始まると、町外業者の車が増えてきた。その中に、大手の車もあったようだ。

  突然、顔見知りの建設業者に声をかけられた。「お願いがある」というのだ。
  聞くと、「大手業者や町外業者がどんどん入ってきて、町内業者の仕事を奪っている」という。「町内業者優先でやってもらいたい」と。

  もし、それが本当なら大変なことだ。さっそく、役場に行き、副町長にその旨の話をした。
  「そんなことはない。あくまでも町内業者を中心に進める。ただ、町内業者ではできないものもある。コンクリート破砕や、鉄筋解体などがそれ。それは外部業者にやってもらう」。副町長の言葉。

  それを知人にはその通り伝えた。その後、何も言ってこないところを見ると、副町長が言ったように事は進められているのだろう。
(山田町)


本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします