盛岡タイムス Web News 2011年 11月 22日 (火)

       

■ アイヌ語で地名読解 菅原さんが40年がかりの研究を本に

     
  アイヌ語地名解を著した菅原さん  
 
アイヌ語地名解を著した菅原さん
 
  盛岡市加賀野4丁目の菅原進さん(86)は約40年がかりで調べ上げたアイヌ語の地名を「アイヌ語地名解」の一書にまとめあげた。岩手、秋田、青森の3県約千カ所の地名をアイヌ語の由来で説明した。元教師の菅原さんは田野畑村に赴任した際にアイヌ語に興味を持ち、単語や語法を学び、地名の読み方や地元の伝承から推理した。その地でアイヌ語で表す通りの現象が見られたときは、由来を確信するという。足で調べて積み重ねた一冊。200冊作り、大学や図書館に分けたほか、一般にも販売している。

  菅原さんは陸前高田市出身、教員を退職後はエミシ学会、東北アイヌ語地名研究会特別会員としてアイヌ語や東北の古代史を研究してきた。アイヌ語には40代後半から興味を持ち、研究書を読みあさり、それらしき地名の場所を訪ね歩いた。

  退職後は青森、秋田にも足を伸ばし、古代の北東北に想像と推理を巡らした。秋田県の男鹿半島の入道崎では、「にゅうどう」をアイヌ語の「ニオイトー」の転訛と考えた。

  菅原さんは「流木がごちゃごちゃに寄り集まる所」の意味。菅原さんは「流木が集まっているのではないかと考えて行ったら、きれいな海と浜で当てが外れてがっかりした。家を見て回ると流木を置いているところが多く、これはもしやと思った。そのあと海が荒れて、また浜に行ってみたら流木がたくさん流れ着き、地元の人が片づけていた。いつも荒れたあとは流木だらけで大変だという。これだと思い、岬に立って万歳を叫んだ」と思い出す。

  盛岡市の綱取は、アイヌ語で「ツンナイタオル」と発音すれば、「谷川の高岸」の意味になり、「この地名は綱取ダム周辺の地形とぴたり合致するので、およそ信頼できる解釈のアイヌ語地名と思われる」と解説する。滝沢村の鵜飼のように、アイヌ語で解釈しながら、鎌倉時代から江戸時代にかけての人名の由来も併記するなど、郷土史を踏まえて諸説を書いている。

  菅原さんは「アイヌの人たちはアテルイへの思いも強く、岩手の人と一緒にアテルイを祭ろうとしたこともあった。アイヌ語が分かれば東北の古代史も分かるが、今は完全なアイヌ語を話せる人も少なくなった」と残念がる。

  震災では陸前高田の実家や、田野畑村時代からの知り合いが被災した。胸を痛めながらも北東北の文化を守ろうと研究を続けている。

  「アイヌ語地名解」はB5判481n、404nの2巻。熊谷印刷出版部から。定価4千円。問い合わせはエミシ文化研究センター(電話0195−78−2565)か、菅原さん(電話651−9149)まで。


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