盛岡タイムス Web News 2012年 1月 3日 (火)

       

■ 盛岡の観光を再構築へ 平泉を中継点に活用

 東日本大震災津波の影響で昨年、本県の観光は大きな打撃をこうむった。業界は今年、風評被害の克服と再興に向けて動き出す。昨年の盛岡への修学旅行は、北海道からの予約の多くがキャンセルされ、逆に仙台方面からの入り込みは増えた。福島原発事故の影響で会津方面の行き先を盛岡に向けた学校が多かったため。手放しで喜べない面があるが、今年もリピーターとして盛岡を行き先に選ぶ学校が増える状況にある。世界遺産登録された平泉を中継できる優位性も出てきた。子どもたちの思い出づくりに、官民の努力が始まっている。

 震災前まで盛岡を修学旅行に選んでいたのは、北海道の中学校が主体だった。3・11以降はキャンセルが相次ぎ、観光の風評被害が拡大した。

  県観光協会の菊池和憲専務理事は「北海道へは、商談のほか学校訪問して、また来てもらうよう働きかけた。首都圏でもやり、県南振興局が主体で、大阪でも説明会をした。放射線の心配をしてる保護者が多いのは分かる。安全性をPRする努力をしたら、北海道からは校長先生が何人か見に来た。一時はゼロに近くなったが、再度訪れたいという声も聞いた。安全安心な岩手の現状を見てもらえた。仙台からの修学旅行は、それまで会津に行っていた学校がこちらに来たということ。福島県の苦しい状況を考えると、こちらにばかり来てほしいと言いにくいところはあるが」と話す。

  盛岡観光コンベンション協会観光文化情報プラザの工藤恭子さんは、昨年の仙台方面からの受け入れについて、「仙台だけで67、仙台周辺の30で約100校。秋には仙台周辺の学校が100校ほど来た。仙台の旅行代理店を回ったら、おそらく今年の7、8割は同じように6月から9月にかけて来そうだという。学校によって岩手と決めているところと福島と決めているところがある。今どちらも考えているところが3分の1ずつではないかということだった」と話し、前向きな感触を得ている。

  昨年、盛岡市を修学旅行に訪れた仙台市立大和小学校の石原恵一教頭は「盛岡をボランティアでガイドしてもらった。例年は付いていないが、今年は付いてもらった。まだ地震が続いている時期だったので、子どもたちだけで自主研修するのは不安だったということもあるが、盛岡のガイドは好評だった」と、盛岡の観光を評価する。

  JTB東北盛岡支店の伊沢洋平支店長は、「修学旅行は会津若松からの振り替えで、仙台からたくさん盛岡に来た。いくつか課題があった。盛岡は子どもたちが小遣いで買える土産が少ない、小遣いで食べられる食事場所がないという声があった。自主研修のグループで動く小学生が増えているのに、盛岡はそこまで観光地化されていないという指摘もあった。受け入れようという気持ちは伝わったようだが」と指摘する。

  平泉の世界遺産登録については、「平泉にはたくさん来ている。岩手県の課題は、平泉は県南なので花巻以北にもお客さんが来てもらいたい。残念ながら平泉からどこまで行っているかと言えば、まだ県北の方には来ていただいていない。沿岸については深刻で、経済効果は残念ながら宿泊をしてもらわないと生まれない」と述べた。

  足が途切れた北海道の修学旅行についても復活の働きかけが始まった。1月12日から18日まで札幌市の東急百貨店で、「みちのく盛岡の名品と観光展」が開かれる。ミニわんこそば大会などで、昨年は盛岡に来ることができなかった中学生と交流の場を盛岡市が設ける。

  小岩井農場まきば園広報担当の高山勉氏は、修学旅行生の来園について、「一時は北海道知事が道から出ないように言ったという話で、関東関西を含めて遠方からの修学旅行は全滅に近い状態だった。仙台の小学生はこぞって来た。最近になって復活の兆しがあり、北海道からもまた見えられると思うので、まきば園も魅力づくりをしなければならない」と、仙台、北海道の双方からの受け入れを想定している。

  日本旅行業協会の米谷寛美事務局次長は「日本人の心情的には被災地に行くのをためらう気持ちが強いが、むしろ行くことが支援であると。国もそう言ったので風評被害の克服は、阪神などこれまでの震災に比べて早い。これまでは海外の事故などでも1年くらい戻らなかった。今回は行って消費することの方が支援だと変わってきている」と話している。


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