盛岡タイムス Web News 2012年 1月 22日 (日)

       

■ 旧盛岡高等農林本館、竣工当時の姿へ 耐震化に伴い外観復元

     
  竣工当時の岩手大学農学部旧本館(岩手大学農学部提供  
 
竣工当時の岩手大学農学部旧本館(岩手大学農学部提供
 
  岩手大学農学部(旧盛岡高等農林学校)旧本館が、耐震工事に伴って1912(大正元)年の竣工時の姿に戻ることになった。現在、農業教育資料館となっている建物は、採光性などを考えて窓を増設するなどしたため竣工時の外観とは少し異なっている。今回の工事では窓の数を元に戻して当時の筋交いを復元し、耐震性を回復させる。工事のため農業教育資料館は12年10月ころまで休館となる。

  同大農学部によると、竣工時は筋交いを入れた壁であった個所に建物の表側で5カ所、裏側で6カ所の窓が建築後に増設された。当時の照明が今ほど明るくなかったことや現在でも建物内は少し暗い感じがすることなどから「今より耐震基準が厳しくないときに、使い勝手を考えて窓を増やしたのではないか」とみている。

  窓が増設された詳細な時期は分かっていない。同大が所有する昔の卒業写真を見ると35年3月の撮影ではなかった窓が、36年3月には追加されていることから、この時期に窓が増設されたとみられる。建物内も現在の第3展示室となっているスペースが、間仕切りで大小の会議室に仕切られていた。今回の改修ではこの間仕切りも復活させる。

  同大農学部運営グループの工藤朗主任は「当時は地震に対しての認識も今とはずいぶんと違うものだったと思う」と話すが、皮肉にも竣工時の窓の数に戻し、筋交いや間仕切りを復活させることで耐震化が図られることになる。

  15年〜20年には宮沢賢治が同大農学部の前身の盛岡高等農林学校農学科第二部(のちの農芸化学科)本科生および研究生として在籍していた。そのころは窓は増設されておらず、今回の工事で賢治が通った当時の建物の姿がよみがえる。
     
  岩手大学農学部(旧盛岡高等農林学校)旧本館(現在の姿。1階の窓が増えている)  
 
岩手大学農学部(旧盛岡高等農林学校)旧本館(現在の姿。1階の窓が増えている)
 

  農業教育資料館には賢治のファンが毎年全国から訪れ、来館者数は年間約3500人。94年7月12日には国重要文化財にも指定されている。工藤主任は「重文に指定されたこともあり、なるべく当時の姿に戻してあげたい。ファンの方がいるので、なるべく早く再開したい」と話している。 

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