盛岡タイムス Web News 2012年 3月 9日 (金)

       

■ 〈潮風宅配便〉89 草野悟 大船渡の復興屋台村

 
     
   
     
  私の友人に東京で福祉関係の仕事をしている高橋さんという人がいます。大船渡の赤崎駅前が実家でしたが、震災で全てを失ってしまいました。そこに90歳近いお母さんがおりました。無事でした。そのお母さんが「負けてたまるか」と、なんと復興屋台へ出店しました。名前は「えんがわ」というお店です。

  私は釣りが好きで、えんがわと言えばヒラメやカレイのえんがわと当然解釈しましたら、「縁側に座ってのんびりひなたぼっこでも」のえんがわでした。で、写真のお二人はその高橋さんの妹で姉妹です。

  お母さんと3人で店を切り盛りです。料理はすべてお母さんの愛情たっぷり、昔からの味付けの「サバの味噌煮」や「肉じゃが」や「お煮しめ」などです。その味は、まるでマリア様が赤子を抱いてあやしているような、優しく慈愛に満ちた「幸福」という味です。

  で、その幸福感に浸っていましたら、お客さんが入ってきました。お子様連れのご夫婦です。大村さんと言い、聞きましたら震災後移住してきてしまったそうです。わたくし、すっかり仲良くなってしまい、いつもの通り打ち解けてしまいましたら、「わたしたち儲からない楽珍一座っていうコンビなんです」と、なんと奥様が蛇味線を出して、奄美の民謡を歌ってくれました。

  「♪神様のおかげで皆様に会うことができました」という意味の歌です。おおらかで、明るく響く歌声に拍手喝采です。するとだんな様が津軽三味線を取り出し、今度は津軽民謡を熱演してくれました。なんと南の歌と北の歌、しかも夫婦です。仲がいいのか悪いのか、でも仲はよさそうです。

  寒風吹き荒れたこの日は、外はマイナス5度。でも店内は熱射病が心配なほど明るく陽気な演奏で笑い声が耐えない素敵な夜となりました。

  前に戻りますと、東京の高橋さんの友人は、矢巾の高舘農園の信雄君です。野菜や魚がなかなか手に入らないと美人姉妹が言っていました。農家の高舘さん、応援期待してますよ。
(岩手県中核観光コーディネーター)

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