盛岡タイムス Web News 2012年 3月 16日 (金)

       

■ 〈潮風宅配便〉90 草野悟 神戸の先生から今年も届く

     
   
     
  神戸の石原先生から、今年も春のごちそう「瀬戸内海の釘煮」が届きました。石原先生の釘煮は、いかなごの漁師さんに一網全部委託して造ってもらうそうです。選別した極小さないかなごだけを煮てくれます。繊細で甘すぎず、かめば「瀬戸の花嫁」がつい口ずさんでくるぜいたくな逸品なのです。

  待ってました、とご飯を炊きます。健康を考えて雑穀ご飯にしました。なにしろ独り占めですから、気遣うことなく「好きなだけ食べられる幸福」を味わうことができます。

  子どもたちが居た頃は、ほんのわずかしか回ってきませんでしたので、なんというか別の幸福感なのです。よく、みんなで食べるとおいしい、と言いますが、この「釘煮」だけは別です。ようやく独り占めできるのですから。

  石原先生は、私が公私共にお世話になっている大恩人であり、とても大事な方です。今年90歳を迎えるところです。17年前、阪神淡路大震災で、東灘区の家は地震と火災で焼失してしまいました。

  当時、涙を浮かべながら「なんでわしみたいな年寄りが生き延びて、かわいい近所の子たちが亡くなってしまって…」とのどの奥から声を振り絞って言ったことを思い出します。その後、奥様も他界され、今は娘さんのお世話になりながら暮らしています。

  この石原先生が、今度の大震災ではとにかく心配してくれ、「無事か」と何度も電話をくれました。被災者の方々がカレンダーを流してしまい困っていると伝えましたら、全国のお仲間に電話をしてくれ、三陸鉄道の会議室がカレンダーでいっぱいになりました。

  石原先生のご友人に、ネパールの父と言われる近藤亨先生がいます。近藤先生は91歳です。まだネパールの高地、シャン農場で指導をしています。

  近藤先生も私にとりましては、同じように大事な先生です。このお二人から見れば、61歳の小生は、赤子のようなものです。まだまだ長生きしてください。そして毎年、春になりましたら「いかなごの釘煮」をお願いいたします。食べたいから長生きしてください、と言っているのではありません。少しは期待もありますが、どうかお元気で楽しい人生をお過ごしいただければ、私も幸せです。それにしてもうますぎです。ごちそうさまでした。
  (岩手県中核観光コーディネーター)

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